2006年2月の日朝政府間会談 朝鮮の主張と報道
−2006年2月4〜8日−

朝鮮中央通信の会談報道

 2006年2月4日から8日まで、中国の北京で国交正常化のための朝日政府間会談がおこなわれた。

 会談では、2002年9月17日に採択された朝日平壌宣言を履行するための過去の清算問題、安全保障問題、拉致問題など互いに関心をもつ問題が討議された。

 過去の清算問題に関連して我々はまず、日本が朝日平壌宣言に指摘されているとおり、我々にたいする経済協力を実施し、840万余人の朝鮮人強制連行、100余万人の虐殺、20万人の朝鮮女性を日本軍「慰安婦」として連行するなど、特大型の反人倫犯罪については、経済協力とは別途に計算すべきであるという立場を明らかにした。

 過去の清算問題の一つである在日朝鮮人の地位問題に関連して我々は、在日朝鮮人が日本で暮らすようになった経緯と現在の境遇を想起させ、日本が在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)弾圧と在日朝鮮人にたいする差別をしてはならず、民族教育を保障および奨励し、社会的・経済的施策を実施し、経済活動を保護することについて日本側に求めた。

 文化財問題に関連して我々は、日本が朝鮮占領期間に略奪した文化財を原産地返還の原則に従って無条件返還し、破壊された文化財を復元し、破壊されて返還および復旧が難しくなった文化財については補償すべきであるという立場を強調した。

 安全保障問題に関連して我々は、ミサイル発射が徹底して我々の自主権に属する問題であることと、日本が戦争法の制定と憲法改悪、核武装化、偵察衛星の打ち上げを通じた宇宙の軍事化など、地域の平和と安定において深刻な憂慮をまねく行動を取ってはならないということについて指摘した。

 拉致問題に関連して我々は、今までこの問題解決のために傾けた我々の誠意と努力、これに関する我々の立場を改めて強調し、日本側が新たに持ち出している「生存者帰国」「真相究明」「犯人引き渡し」などの不当性を指摘した。

 そして、日本がこの数年間、我が国の公民を誘拐、拉致した日本人犯罪者を引き渡すべきであると強く求めた。(2006.2.9朝鮮中央通信−朝鮮通信)


日本極右保守勢力の会談後遺症

 朝日政府間会談の結果について、日本の極右保守勢力が共和国にたいする「制裁発動」「圧力」などと言って、あくどく振る舞っている。

 最近、内閣官房長官と外相を含む極右保守勢力は、朝日会談の結果に言いがかりをつけ、我々にたいする新たな圧力強化の必要性を云々する妄言をはばかることなく吐いている。

 一方、日本政府は、在日本朝鮮人総聯合会の関連施設にたいする課税強化と共和国船舶にたいする厳格な安全検査、取締り強化など圧力のための案が策定されている。

 これは、朝日関係における核心事項を弱めさせて過去の清算を回避し、今後おこなわれる選挙を控え、政治的人気を上げようとする日本の極右保守勢力の卑劣な下心に起因するものである。

 周知のように、3年ぶりに再開された今回の朝日政府間会談がまたしても突破口を開けなかった状態で幕を下ろしたのは、全的に会談に臨んだ日本の不誠実な立場のためである。

 会談で日本は、「拉致問題」を引き続き取り上げ、これを口実にして第2次世界大戦以降、60余年間も無視してきた過去の清算をまたしても回避した。

 作心三日(日本での「三日坊主」)ということわざのように、大勢の流れに押されて会談に出ては来たものの、日本の保守勢力が望んでいるのは決して関係正常化に有益な結果ではない。

 彼らは、会談で必ず論議することになっている過去の清算問題を何としても否定するため「拉致問題」を取り上げて複雑さをつくり出し、会談の方向を逆転させようとした。

 朝日政府間会談の核心が過去の清算問題であり、これが解決されれば、その他の問題がおのずと解決されるというのは、だれでも理解できるであろう。

 会談場では過去の清算を回避し、外では圧力と制裁を云々する日本の極右政治勢力こそ初歩的な道義と良心ももっていない連中である。

 去る9日、英国のロイター通信がこれに関連し、「会談が終わるなり、内閣官房長官が北朝鮮にたいする制裁発動の可能性に言及したのは、歴史的な債務をもっている方が先に相手を意図的に刺激する行為であって、逆に朝日関係の正常化を妨げる事態発展」になると評したのは理由のないことではない。

