朝鮮軍事停戦協定
−1953年7月27日−
板門閣から見る1984年の板門店
 

前 文

 朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官を一方とし、
 国連軍総司令官を他方とする下名の署名者は、
 双方に大きな苦痛と流血をもたらした朝鮮における衝突を停止するため、
 また、最終的な平和的解決が実現するときまで、朝鮮における敵対行為およびあらゆる武力行動の全面的停止を保証できる停戦をうちたてることを目的として、
 ここに、以下の条項に掲げる停戦条件および規定を受諾し、かつ、それらによって拘束され、管轄されることを、それぞれ共同に、かつ互いに同意する。

 これらの条件および規定は、純然たる軍事的性質をもち、もっぱら朝鮮における交戦者双方にのみ適用するものとする。


第1条 軍事境界線および非武装地帯

 1 軍事境界線を確定し、敵対する軍隊の間に非武装地帯を設けるために、双方は、それぞれこの線より2キロメートル後退する。非武装地帯を設けて緩衝地帯とすることによって、敵対行為再発へ導く恐れのある事件の発生を防止する。
 2 軍事境界線の位置は、付図に示されたとおりとする。
 3 非武装地帯は、付図の示す北端および南端によって確定する。
 4 軍事境界線は、左記に設けられる軍事停戦委員会の指示に従って、明白に標示される。交戦者双方の司令官は、非武装地帯と各自の地域の間の境界線に沿って、適当な標識を立てる。
 軍事停戦委員会は、軍事境界線および非武装地帯の両端に沿って設置されたる標識の樹立を監督する。
 5 漢江の河口で、一つの岸が一方の支配下にあり、他の岸が他方の支配下にある水域は、双方の民間航行運送に対し開放される。付図に示された部分に該当する漢口の航行運送規則は、軍事停戦委員会が定める。
 それぞれその側の民間航行運送は、その軍事的支配の下にある陸地に接近しておこなわれる場合には、制限を受けない。
 6 双方は、いずれも非武装地帯内で、または非武装地帯より、あるいは非武装地帯にむかっていかなる敵対行為もおこなってはならない。
 7 軍事停戦委員会が特に許可しない限り、いかなる軍人または文民も軍事境界線をこえることを許されない。
 8 非武装地帯内にいるいかなる軍人または文民も、自己が立入りを希望する地域の司令官から特に許可されない限り、いずれか一方の軍事的支配下にある地域へ立入ることを許されない。
 9 民政および救済事業に関与する要員および軍事停戦委員会が特に立入りを許可した要員のほかは、いかなる軍人または文民も非武装地帯へ立入ることを許されない。
 10 軍事境界線以北の非武装地帯における民政および救済は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官が共同で引受けることとし、軍事境界線以南の非武装地帯における民政および救済は、国連軍総司令官が引受ける。
  民政および救済をおこなうために非武装地帯への立入りを許可される軍人または文民の数は、それぞれの側の司令官が別途に決定する。ただし、いずれか一方が許可する総数は、いかなる場合にも1千名をこえてはならない。民政警察の人数およびそれが携帯する兵器は、軍事停戦委員会が決める。その他の要員は、軍事停戦委員会が特に許可しない限り、兵器を携帯してはならない。
 11 本条のいかなる規定も、すべて軍事停戦委員会およびその補助要員、合同視察班およびその補助要員、左記に設けられる中立国監視委員会およびその補助要員、中立国視察班およびその補助要員並びに軍事停戦委員会が非武装地帯への立入りを特に許可したその他のいかなる要員、物資および装備が非武装地帯を出入し、また非武装地帯内を移動する完全なる自由を妨げるものと解してはならない。
 非武装地帯内の2つの地域が非武装地帯のなかだけを走っている通路によって結びつかない場合は、この2つの地域の間を往来するのに必要な通路に沿い、かつ、いずれか一方の軍事的支配下にある地域を通る移動に対しては、便宜を与えるものとする。


