朝日政府間会談
モンゴルで朝日政府間会談 
−2012年11月9日−

 2012年8月の朝日両国の外務省課長級接触に続き、双方の合意によって11月15、16の両日、モンゴルのウランバートルで朝日政府間会談を行うことになる。会談では、両国の関係改善のための問題を協議することになる。【朝鮮中央通信=朝鮮通信】


「関係改善のための持続的対話」
宋日昊大使インタビュー「朝鮮新報」
−2012年11月26日−

 4年ぶりに開かれた朝・日政府間会談(モンゴル・ウランバートル、15〜16日)で双方は、一連の懸案問題について協議し、次回の会談を早期に開催することにした。今回の会談について、朝鮮代表団団長の宋日昊・外務省日本担当大使に話を聞いた。

 −今回の会談をどう評価しているのか。
 2008年8月の瀋陽会談以来、4年ぶりに政府間会談が開かれた。その間、朝・日関係は悪化したままで、日本人遺骨問題など新たな問題も上程されるようになった。
 このような状況のもと、今回の会談では過去に比べてより多くの問題を取り上げた。論議も長時間にかけて行われた。
 朝・日双方が、それぞれ関心事項に対する見解を明らかにし、それに対して突っ込んだ議論を行った。会談は、真摯で建設的な雰囲気のなかで行われた。互いの論議が関係改善の見地から行われ、対立点を強調するのではなく、問題を解決していこうという方向で行われた。

 −過去の清算問題は論議されたのか。
 今回の会談でも、当然、過去の清算問題を取り上げた。我々が過去の清算問題を論ずるときは、日帝の植民地支配と強制連行の直接の被害者である在日同胞に関する問題も念頭に置いている。
 過去の清算と在日朝鮮人の地位の問題は、区別できない一つの枠内にある問題だ。
 今回の会談では、在日朝鮮人の地位の問題で提起された懸案に対する見解と立場を明らかにし、主張することは主張した。日本側からも、この問題が過去の歴史に起因する問題であることを認める発言と、朝・日平壌宣言に基づいて問題解決に誠実に取り組むという趣旨の立場表明があった。

 −会談に臨む日本側の姿勢はどうだったのか。
 過去のように、日本側がある特定の問題のみに固執したり、我々が受け入れられない問題を持ち出したりすることはなかった。もちろん、日本側もみずからの関心事項を論議の過程で反映したが、彼らも双方が問題解決のための合意点を探せるようにすることに関心を払ったようだ。一言で、従来より協力的な姿勢で会談に臨んだといえるだろう。

 −両国は、次回の会談を早期に開くことにした。
 両国間には、半世紀以上解決されてこなかった根深い問題がある。双方の見解上の相違も多く、1、2回の協議で解決できるものではない。
 4年ぶりに開かれた政府間会談で、朝・日双方は、問題解決の目標に向かって互いに協力していくことで見解を一致させた。そして、次回の会談を早期に開催することにしたのだ。
 朝・日関係の改善に対する我々の意志に変わりはなく、一貫している。対話を中断することなく継続して、問題を解決させていくということだ。

 −在日同胞たちは、朝・日会談の推移を常に注視している。
 金日成主席と金正日総書記は、生前、朝鮮総聯と在日同胞に大きな関心と配慮を寄せてきた。
 金正恩第1委員長は、その思いをそのまま継承している。第1委員長が朝鮮総聯の活動家たちの事業や同胞たちの生活にいかに特別な関心を向けているかということは、今年7月に朝鮮総聯支部活動家大会の参加者たちに祝電を送った事実からもわかるだろう。
 朝鮮政府は、金正恩第1委員長の祖国愛、民族愛を具現していく。対日外交も例外ではない。
 朝鮮政府は、朝鮮総聯と在日同胞の問題で一寸の譲歩もしない。私たち外交官は、朝・日関係で提起される諸問題を解決するために最大の努力を傾けていく所存である。


主な報道(日本の新聞)

 11月16日 −モンゴルのウランバートルであった日朝の外務省局長級による政府間協議は16日夕、日本人拉致問題などについて「できるだけ早期に次期協議を行う」と合意し、2日間の協議を終えた。北朝鮮はこれまで「拉致問題は解決済み」としてきたが、日朝間の懸案として対話を続けることは認めた。
 日本側は杉山晋輔アジア大洋州局長、北朝鮮側は宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使らが出席。2002年の日朝平壌宣言にのっとり、国交正常化へ両国間の懸案を解決する方針を確認した。日本外務省関係者によると、北朝鮮側から経済制裁の緩和、解除に関する要求はなかったという。
 北朝鮮が拉致問題を議題として認めるが焦点だったが、北朝鮮が再調査を表明した08年の局長級協議もふまえ「さらなる検討」をすることで一致した。
 北朝鮮の核開発やミサイル問題も議論することで一致。第2次大戦末期に北朝鮮で死亡した日本人の遺骨返還や、朝鮮半島出身者の夫と北朝鮮に渡った日本人妻や日航機「よど号」ハイジャック犯の帰国に、北朝鮮側は協力を表明した。
 局長級協議は4年ぶりで金正恩体制では初。野田政権は北朝鮮との対話継続を望んでおり、一定の成果を得た。ただ、拉致問題での北朝鮮の姿勢について、外務省は「協議はしても、解決済みという立場ががらっと変わったとは言えない」(幹部)と慎重にみている。(朝日新聞11.17)

 11月18日 −北朝鮮の宋日昊朝日国交正常化交渉担当大使は、モンゴル・ウランバートルで開かれた日本との局長級協議について「真摯で建設的な雰囲気の中で進められた。進展があった」と述べたうえ、「拉致問題も協議した」と明言した。北朝鮮はこれまで「拉致問題は解決済み」と繰り返していたが、宋大使は「(両国には)立場の差がある」と指摘するにとどめ「解決済み」という言葉は口にしなかった。
 帰国前に記者団の取材に応じた。今回の協議の結果として「(国交正常化を目標とする)平壌宣言に基づいて関係を改善していかねばならないということで意見の一致をみた」と評価。「(両国間には)拉致問題だけでなく山積した問題がある」と指摘するとともに、拉致問題については「今後、どのような姿勢と立場でこの問題を協議、論議しようとするのかだ」と語った。
 宋大使は、日本の政局と関連した質問には「我々が(日本の)次の政権まで見越して考える必要はない」と言明。総選挙後に新たな政権が誕生しても、当面は日本との対話を進めるという北朝鮮側の姿勢は変わらないことを示唆した。(毎日新聞11.19)

 11月27日 −藤村修官房長官は記者会見で、2回目となる日本と北朝鮮の外務省局長級協議を12月5、6の両日、北京で開催すると発表した。今月15、16両日に開いた協議で日本側は拉致問題を提起しており、藤村氏は「それを踏まえた協議になる」と語った。北朝鮮のミサイル問題も取り上げる方針だ。(朝日新聞夕刊11.27)

 以上、朝鮮中央通信=朝鮮通信。

 なお、朝鮮中央通信は11月27日付けで、「朝日政府間会談を2012年11月15、16の両日、モンゴルのウランバートルで開催したのに続き、12月5、6の両日、中国の北京で行うことになる。会談では、両国の関係改善のための問題を協議することになる」と報道した。

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