高校無償化除外は、人権侵害
−2010年4月5日−


 朝鮮中央通信によると、5日付の「労働新聞」は、「許されない不当な民族差別策動」と題する署名入りの論説を掲載した。その全文は次のとおり。


 今、朝鮮総聯の民族教育に対する日本当局の不当な差別措置は、内外の強い抗議、糾弾を呼び起こしている。

 最近、日本では政府の高校支援(授業料無償化)対象から唯一、朝鮮学校だけを除外しようとする企図が露骨になって深刻な社会的世論を呼び起こしている。

 この問題をめぐり、日本当局は「国民の理解」がどうの、「教育内容の検討」だのと言いがかりをつける一方、「拉致問題」と我が共和国に対する制裁問題まで取り上げている。

 反共和国対決策動の名手である自民党は、「朝鮮学校は純粋な教育機関ではなく、北朝鮮の体制を支えるためのイデオロギー学校・対日工作機関である疑いがある」と悪意に満ちて中傷して支援反対決議まで採択した。その一方で、一部の地域当局の極右保守分子らは「政治信条」などを云々して、もし、政府が支援対象にしても「公金は出せない」との悪態をついている。

 そうしたなか、数日前、朝鮮学校を支援対象から排除する関連法案が国会衆参両院の本会議で採択された。

 これは、朝鮮総聯と在日同胞の民主的民族権利を踏みにじるための日本の反動層のもう一つの卑劣で計画的な策動であり、日本特有の民族排外主義政策と長い歳月持続してきた悪辣な対朝鮮敵視政策の延長である。

 この問題は単に、日本当局が朝鮮学校にいくらかの金を支援するか、しないかという金銭的な問題ではない。

 朝鮮学校の生徒は、かつて日帝により強制的に日本に連行された朝鮮人の子孫であり、彼らが学ぶ朝鮮学校は日本政府の承認を得て朝鮮総聯組織が運営する合法的な民族教育機関である。朝鮮学校が日本学校と同等の権利をもつのは当然である。

 そもそも、日帝が我が国を植民地に転落させ、朝鮮人を日本に強制連行しなかったなら、あえて在日朝鮮人の教育問題は発生すらしなかったであろう。

 かつて日帝が働いた犯罪から見ても、教育学的立場から見ても日本は当然、朝鮮学校の生徒の民族教育の権利を法律的、道義的に尊重し、それを保障しなければならない。しかし、日本は自分らの当然の法律的・道徳的義務である在日朝鮮人の民族教育に対する支援はおろか、それを抹殺しようとあらゆる策動を弄してきた。

 在日朝鮮人の民族教育に対する日本当局の妨害・抹殺策動は歴代、各種の暴圧機関を動員した暴力的弾圧とさまざまな差別措置を通じた政策的弾圧の2つの形で行われてきた。

 今から60余年前の4.24教育闘争の導火線になった悪名高い「朝鮮学校閉鎖令」、朝鮮学校に対する「規制と管理」を目的に執拗に行われてきた「外国人学校法案」捏造企図をはじめ、それを示す実例は枚挙にいとまがない。どれも皆すべて在日同胞に対する「民族同化」にその基本目的があった。

 民族教育抹殺という不純な目的を実現するために、日本は在日朝鮮人の民族教育に対する「国庫負担」に必死になって背を向けてきた。

 現在、日本に住んでいる我が同胞は、日本国民と全く同じように租税納付義務を負っている。どの国でも義務と権利は不可分の関係にある。したがって、日本当局が在日同胞の民族教育に該当分の教育費を当然支払わなければならないということは、至極明白な理である。しかし、今まで日本当局は、民族教育に対する野蛮で排他的な弾圧だけを行っただけで、国家の財政から民族教育費を支出したことはなかった。彼らの論理は、「恩恵に浴したければ日本の学校に通えばいい」ということである。どれほど破廉恥な論理であろうか。

 国際法的な立場から見ても、朝鮮総聯の民族教育に対する差別行為は絶対に許されない。

 外国人に同等の教育の権利を保障することは、国際人権規約の主要内容である。にもかかわらず、何かと言えば「平等」や「人権擁護」を口にする日本が、朝鮮学校に対してこのような差別的で侮蔑的な措置を講じようとしているのである。これは明白に、乱暴な国際法違反行為であって、何によっても正当化されない。

 最近、国連人種差別撤廃委員会が、朝鮮学校を支援対象から除外しようとする日本当局の行為に対して「北朝鮮との外交関係を理由に朝鮮学校を除外すべきであると主張しているようだが、そのような差別的な措置が法律に盛り込まれるのか」と問いただして非難したのは理由のないことではない。

 一言で言って、日本の今回の差別措置は、人権保障と人道主義の要求にも甚だしく反する悪辣な人権侵害であり、非人道的行為である。これによって、日本こそ、良心や道徳のない低劣で鉄面皮な国であることが再度ことごとく明るみになった。今回の朝鮮学校に対する差別措置だけを見ても、日本の反動層の朝鮮民族敵視策動がどれほど執拗で悪辣であるのかを察することができる。

 朝鮮人であるというたった一つの理由で、在日同胞が受けているこのような不当な民族差別政策は全民族の込み上げる憤激を呼び起こしている。

 すべての朝鮮総聯の活動家と在日同胞は、今、自分たちの民族的権利を守るためたたかいに立ち上がっている。

 日本各地で「高校支援対象からの朝鮮学校除外に反対する同胞緊急集会」が連日行われている。在日本朝鮮青年同盟、在日本朝鮮留学生同盟、在日本朝鮮青年商工会をはじめ、朝鮮総聯傘下の各団体の活動家と朝鮮学校の教職員、生徒・学生、同胞は東京、北海道、京都、大阪をはじめ、各地で日本当局の差別行為の不当性を明らかにする宣伝活動とともに、朝鮮総聯の民族教育に対する正しい理解をもって朝鮮学支援問題を公正に処理することを日本の国会に求める活動を力強く展開している。彼らは、日本当局の今回の行為は、日本の社会で反共和国敵対感情を鼓吹し、朝鮮総聯の神聖な民族教育事業を自分らの不当な目的の実現に利用しようとする政治的弾圧であると断罪し、途方もない口実を設けて朝鮮学校を差別し、同胞子女をいけにえにするこのような破廉恥な行為を絶対に許さず、次代の学びの場と権利を守るために最後までたたかう意志を誇示している。

 彼らの正当なたたかいは日本の進歩的人民の積極的な支援を受けている。

 朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議、日本と朝鮮との友好を推進する会、外国人学校・民族学校の問題を考える弁護士有志の会など、各界の市民社会団体は、日本当局に朝鮮学校を差別するのはこの学校に通っている生徒に対する重大な人権侵害であり、日本国憲法や国際条約に反する行為になると非難し、教育問題を外交的、政治的な問題に利用しようとする愚かな考え方を捨て、歴史の流れに逆行する誤った行為を中止するまう強く求めている。

 日本は、内外の世論の非難と糾弾の声を銘記し、朝鮮学校支援問題を慎重かつ公正に処理すべきである。

 もし、日本当局が、我が人民と国際社会の正当な要求に逆らって民族差別、非人道的な政策を強行する道へ引き続き進むなら、より大きな国際的な非難と排撃を免れないであろう。

2010.4.5 「労働新聞」論説(全文)−朝鮮通信=東京



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