日本の当局者の「朝鮮半島危機」扇動
−2017年5月16日−

 朝鮮中央通信によると、国際問題研究院アジア研究所は16日、次のような文を発表した。

 最近、日本の反動層が、朝鮮半島に戦争の火種を爆発させようとする米国の無謀な挑発策動に息を吹き込んで情勢を極度に激化させ、自分らの不純な目的を達成しようと血眼になって狂奔している。

 安倍(晋三)をはじめ日本の当局者は、年頭から米大統領との電話協議と会談、副大統領の訪日、東京でおこなった米国、南朝鮮かいらいとの協議など、すべての契機と手段を利用して我々の核とミサイル発射が世界の平和と安全に重大な「脅威」になると言いがかりをつけ、我々にたいする圧力の度合いを最大に強めなければならないと騒ぎ立てた。

 去る3月と4月には、米国が規模と強度、実行方式において前例のない全面核戦争演習である「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習で軍事的圧力の水準を最大に高めて我々にたいする「軍事的選択」「先制攻撃」を持ち出すと、時を得たかのようにもろ手をあげて「歓迎」し、防衛相をはじめ政治家が、南朝鮮にいる「邦人救出」のための「自衛隊派遣」を唱えるなど、朝鮮半島への再侵略企図を公然とさらけ出した。

 そのうえ、重大なのは、朝鮮半島に向かう米原子力空母打撃群との海上共同訓練、空中戦訓練だけでなく、米国、英国、フランスと合同軍事演習をおこなった朝鮮半島の有事に米国主導の連合軍に合流する実戦準備に拍車をかけていることである。

 現在も、日本当局は御用メディアを総動員して朝鮮半島で戦争が起これば日本が最も大きな被害を受けることになるという世論を騒々しく流し、国内に戦時の雰囲気と戦争恐怖心を醸成するのに熱をあげている。

 日本の執権者は、米国が根拠のない「化学兵器の使用」を言いがかりにしてシリアにたいする無差別の先制攻撃を加えると、これを口を極めて擁護するとともに、朝鮮もミサイルを用いて化学兵器を使用し得ると騒ぎ立て、社会的に対朝鮮敵視の雰囲気と危機感をさらに増幅させた。

 我々の「ミサイル攻撃と大規模なテロ」に対処した住民の避難手順なるものまで発表し、第2次世界大戦後初めて全国的範囲で災害防止および危機状況に備えた避難訓練をおこなうなど、直ちに戦争でも起こるかのように上を下への騒動を起こしている。

 世界の世論は、日本当局のこのような狂乱的な騒動にたいして「低水準の卑劣な行動」で「地域の平和と安定に悪影響を与える」無分別な妄動であるとして「朝鮮の脅威と不安」を過剰に強調する扇動的な行動を自制するよう求めている。

 日本の反動層が米国の対朝鮮戦争策動に同調して我々の「脅威説」と「朝鮮半島危機説」を極大化していることには、何よりも軍事大国化、海外侵略の野望をあくまでも遂げるための「大義名分」を立てようという下心が潜んでいる。

 日本帝国主義者が、「大東亜共栄圏」を唱えてわが国をはじめアジアの多くの国を植民地にして乗っ取って莫大な人的・物的資源を強奪し、想像するのも恐ろしい特大型の反人倫的犯罪行為を働いて敗北した時からいつしか70余年の歳月が流れた。

 ところが、軍国主義狂信者の野望は決して変わらなかったし、その子孫によってさらに大きくなっている。罪悪に満ちた過去について謝罪や賠償はおろか、むしろ戦犯者を「英霊」として参拝し、その子孫であることを公然と自負して先祖が果たせなかった軍事大国化、海外侵略の「大業」を渇望するのがまさに、日本の極右反動勢力である。

 歳月の流れとともに再侵略の刀を研いできた侍の子孫の執拗な軍事大国化野望は、もうこれ以上看過できない域にまで至っている。

 日本の当局者がこんにち、憲法改悪に躍起になってしがみついているのがそれをよく物語っている。

 日本の憲法は、国権を発動する戦争と武力による威嚇行為を永遠に放棄するということ、陸海空軍をはじめ、武力を保有せず、交戦権を認めないと規定したことで、軍事大国と海外侵略にかんぬきをかけた国家の最高法典である。

 しかし、歴代の日本の反動層は、この「平和憲法」を恣意的に「解釈」するようなあらゆる権謀術数でそれに違反する立法的・行政的措置を連発し、軍事大国化へと疾走した。

 陸海空軍をすべて備えた「自衛隊」武力、海外派兵と武力干渉を保証する「安全保障関連法」、米国との「集団的自衛権」の行使容認、大々的な軍事費拡大、先端攻撃兵器と装備の開発など、とうてい数えきれない違憲措置によって「平和憲法」は無残にもみくちゃにされ、死文と化した。

 この有名無実の憲法をあえて変える必要はないが、面倒なかんぬきではあるが完全に取り除いて軍事大国化の大門を開くというのがまさに、日本の当局者があれほど躍起になる憲法改悪の主な目的であることは言うまでもない。

 5月初め、憲法施行70周年を迎えて日本の現執権者が憲法をあくまでも書き直して2020年には必ず施行されるようにすると力説したことからわかるように、日本の反動層の「宿望」である憲法改悪はついに秒読みの段階に入っている。

 現在、与党の自民党一味が、我々の核およびミサイル発射問題を口実に「自衛隊」が報復攻撃をおこなえないようにした「平和憲法の拘束」を脱するべきであると騒ぎ立て、与野党の国会議員が入れ代わり立ち代わり米国を訪れて我々にたいする軍事的攻撃を含むいかなる選択も排除してはならないと青筋を立てているのは、日本の反動層が「朝鮮半島危機」を意図的に際立たせて憲法改悪の「大義名分」を立て、軍事大国化、海外侵略の野望をあくまでも実現しようとしていることを如実に示している。