 現在、日本国内で我々にたいする圧力を加速化すべきだという主張が相次ぎ、対朝鮮敵視策動がいっそう露骨になっているのは、政府内の要職についている極右保守勢力の策動によるものである。

 日本の政治環境は、極右保守勢力が対朝鮮先制打撃を主張して狂奔するのを傍観するほどまで右傾化している。

 日本の保守勢力は、日本全国を極端な右傾化へとあおる触媒として作用しており、ここで「拉致問題」は、彼らの国民的支持獲得をねらう政治的欺瞞劇である。

 理性のある政治家なら、朝日関係改善の根本の結末がどこにあるのかを知るべきであり、日本の極右保守勢力がかくも対朝鮮圧殺策動に頼らなければならない理由に背を向けてはならないであろう。(2006.2.20朝鮮中央通信社論評(全文)−朝鮮通信)


朝・日国交正常化会談朝鮮側団長 宋日昊大使
朝鮮新報インタビュー「過去の清算、一歩も譲れぬ」

 4〜8日に北京で、3年3カ月ぶりに開かれた朝・日政府間会談朝鮮側代表団長の宋日昊・外務省朝・日会談担当大使に話を聞いた。(金志永記者)

 制裁には物理的対応

 −今回の会談にたいする評価を聞かせてほしい。

 会談で朝・日双方は互いの立場をよりよく知ることができた。朝・日平壌宣言の基本原則に従い両国の関係が改善されなければならないとの認識も再確認した。

 全体としては日本も会談が有益であったとの認識をもったようだ。もちろん、今回の会談は互いの一致点よりも相違点がより多く確認されたといったマスコミの報道を知らないわけではない。

 朝鮮側としては、日本側がもう少し誠意ある準備をしたうえで会談に臨むべきだったと思う。従来の立場を繰り返し、それが世論になることを目的に会談に臨むなら、どんな問題も解決できない。

 現在、朝・日両国は敵対関係にある。そのために多くの問題が未解決のまま残っているが、これを解決するには朝鮮側の努力だけではダメだ。日本も誠意を見せるべきこと、努力すべきことがある。

 拉致問題を解決するために、朝鮮はできることは、最大限能力を発揮してできるよう努め、誠意を示してきた。日本側の主張は死亡者を生き返らせて連れてこいということだ。

 日本側は拉致問題で何らかの進展がなければ「厳しい対応」、つまり制裁を加えるとの立場を表明したが、我々は日本がもしそうでるなら強力な物理的対応をとると答えた。また、日本自身の歴史的課題である過去の清算を引き続き回避するなら、我々も厳しい対応をせざるをえないと伝えた。

 もちろん、国交正常化を目標にした会談での討議がこのような流れになってはならない。実際に提起される問題を解決し関係を改善するためには、相違点を後回しにして共通点から見つけねばならない。現時点では朝・日が敵対関係にあるだけに、できることとできないこと、やりやすいこととやりにくいことを分けて、一つずつ方法論を見つけねばならない。

 −会談で日本は「拉致問題の解決なしに国交正常化はありえない」との論理を再び展開したようだが。

 明確にしておくが、我々は拉致問題を解決して経済協力や、いかなる政治的代価を得ることも期待したことはない。

 いままで拉致問題解決のために誠意ある努力を傾けてきたが、それは拉致という行為自体が悪いことだと承知しているからこそ良心的、道徳的に行動したまでだ。

 今回の会談は元々、実務接触の過程で日本側が提起した内容に基づいて準備された。日本側は過去、朝・日政府間会談で拉致問題だけを論議してきたため過去の清算問題は実質的に深く討議できなかったとして、会談が再開されれば過去の清算、拉致、安保の3つの分科に分けて討議しようと提案した。自分たちも過去の清算問題に誠実に取り組むと語った。

