朝鮮人「慰安婦」
  
−朝鮮民主主義人民共和国からの証言を中心として


 在日本朝鮮民主女性同盟中央常任委員会は、小冊子「朝鮮人『慰安婦』」を1992年10月12日に発行しました。小冊子での朝鮮人「慰安婦」の証言を中心に資料提供を行います。

 小冊子は、冒頭で「このパンフレットを読まれるかたに」で次のように記述しています。

 1992年7月6日、日本政府は「従軍慰安婦」問題の調査結果を発表し、最近の民間調査団や大学教授などの資料発見を前に、政府と旧日本軍がこの問題に関与したことをようやく認めました。しかし、「強制連行した事実を実証する資料はなかった」としています。「当時の書類は一切消却した」とするならば、少なくとも、当事者および関係者から証言を聞くのが誠意ある調査態度というべきでしょう。しかし日本政府は、南北朝鮮の元「慰安婦」たちが、思い出したくもないおぞましい体験を勇気をふりしぼって証言しているのに対して、「聞き取り調査は考えていない」(「毎日新聞」7月7日付)と誠実性を欠く態度に終始しています。

 これに対し7月10日、朝鮮民主主義人民共和国外交部スポークスマンは談話を発表し、「従軍慰安婦」問題は「植民地統治期に日本政府によって企てられ、軍部によって執行された日本当局の組織的な大犯罪行為」であるとし、かつて「朝鮮女性に強いた前代未聞の犯罪行為の全貌を明白にすべきであり、これに対して心から謝罪し、当然の被害補償をしなければならない」と主張しています。

 日本の植民地時代、侵略戦争に奔走する日本軍に連行されて、兵士の「性の処理道具」にされた朝鮮女性は、10万とも20万とも言われていますが、実態はいまだに明らかにされていません。(以下、割愛)

 2002年9月17日に調印された日朝平壌宣言で、「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明した」と合意、宣言しました。「慰安婦」問題に関する最近の動きを紹介します。

 日本の民主党、共産党、社民党、無所属の参議院議員らは2006年3月29日、「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」を共同で提出しました。同法案の提出は7度目。

 同法案は、旧日本軍がアジアの女性たちに対して組織的、継続的に性的行為を強制し、彼女たちの尊厳と名誉を傷つけたことについて、日本政府が謝罪し、名誉回復のために必要な措置を講じること、そのために首相を会長とする「戦時性的強制被害者問題解決促進会議」を設置することなどを求めています。日本政府は民間基金の「女性のためのアジア平和国民基金」を設置したことで、国としての責任から逃れようとしているのが現状です。

 米議会の、レイン・エバンス米下院議員(民主党)はクリス・スミス米下院議員(共和党)と共同で、日本政府が「慰安婦」問題を公式に認め責任を果たすよう求める決議案を提出。2006年4月4日、米議会国際関係委員会に委託されました。

 同決議案は、「日本はアジアの女性たちを性的奴隷にするため、彼女たちを組織的に服従させ拉致した」「『慰安婦』の悲劇は20世紀最大の人身売買の一つ」と指摘。また、日本が当時13歳の幼い少女や子どもを持つ母親を含む20万人の女性を拉致し、しかも殺害されたり自殺したりした女性も多いとしながら、「慰安婦」問題が過去のみならず現在も人権問題として残っていると強調しています。

 さらに、日本政府は戦争犯罪を完全に明らかにしておらず、政府高官は「慰安婦」という言葉を教科書から削除することを称賛しているとも指摘しています。

 同決議案は、日本政府に対し△「慰安婦」問題の責任を認め△非人間的な犯罪であると教育し△再発防止を公式に繰り返し宣言し△国連や国際アムネスティの勧告に従うよう求めています。

 関連して「朝鮮新報」電子版2006年7月4日付は、米下院には2001年、2005年に続き今回3度目になる日本の「従軍慰安婦」犯罪を問う決議案上程の最近の動きを報じています。

 記事によると、「下院国際関係委員会所属議員11人をはじめ民主、共和両党38人の議員が賛同署名し、いつでも本会議に上程できる状態にある」が、「しかし日本政府は、小泉首相の訪米を控えて決議案審議を阻止するため下院を舞台に猛烈なロビー活動を展開、その結果一転して、同決議案は廃棄の危機に瀕している」状況だといいます。

 「中央日報などの現地報道によると、『4月に決議案が下院国際関係委に提出されたあと、日本外務省は大物ロビイストを動員して妨害工作』に乗り出し、『小泉首相の訪米終了後まで決議案上程を延期するよう』持ちかけて成果を上げた」 何とも、不遜かつ傲慢な態度だといわざるを得ません。