 日本の反動層が米国の火遊び騒動をあおって朝鮮半島情勢を戦争の瀬戸際へと追い込んでいるのには、日本特有の狡猾で悪徳な目的も潜んでいる。

 日本が20世紀50年代の朝鮮戦争を「千載一遇」の機会であると快哉を叫んで日本全土を米軍の出撃基地、補給基地、後方基地に丸ごとゆだね、莫大な軍需品の受注と兵站支援を通じてもうけた天文学的な額の利潤を元手に「高度成長」を遂げたのは周知の事実である。

 結局、日本が誇るこんにちの「経済的繁栄」の根底には3年間の戦争でわが人民が流した血が濃く染みついており、戦乱の苦痛のなかで犠牲になった数百万の朝鮮人の恨みと魂が埋まっている。40余年間の植民地の略奪で膏血を絞っても足りず、米国にすがり付いてこの地に再び火を付け、わが人民の血を吸い取った憎むべき吸血鬼! その血と恨み、喪失の代価を何で計算できようか。

 こんにち、日本の反動層が朝鮮半島での戦争を首を長くして待っているのは、過去に味わった「快楽」を忘れられずに侵略の歴史を繰り返そうとするところにその真意がある。

 現在、日本の経済は、「失われた20年」を超えて新たな「失われた30年」に入っている。定着した過剰生産構造が萎縮した需要を押さえて景気循環が滞り、資金、設備、労働力の全般的収縮現象がまん延して国内経済全般が停滞期から抜け出していない。

 「アべノミクス」なる不可思議な「路線」をかかげ、公的資金や日本銀行を動員して株価の下落を必死に防いで、かろうじて維持している現在の「株価連動内閣」は、いつはじけるかわからないバブル経済のうえに立って侵略戦争のような重大な事態だけを待ちわびている。

 結局、安倍一味が経済危機から抜け出せる活路として夢見ているのは、ほかならぬ先の朝鮮戦争の時と同じ戦争景気なのである。

 日本当局が昨年9月に米国との物品役務相互提供協定(ACSA)を改定し、朝鮮半島情勢が戦争の瀬戸際へと突っ走っていた去る4月中旬に国会で最終承認したこと一つだけをとっても、日本の下心が十分に垣間見え、最近、外電が「日本は半島で一日も早く戦争が起こり、新たな軍需物資の発注を受け、ひいては日本経済を刺激して死からよみがえるような回復をもたらすそろばんをはじいている」と評しているのは、決して偶然ではない。

 日本の反動層が「朝鮮半島危機説」に狂乱的にしがみついていることには、国内の耳目を我々の問題に向けて反安倍機運を鎮め、長期執権に有利な環境を整えようとする醜悪な目的も隠されている。

 安倍は昨年10月、自民党総裁任期の規定を3期9年に延長することで、2021年まで長期執権できる土台を築いた。ところが、自民党内では安倍の「独走政治」にたいする不満が大きく、野党も安倍政権打倒を目的とする「共同闘争」を展開して強力な攻勢をかけている。

 最近、あらわになった安倍一家の森友学園をめぐるスキャンダル、普天間米軍基地の移設問題、持続する経済危機と次々と起こる各種の労働災害と社会的悪弊、東日本大震災と熊本地震の被害復旧が遅延している問題をはじめ、不安定な要素が少なくないため、安倍政権にたいする社会的支持率は引き続き落ちている。

 したがって、安倍は「安保通」と呼ばれる自身の特技を生かして社会的な懸念を刺激し、右翼勢力との結託を強化して右傾化の風潮をまん延させる方法で長期執権を遂げようと企んでいる。

 ここで重点を置いているのがまさに、「朝鮮半島危機説」へと日本国内の世論をあおり立てようというのである。

 安倍の長期執権は、単純な右翼勢力の勢力圏の維持ではなく、上記の憲法改悪と軍事大国化野望の実現、日米軍事同盟の強化と戦争を通じた経済活性化など、反動政治の延長を意味するものであり、内外の深刻な不安と警戒心を呼び起こしている。

 最近、日本と各国のメディアが、安倍が「朝鮮半島危機を国内政治に露骨に利用している」とし、大きな懸念をあらわしているのは決して偶然ではない。

 諸般の事実は、日本の反動層が我々にたいする米国の無謀な火遊び騒動をあおり、それを自分らの軍事大国化、海外侵略の野望を実現するうえで絶好の機会にしようとしていることを赤裸々にさらけ出している。

 しかし、日本の反動層が米国を後ろ盾にして朝鮮半島にたいする再侵略の野望を追求しているのは、変わった我々の戦略的地位と自分らの境遇をはっきり見極められない政治低能児の誇大妄想にすぎない。

 日本当局が無分別に米国の対朝鮮敵視政策遂行の突撃隊になって朝鮮戦争の時のように「黄金の雨」を降らせる愚かな夢を見ては、わが革命武力の無慈悲な懲罰で日本全土が灰と化す残酷な敗北だけを味わうことになるであろう。

 誇大妄想に浮かされた日本は、分別なくむやみに狂奔してはならない。

 世界のすべての進歩的な国と人民は、罪悪に満ちた歴史を繰り返そうとする日本当局の憲法改悪劇と軍国主義策動に当然、警戒心を高め、それを阻止し、破綻させるたたかいをさらに果敢におこなっていくべきである。【朝鮮通信=東京】


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