 にもかかわらず、今回の会談の性格も拉致問題を討議する場になってしまい、再び原点に戻らざるをえない状況だ。拉致問題に関する国内世論、強硬勢力の圧力を考慮し、この問題を重点的に協議する場を設けるため、我々に「過去の清算にたいする誠意」について述べたのではないかとの疑いすらもっている。


 遺骨鑑定の真相解明を

 拉致問題と関連した日本の主張について。

 日本は今回の会談で「生存者の帰国」を求めたが、過去何度も調査活動を行った結果として、該当する拉致被害者たちが死亡した事実が確認されている。既に日本政府関係者らは死亡と関連した目撃者らと平壌で会って彼らの証言を聴取し、問題解決のための朝鮮側の誠意と努力に謝意を表したいきさつがある。

 にもかかわらず、ここに来て「生存者の帰国」を持ち出したのは理解できない。「真相究明」も同様だ。我々は資料と遺品をすべて提供し、それに関して説明もした。

 「実行犯引き渡し」と関連して持ち上がっている「辛光洙問題」についても、既に以前、「旅券所持法違反」問題と関連して日本側に通報したが、その時には日本は引き渡しについて持ち出しもしなかった。日本側が我々の通報内容を十分に了解したからだろう。

 だが、今回突然、彼(辛氏)が横田めぐみさんの拉致に関与したかもしれないとの「証言」が出たことで、それを根拠に主権国家の公民を引き渡せというが、話にもならない。拉致に関与したとの証言者がだれかもわからないし、その証言者を我々が直接確認しなければならない。ウソを流布する目的を明らかにする必要がある。

 ただし全体的には、拉致問題解決のための我々の誠意と努力を日本も知っており、遺骨問題に関して数多くの疑惑が浮上していること、つまり拉致問題は解決されたとの朝鮮側の主張が立証できる状況ができている。こうした中で、ある勢力が「新たな拉致問題解決」を持ち出してきた。

 −朝鮮側が横田めぐみさんの遺骨鑑定の真相解明を優先させなければならないとする根拠は何か。

 過去の経緯を見るかぎり、我々が日本にたいして誠意をもって対応すればするほど、疑問点がより大きくなり、新たな問題点がより多く提起されるとの結論に到達せざるをえない。

 そのため我々は、これまで解決された問題、進行状況を念頭に置いて、ここで提起された問題から解決されなければならないと主張している。それが横田めぐみさんの遺骨鑑定の真相解明だ。

 まず、鑑定を担当したという帝京大学元講師の吉井富雄氏と朝鮮の鑑定家たちが面談し、鑑定結果にたいする検証作業が実現されねばならない。

 遺骨も返還されなければならない。日本が「偽物」と断定した以上、所持する必要がない。我々は平壌にいる遺族に遺骨を返さなければならない。彼らもそれを要求している。

 再び強調しておくが、遺骨鑑定の真相が解明されないかぎり拉致問題を取り巻く状況はいつになっても収拾できない。


 「財産」で論じられない

 −過去の清算問題はどのように討議されたのか。

 日本の過去の清算は両国関係を改善するうえで核心的な問題だ。この点においては一歩も譲れない。

 日本がおこなうべき過去の清算は大きく3つ。

 第1に、日本が植民地時代に朝鮮人民に被らせた人的、物理的、精神的被害を補償すること、第2に在日朝鮮人の地位問題を解決すること、第3に略奪した文化財を返還することだ。

 一番目の補償問題に関しては、平壌宣言ですべての財産および請求権を放棄するとの内容が示されており経済協力方式で解決できる。だが、これはあくまで過去の物質的被害にたいする金銭補償の性格と同じだ。

 植民地時代の強制連行と虐殺蛮行、「従軍慰安婦」問題などは別途計算されなければならない。人間は財産ではない。平壌宣言で示された財産および請求権の放棄は、国家や個人が所有した財産を取り戻す権利を放棄するということだ。しかし、前で述べたような日本帝国主義の人権蹂躙犯罪に時効はなく、財産問題のように論じて経済協力方式で解決できるものでもない。