第2条 戦闘停止および停戦の具体的措置

A 総 則

 12 交戦者双方の司令官は、陸、海、空軍のあらゆる部隊および要員を含む自己の支配下にあるあらゆる兵力に対して、朝鮮におけるあらゆる敵対行為の全面的停止を命令し、かつ、それを保証する。かかる敵対行為の全面的停止は、本停戦協定署名の後12時間で効力を生ずる(本停戦協定の残りの各種の規定が効力を発生する期日および時間は、本停戦協定第63項を参照)。
 13 軍事的停戦の安定性を確保し、それによって、双方のより上級の政治会議を開催し、平和的解決をみいだすうえに役立っために、交戦者双方の司令官は、次のことをおこなうものとする。
(A)本停戦協定のなかに別段の定めがない限り、本停戦協定の効力発生後72時間以内に、そのあらゆる兵力、補給物資および装備を非武装地帯より撤去する。
 非武装地帯より兵力を撤去した後、非武装地帯内に設置した記憶のあるすべての爆破物、地雷陣地、鉄条網および軍事停戦委員会またはその合同視察班の要員の安全通行をおびやかすその他の危険物は、これらの危険物がないと記憶するあらゆる通路とともに、これらの危険物を設置した軍司令官が軍事停戦委員会に報告する。
 ついで、いっそう多くの安全通路を取りかたづけ、最後に72時間の期間が終止してから45日以内に、軍事停戦委員会の指示に従い、かつ、その監督の下で、これらの危険物を残らず非武装地帯より撤去するものとする。
 72時間の期間が終止した後は、軍事停戦委員会の監督下で45日の期間内に除去作業を完了する任務を与えられた非武装部隊、軍事停戦委員会によって特に要求され、かつ、交戦者双方の司令官から同意を得た警察的性質をもつ部隊および本停戦協定第10項および第11項によって認められた要員のほかは、双方のいかなる要員もすべて非武装地帯へ立入ることを許されない。
(B)本停戦協定の効力発生後、10日以内に相手側の朝鮮の後方、沿海島嶼および海面より、そのあらゆる兵力、補給物資および装備を撤去する。
 これらの兵力が前記の期限になっても撤兵しない場合、また撤兵を延期するにも双方によって認められ、かつ有効な理由がない場合は、相手側は、安全および秩序を維持するために、それが必要と認めるいかなる行動もとる権利を有する。
 前記の「沿海島嶼」という語は、本停戦協定の効力が発生するときには、一方の占領下にあろうとも、1950年6月24日に相手側の支配下にある島嶼をいう。ただし、白翎島(北緯37度58分、東経124度40分)、大青島(北緯37度46分、東経124度42分)、小青島(北緯37度46分、東経124度46分)、延坪島(北緯37度38分、東経125度40分)および隅島(北緯37度36分、東経125度58分)、これら国連軍総司令官の軍事的支配下にある島嶼群を除いて、黄海道と京畿道の境界以北および以西のすべての島嶼は、いずれも朝鮮人民事最高司令官および中国人民志願軍司令官の軍事的支配下に置かれる。前記、境界線に位する朝鮮西海岸のすべての島嶼は、いずれも国連軍総司令官の軍事的支配下に置かれる。
(C)朝鮮の国境外から増援の軍事要員を入れることを停止する。ただし、部隊および要員の交代、臨時的任務を帯びた要員が朝鮮へ到着すること、および短期間の休暇をとり、または臨時的任務を果たした後に要員が朝鮮国境外から朝鮮へ帰還するのは、以下に規定する範囲内で許される。
 「交代」とは、配隊または要員が、既に朝鮮で任務についている他の部隊または要員とかわることを意味する。交代要員は、本停戦協定第43項に列挙された港を通じてのみ、朝鮮へ立ち入り、および朝鮮を去ることができる。
 交代は、1対1の割合を基礎としておこなうものとする。ただし、いずれの側も1カ月中に交代政策の下で3万5千名以上の軍事要員を朝鮮国境外から入れることができない。
 一方の軍事要員の進入によって、その側が本停戦協定の効力発生の日以来、朝鮮へ入れた軍事要員の総数がその日以来朝鮮から引揚げた軍事要員の合計した総数を上回るという結果になる場合は、その側のいかなる軍事要員も朝鮮へ入ることができない。
 軍事要員の朝鮮到着および出発については、軍事停戦委員会および中立国監視委員会に対して毎日報告を出さなければならない。かかる報告には、入国および出国の地点並びに各地点ごとに出入国した要員の数が含まれる。中立国監視委員会は、中立国視察班を通じて本停戦協定第43項に列挙された港で、前記の許可をうけた部隊および要員の交代について監督と視察をおこなう。
