核問題解決の鍵は、朝米間の信頼構築
−2010年4月14日−


 朝鮮中央通信によると、14日付の「労働新聞」は、「問題解決の鍵は、信頼構築にある」と題する署名入りの論評を掲載した。その全文は次のとおり。


 最近、チェコのプラハでロ米間の新たな戦略攻撃兵器削減および制限措置に関する条約が締結された。

 ロシアのメドベージェフ大統領と米国のオバマ大統領が署名した条約は、ロシアと米国がおのおの実戦配備された核兵器を約3分の1程度削減することを規定している。条約が正しく履行されれば、7年後にロ米は戦略核弾頭を1550発ずつ持つことになるという。

 冷戦終息から少なからぬ日数が経過したこんにち、既に世界的な核戦争の危険が大きく減少した新たな環境にかんがみるとき、核軍縮の実際的な意義は別にないものと言える。

 核兵器保有国のうち、条約双方を除いたほかの核保有国が持つ核弾頭の数が多くても数百発程度である実情で、ロ米はこの条約が履行されたとしても、依然圧倒的な核の優位を維持できるようになっている。

 冷戦時代の各軍縮条約とは異なり今回、条約締結のための協議のプロセスや実際にそれが締結されたというニュースに世界がさまざまな反応を示しているのは当然である。

 執権後、国際社会に「核兵器のない世界」を建設するという公約を宣明した米当局者は、その実現に向けた最初の結果としてロ米戦略攻撃兵器削減条約の締結を推し進めてきた。

 米国は、来月ワシントンで開かれるNPT再検討会議で、核軍縮を求める非核国家の圧力を弱めて国際的な人気を上げようとする下心で、同会議の前に条約締結を実現しようと奔走した。

 背景や環境、追求する目的がどうであろうと、今回の条約はたとえ満足するまでには至らないが、互いに敵対関係ではなく信頼がある状況では一定の核兵器削減が可能であることを示した。

 ロ米戦略攻撃兵器削減条約の締結を目の当たりにして世界は、国際的に核戦争の危険が最も大きい朝鮮半島の非核化問題にしかるべき注目を払っている。

 現在も対朝鮮制裁という不信の障壁にふさがれて再開できずにいる6者会談の現状は何を示唆しているのか。それは、当事者間の信頼なしにはいつになっても問題が解決できないということである。

 挫折と失敗を繰り返した朝鮮半島の非核化プロセスを再び軌道に乗せるためには、核問題の基本当事者である朝米間の信頼醸成に優先的な注目を払わなければならないというのが、我々が到達した結論である。言いかえると、朝米間の信頼構築が急務であり、問題解決の鍵となる。

 我々が、朝鮮戦争勃発60年にあたることしに停戦協定を平和協定にかえるための会談を速やかに開始するよう停戦協定の各当事国に提案した趣旨もそこにある。

 朝米間に信頼を醸成するためには、敵対関係の根源である戦争状態に終止符を打つための平和協定から締結されなければならない。朝鮮半島の平和保障体系樹立問題を論議する前に非核化を進捗させる方式は失敗に終わった。

 朝米間の不信の悪循環を解消して信頼を構築し、非核化を推し進めるためには平和協定を締結する道以外の代案がない。

 平和協定の締結は、朝鮮半島の非核化を実現するための唯一合理的で現実的な方途である。歴史に、互いに信頼がなく銃を先に差し出したことはない。

 当事者が互いに銃口を向けている交戦状態では、いつになっても相手側への不信を解消することはできないし、非核化はおろか会談自体が順調に推進されない。

 元来、平和協定は核問題と関係なしにその固有の必要性と緊急性から、既に前に締結されるべきであった。朝鮮半島に早くから強固な平和保障体系が樹立していれば、核問題も発生せずに非核化の問題も提起されなかったであろう。平和協定が締結されれば、朝米敵対関係を解消し、朝鮮半島の非核化を速い速度で推し進めることになるであろう。

 平和協定締結のための協議が開かれるだけでも、非核化のプロセスが前進を遂げられる効率的な推進力がもたらされるというのは疑いない。

 米国が朝鮮半島の非核化を本当に願うのであれば、今からでも実現不可能な「先核放棄」に固執せず、我々との平和協定締結に速やかに応じるべきであろう。

2010.4.14 「労働新聞」論評(全文)−朝鮮通信=東京



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