 −過去の清算問題に関する分科会談では在日朝鮮人の地位問題も深く討議されたようだが。

 在日朝鮮人の地位問題は、実際に日本に住む同胞たちに迫害が加えられる問題なので至急解決されなければならない。国交が正常化される前にでも解決すべきだ。日本側もそれを認めるからこそ、小泉首相が2004年5月の2回目の訪朝時に在日朝鮮人を差別せず、友好的にたいすると述べ、総聯第20回全体大会に同様のメッセージを送ったと思う。

 在日朝鮮人が日本に住むようになった歴史的経緯、彼らが置かれている現在の社会的状況を考慮するとき、ほかの一般在日外国人とは区別される特別な地位が与えられなければならない。「特別待遇」のなかには、在日朝鮮人の尊厳と民族性の保障、日本社会での安全で安定した生活の保証などが含まれる。

 我々が朝・日会談をおこなう目的は、在日朝鮮人の実際の生活とはかけ離れて考えられない。国交正常化がすぐに実現されなくても、在日朝鮮人の地位問題は一瞬たりとも忘れてはならない。今回の会談では在日朝鮮人の地位問題と関連した討議に特別多くの時間を割いた。我々は今後もこの問題を我々自身の最優先課題として、日本との交渉に断固たる立場で臨むだろう。


 全同胞の期待にこたえる

 朝・日会談担当大使に任命された感想と今後の抱負について聞きたい。

 大変な重責を担ったと思っている。この任務を果たすために、すべての知恵と能力を発揮する決意でいる。祖国と海外に暮らすすべての同胞たちの期待に沿えるよう一生懸命がんばりたい。

 朝・日関係改善のための会談であるだけに、総聯のアドバイスと助けを積極的に受けることが大切だ。日本で活動する活動家の意見、同胞たちの生活体験を尊重してこそ、会談でも良い結果が得られると思う。

 異国の地で民族の魂を抱いて暮らすことは決してやさしいことではない。我々は総聯と在日同胞が常に信念をもって愛族愛国運動を繰り広げることを確信している。朝鮮代表団は、そのような同胞たちの姿に力を得て、今後も自分たちの使命に忠実に精いっぱい努めていくつもりだ。[朝鮮新報 2006.2.14]


朝・日政府間会談 過去清算など3つの懸案論議

【北京発=金志永記者】朝・日政府間会談が4日から8日まで北京でおこなわれた。朝鮮と日本との国交正常化会談は、朝・日平壌宣言発表直後の2002年10月にクアラルンプールで開かれて以来3年3カ月ぶり。昨年12月の副局長級接触での合意を受けて、過去の清算問題、安全保障問題、拉致問題を含めた懸案問題の3つの議題別に話し合われた。会談には宋日昊・外務省朝・日会談担当大使を団長とする朝鮮側代表団と、原口幸市・外務省日朝国交正常化交渉担当大使を団長とする日本側代表団が出席した。会談初日の4日、全体会議がおこなわれ、双方は平壌宣言履行の姿勢を堅持し会談に臨むことで合意した。8日におこなわれた全体会合で朝・日双方は政府間会談の継続を確認し、次回の日程に関しては外交ルートを通じて調整することになった。


 過去の清算−「一括妥協方式」は不十分

 6日、双方代表団の団長である宋日昊大使と原口幸市大使の参加のもと、過去の清算に関する協議がおこなわれた。朝鮮側は、平壌宣言に明示された経済協力問題、在日朝鮮人の地位問題、植民地時代の略奪文化財の返還問題に関する見解と立場を明らかにした。

 日本側も、植民地時代に朝鮮人民に多大な損害を与えたことについて反省と謝罪の意を表し、平壌宣言に従い「必ず過去の清算をおこなう」と発言した。

 談ではまず日本側が、経済協力問題と関連して、日本の政府開発援助(ODA)の制度と運営方式、過去の実績について説明し、過去の清算をこのような「一括妥結経済協力方式」によって進めていく意向を示した。

 これにたいし朝鮮側は、植民地時代の強制連行や「従軍慰安婦」問題などは財産および請求権とは別個に扱われるべき問題であると主張。したがって日本側が主張する「一括妥結経済協力方式」は、それだけでは不十分な方式であるとの見解を示した。