(D)朝鮮の国境外から増援の作戦用航空機、装甲車、兵器および弾薬を持ち込むことを停止する。ただし、停戦期間中に破壊され、損傷し、または消耗した作戦用航空機、装甲車、兵器および弾薬は、同一種類の同一性能のものに限り、1対1の都合で取りかえることができる。
 これらの作戦用航空機、装甲車、兵器および弾薬は、本停戦協定第43項に列挙する港を通じてのみ、朝鮮へ持ち込むことができる。
 取りかえるために朝鮮へ持ち込む作戦用航空機、装甲車、兵器および弾薬にその必要があるかどうかを確めるために、これら物件の持ち込みについて、その都度、軍事停戦委員会および中立国監視委員会へ報告を出さなければならない。かかる報告のなかで、取りかえられた物件の処置状況を明らかにするものとする。取りかえられて朝鮮から持ち出される物件は、本停戦協定第43項に列挙する港を通じてのみ、持ち出すことができる。
 中立国監視委員会は、その中立国視察班を通じて、本停戦協定第43項に列挙された港で、前記の許可をうけた作戦用航空機、装甲車、兵器および弾薬の取りかえについて監督と視察をおこなう。
(E)それぞれの指揮下にあり、かつ本停戦協定のいずれかの規定に違反した要員に対して適当な処罰をおこなうことを保証する。
(F)埋葬地点が記録に残っている場合および墓地の所在が確実に判明している場合には、本停戦協定発効後の一定の期間、相手側の墓地登録要員がこれらの墓地の所在地へおもむき、既に死亡した捕虜の死体を含めて、既に死亡した自己の側の軍事要員を掘り出し、およびそれを運ぶために、その軍事的支配下にある朝鮮地域へ立入ることを許される。
 前記の作業を進めるための具体的方法および期限は、軍事停戦委員会が決定する。交戦者双方の司令官は、既に死亡した相手側の軍事要員の埋葬地点について入手可能なあらゆる材料を相手側へ提供するものとする。
(G)軍事停戦委員会およびその合同視察班、並びに中立国監視委員会およびその中立国視察班が以下に定める職務および責任を遂行するときには、十分な保護、並びにできる限りの援助および協力を与える。
 中立国監視委員会およびその中立国視察班が双方の申し合わせた主要交通路を通って、中立国監視委員会本部と本停戦協定第43項に列挙された港の間を往復するとき、並びに中立国監視委員会本部と本停戦協定違反事件の発生を伝えられる地点の間を往復するときは、十分なる通行の便宜を与える。不必要な遅延をさけるために、主要交通路が閉鎖され、または通行不能となったときは、かわりの通路および交通手段の使用を許可しなければならない。
(H)通信および運送上の便宜を含めて、軍事停戦委員会、中立国監視委員会およびその所属の班から要請される後方補給をおこなう。
(I)軍事停戦委員会本部附近の非武装地帯内の自己の地域において、それぞれ一つの適当な飛行場を建設し、管理し、かつ維持する。その用途は、軍事停戦委員会が決定する。
(J)中立国監視委員会、以下に設置される中立国送還委員会およびその他の要員は、認可された外交要員が国際慣例に従って通常享有するものと同等の特権、待遇および免除を含めて、その職務を真に遂行するうえに必要な自由および便宜を享有することを保証される。
 14 本停戦協定は、双方の軍事的支配下にあるあらゆる敵対する地上兵力に適用するものとし、これらの地上兵力は、非武装地帯および相手側の軍事的支配下にある朝鮮地域を尊重しなければならない。
 15 本停戦協定は、あらゆる敵対する海上兵力に適用するものとし、これらの海上兵力は、非武装地帯および相手側の軍事的支配下にある朝鮮の陸地に接する海域を尊重しなければならず、かつ朝鮮に対していかなる種類の封鎖もおこなってはならない。
 16 本停戦協定は、あらゆる敵対する空中兵力に適用するものとする。これらの空中兵力は、非武装地帯および相手側の軍事的支配下にある朝鮮地域、並びにこの両地域に接する海面の上空を尊重しなければならない。
 17 本停戦協定の条項および規定を遵守し、かつ執行する責任は、本停戦協定の署名者およびその後任の司令官が負うものとする。
 交戦者双方の司令官は、その部下全員が本停戦協定のすべての規定を徹底的に遵守するよう確保するために、それぞれ指揮下にある部隊内であらゆる必要な措置および手続をとるものとする。
 交戦者双方の司令官は、本停戦協定のすべての規定の文言および精神を遵守するよう確保するために、互いに積極的に協力し合い、かつ軍事停戦委員会および中立国監視委員会とも積極的に協力しなければならない。
 18 軍事停戦委員会および中立国監視委員会、並びにそれぞれに所属する班の作業費は、交戦者双方が折半して負担する。