 「日本国内閣総理大臣 小泉純一郎」名で調印した、日本の過去清算を含む朝・日平壌宣言の履行は端緒が開かれていないも同然。後継総理の姿勢によっては、宣言自体の内実が反故になる可能性が高い雰囲気を打破しなければなりません。「過去を清算しようともせず、他者が促せば妨害する。国際社会に映るその姿を日本は正視すべきだ」との指摘を重く受けとめることが肝要です。

 米議会調査局(CRS)は2006年4月10日、初めて日本軍「慰安婦」問題に関する分析報告書を発表。歴史教科書歪曲や靖国参拝などにも言及し、過去についての日本の解明がたりないと指摘しています。

 朝鮮人強制連行真相調査団は、スイスのジュネーブで1997年8月4〜29日に開かれた第49回国連人権委員会差別防止少数者保護小委員会で、1937年に日本の大審院(現在の最高裁判所)が、中国・上海の海軍慰安所で「従軍慰安婦」として働かせる目的で、日本から女性をだまして連れていった日本人慰安所経営者らに対し、旧刑法226条の「国外移送、国外誘拐罪」を適用して有罪確定の判決を出していたことを報告。甘言、欺瞞などを含む強制的な「慰安婦」集めが、当時から日本の国内法でも犯罪だったことが明らかになりました。

 同調査団が大阪府立図書館の「大審院刑事判例集」で確認したところでは、この事件は上海で軍人相手に女性に売春させていた業者が、1932年に「海軍指定慰安所」の名称のもとに営業拡張を計画。仲間と共謀して「女中か女給として雇うように欺瞞し」、15人の日本人女性を長崎から上海へ送った、というものです。「慰安婦」連行では、朝鮮や中国でも同様のケースが数多くあったことが証言で明らかにされています。

 以上、最近の動きに関する記載事項は、「朝鮮新報」電子版の1997年9月26日、2006年4月18日、2006年5月9日、2006年7月4日付記事のまとめです。


朝鮮人「慰安婦」問題
    
朝鮮人「慰安婦」の証言
     
◇ 12歳で「慰安婦」に
    
◇ 使い捨てにされた朝鮮女性
     
◇ 拷問の後遺症に苦しむ日々
     
◇ 南洋の島で「慰安婦」に
     
◇ 12年間の「慰安婦」生活
    
◇ だまされて「慰安婦」に


関連資料      
◇「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会 告訴状
◇ 羅南第19師団の「従軍慰安婦」犯罪
◇ 1993年の河野官房長官の談話
     
関連報道
◇ 世界最大の拉致国、日本の「慰安婦」犯罪を断罪する(2008年01月31日)
◇ 欧州議会「慰安婦」決議案採択、戦争犯罪補償せよ(2007年12月23日)
◇ 欧州「慰安婦」決議案、道徳的責任全うせよ(2007年11月21日)
◇ 「慰安婦」全面否定は鉄面皮な妄動(2007年07月25日)
◇ 「慰安婦」決議案採択阻止の動きを非難(2007年07月09日)
◇ 米下院外交委員会「従軍慰安婦」問題での決議全文(2007年06月29日)
◇ 「慰安婦」否定広告は破廉恥な歴史歪曲(2007年06月26日)
◇ 「慰安婦」強制連行犯罪を否定する「産経新聞」(2007年04月24日)
◇ 従軍慰安婦:強制性示す新資料(2007年04月18日)
◇ 「従軍慰安婦」米議会報告・「安倍首相矛盾」と批判(2007年04月13日)
◇ 慰安婦強制動員を裏付ける文書を発見(2007年04月12日)
◇ 下村官房副長官の「慰安婦」発言批判(2007年04月03日)
◇ 「慰安婦」被害者、日本軍の強制動員を告発(2007年03月29日)
◇ 「慰安婦」強制性否定の「政府答弁書を非難(2007年03月28日)
◇ 「慰安婦」妄言撤回せよ(2007年03月07日)
◇ 安倍発言を非難(2007年03月03日)
◇ 米議会 日本政府の態度を問う(2007年03月03日)
◇ 日本の戦争責任資料センターの声明(2007年02月23日)
◇ 米下院「慰安婦」決議案提出は当然(2007年02月12日)
◇ 日本の従軍慰安婦に連行されたオランダ人女性が証人に(2007年02月09日)
◇ 「河野談話見直し」の動きを非難(2007年01月20日)
◇ 日本軍「慰安婦」問題 河野談話の発展、浸透を(2006年11月06日)
◇ 米下院国際関係委、日本の慰安婦関連決議案を可決
◇ 元「慰安婦」の朴永心さんの死去で談話(2006年08月14日)


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