 また、在日朝鮮人の地位問題を過去の清算問題の重要な柱の一つにあげ、これと関連して日本側が解決すべき諸問題について言及した。

 日朝鮮人にたいする差別が依然として残っている日本の現実について指摘した朝鮮側は、二度にわたる小泉首相の訪朝以降も在日朝鮮人を取り巻く状況が改善されるどころか、逆に悪くなっていることを問題視した。

 朝鮮側はまた、日本の植民地政策に起因する在日朝鮮人問題を他の在日外国人問題と同一視すべきではないと強調し、民族教育にたいする制度的保障、在日一世にたいする救済、在日朝鮮人の生活と安全を脅かす不当措置の撤回等の対策を早急に講じるよう強く求めた。

 略奪文化財の返還問題に関しては、現状返還の原則に従い解決されるべきだと指摘し、損傷した遺跡などは復旧が必要であることと、跡形もないものについてはどのような形態であれ補償が必要との立場を明らかにした。


 安全保障−6者復帰、「米に環境整備求めよ」

 7日午前におこなわれた核、ミサイルなどの安全保障問題に関する会談には、朝鮮側から鄭泰洋・外務省米州局副局長ら、日本側からは山本忠通・外務省北朝鮮核問題担当特命全権公使らが出席した。

  朝・日政府間で安全保障問題を単独の議題として扱う公式会談が開かれるのは今回が初めて。

 関係者によれば、朝鮮側はほかの分科と同様、安保問題に関する分科会談においても、平壌宣言の精神に従い「するべき話をした」。

 「6者会談への復帰」を求める日本側にたいし朝鮮側は、核問題の解決を困難にしている米国にたいして「会談再開への環境整備を求めるべきだ」と応じ、日本側の主張を一蹴した。

 会議終了後、朝鮮側関係者は、朝・日政府間で安保問題に関する協議が実現した意義を認めつつも、「依然として朝・日間で安全保障問題を単独の議題として扱う前提も背景もない」との見解を明らかにした。さらに、「日本が自国の安保をそれほど重視するのなら、平壌宣言を履行し朝鮮との関係改善を実現させる方向へと進むのが当然」と語った。


 拉致など−「遺骨」の解決なしに進展ない

 拉致問題を含めた懸案問題に関する協議は全体会議翌日の5日におこなわれた。

 朝鮮側から金哲虎・外務省アジア局副局長ら、日本側から梅田邦夫・外務省アジア大洋州局参事官らが出席した。

 午前から始まった会談は、休憩を挟み、夕方まで約9時間にわたりおこなわれた。

 日本側は、「拉致問題は我々にとって最大の関心事」(梅田参事官)だとしながら、今回の政府間会談の焦点を拉致問題に合わせる議論を展開した。

 会談の席上、日本側は「生存者の帰国」「真相究明」「拉致実行犯」の引き渡しなどを朝鮮側に求めた。

 協議終了後、朝鮮側関係者は、国交正常化会談で具体的な進展をもたらすためには、「拉致問題の解決」を国交正常化の前提条件にしている「日本側が従来の立場から転換しなければならない」との見解を示した。

 会談では朝・日双方が「拉致」問題と関連した互いの見解と立場を明らかにしたが、長時間の協議を通じても互いの相違点は解消されなかった。

 拉致問題に関しては、日本側の強い要望により、7日午後に2回目の協議がおこなわれたが、1時間半という短時間で終了した。

 拉致被害者に関する「再調査」の実施など、前回協議と同様の要求を繰り返す日本側にたいし、朝鮮側も横田めぐみさんの「遺骨問題」の真相解明が先決だとする立場で一貫した。

 朝鮮側は、双方に根本的な見解の相違が横たわっている「遺骨問題」の解決なくして、「拉致問題の進展」を云々することはできないと主張。「遺骨の返還」や「鑑定人との面談」など、真相を明らかにするための実質的な手続きを踏むよう再三にわたり日本側に求めた。[朝鮮新報 2006.2.10]

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