B 軍事停戦委員会

(1)構 成

 19 軍事停戦委員会を設置する。
 20 軍事停戦委員会は、10名の上級将校によって組織され、そのうち5名は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官が共同で指名し、他の5名は、国連軍総司令官が指名する。
 10名の委員のうち、双方の各3名は、将官級に属するものとし、残りの各2名は、少将、准将、大佐または、その同級者をもってあてることができる。
 21 軍事停戦委員会の委員は、必要に応じて参謀補佐を使うことができる。
 22 軍事停戦委員会は、事務局を設け、それに同委員会における記録、文書、通訳および同委員会の指定するその他の職務の遂行に協力する責任を負わせるため、必要な行政要員を配置される。
 双方は、それぞれ事務局長1名、事務局長補佐1名および事務局に必要な書記および技術専門家を指名して、事務局へ送る。記録は、朝鮮語、中国語および英語で作成し、3種の文字は、同等の効力を有するものとする。
 23 (A)軍事停戦委員会は、当初に合同視察班を10班配置され、それから援助を受ける。班の数は、軍事停戦委員会における双方の首席委員が協議して減らすことができる。
(B)合同視察班の各班は、4名ないし5名の佐官級の将校で組織されるものとし、そのうち、半数は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官が共同で指名し、他の半数は、国連軍総司令官が指名する。
 合同視察班が作業を進めるのに必要な附属要員、例えば運転手、書記、通訳等は、双方が提供する。

 (2)職務および権力

 24 軍事停戦委員会の一般的任務は、本停戦協定の実施を監督し、かつ、いかなる本停戦協定違反事件も協議のうえ、処理することである。
 25 軍事停戦委員会は、
(A)本部を板門店(北緯37度57分29秒、東経126度40分0秒)附近に設ける。軍事停戦委員会は、同委員会における双方の首席委員の協議によって、その本部を非武装地帯内の別の地点へ移すことができる。
(B)議長をおかない合同機関として活動する。
(C)随時必要と認める固有の手続規則を採択する。
(D)本停戦協定のうち、非武装地帯および漢口河口に関する各規定の執行を監督する。
(E)合同視察班の作業を指導する。
(F)いかなる本停戦協定違反事件も協議のうえ、処理する。
(G)中立国監視委員会より送られてきた本停戦協定違反事件に関する一切の調査報告、およびその他の一切の調査報告、およびその他の一切の報告、並びに会議の記録を直ちに交戦者双方の司令官へ手渡す。
(H)以下に設置される捕虜送還委員会および避難民帰郷援助委員会の作業に対して一般的な監督および指示を与える。
(I)交戦者双方の司令官の間で連絡を仲介する。ただし、前記の規定は、双方の司令官が用いることを願うその他のいかなる方法によって、相互に連絡をはかるのを妨げるものと解してはならない。
(J)その作業要員および合同視察班のために証明書および微章、並びにその任務を遂行する際に使用するあらゆる車両、航空機および船舶の識別用標識を用意する。
 26 合同視察班の任務は、軍事停戦委員会が本停戦協定中の非武装地帯および漢江河口に関する各規定の実施を監督するのに協力することである。
 27 軍事停戦委員会、またはそのうちのいずれか一方の首席委員は、非武装地帯、または漢江河口において発生したと伝えられる本停戦協定の違反事件を調査するため、合同視察班を派遣する権限を有する。ただし、同委員会におけるいずれか一方の首席委員は、軍事停戦委員会によってまだ派遣されていない合同視察班の半数以上を、いかなる場合にも派遣してはならない。
 28 軍事停戦委員会またはそのうちのいずれか一方の首席委員会に対して、本停戦協定の違反事件の発生を伝えられる非武装地帯外の地点において特別の観察および視察をおこなうよう要請する権限を有する。
 29 軍事停戦委員会は、本停戦協定の違反事件が既に発生している旨決定した場合は、直ちにその協定違反事件を交戦者双方の司令官へ報告するものとする。
 30 軍事停戦委員会は、ある種の停戦協定違反事件が、既に満足すべき是正をみている旨決定した場合は、交戦者双方の司令官へ報告しなければならない。

 (3)総 則

 31 軍事停戦委員会は、毎日会議を開くものとする。双方の首席委員は、7日をこえない休会を申し合わせることができる。ただし、いずれか一方の首席委員は、24時間の予告をもってこの休会を終止することができる。
 32 軍事停戦委員会におけるあらゆる会議記録の写しは、毎回、会議が終った後、なるべくすみやかに交戦者双方の司令官に送るものとする。
 33 合同視察班は、軍事停戦委員会に対して同委員会から求められた定期報告を出すほか、さらにこれらの班が必要と認める特別報告、または同委員会から求められた特別報告を出すものとする。
 34 軍事停戦委員会は、本停戦協定の定める報告および会議記録のつづりを2部保存する。同委員会は、その作業を進めるうえに必要と認めるその他の報告、記録等のつづりを2部保存することができる。
 同委員会が最終的に解散するときに、前記のつづりは、双方へ1部ずつ手渡される。
 35 軍事停戦委員会は、本停戦協定に対する修正文は、補充の動議を交戦者双方の司令官へ出すことができる。これらの修正動議は、一般的により有効な停戦を保証することを、その目的としなければならない。

C 中立国監視委員会

 (1)構 成

 36 中立国監視委員会を設置する。
 37 中立国監視委員会は、4名の上級将校によって組織され、そのうち2名は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官が共同で指名した中立国、すなわちポーランドおよびチェコスロバキアの代表とし、他の2名は、国連軍総司令官が指名した中立国、すなわちスウェーデンおよびスイスの代表とする。
 本停戦協定にいう「中立国」なる語は、その戦闘部隊が朝鮮での敵対行為に参加していない国を指す。指名されて同委員会に参加する委員は、派遣国の軍隊のなかから選ぶことができる。
 各委員代理を1名指定しておき、正規の委員が何らかの理由で出席できない会議にその代理を出席させるものとする。これらの委員代理は、正規の委員と同一の国籍を持たなければならない。一方によって指名された中立国委員の出席人数と他方によって指名された中立国委員の出席人数が同数になったときにはじめて、中立国監視委員会は、行動を起ことができる。
 38 中立国監視委員会の委員は、その必要に応じて、各中立国から出される参謀補佐を使うことができる。これらの参謀補佐は、同委員会の委員代理に指名されることができる。
 39 中立国監視委員会が必要とする行政要員は、事務局を設け、それに同委員会における必要な記録、文書、通訳および同委員会の指定するその他の職務の遂行に協力する責任を負わせるため、中立国に供給を要請する。
 40 (A)中立国監視委員会は、当初に中立国視察班を20班配置され、それから援助を受ける。班の数は、軍事停戦委員会における双方の首席委員が協議して減らすことができる。中立国視察班は、もっぱら中立国監視委員会に対してのみ責任を負い、それに報告をおこない、かつその指図を受ける。
(B)中立国視察班の各班は、少なくとも4名以上の将校で組織され、これらの将校は、なるべく佐官級とし、うち半数は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官が共同で指定した中立国とし、残りの半数は、国連軍総司令官が指定した中立国とする。
 指名されて中立国視察に参加する班員は、派遣国の軍隊内から選ぶことができる。各班の職務執行を助けるために、状況上必要と静めた場合には、少なくとも2名以上の班員からなる組を設けることができ、その2名の組員のうち、1名は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官が共同で指定した中立国から出し、他の1名は、国連軍総司令官が指定した中立国から出すものとする。例えば、運転手、書記、通訳、通信要員のごとき附属要員及び各班がその任務遂行上必要な装具は、それぞれの側の司令官が必要に応じて非武装地帯および自己の側の軍事的支配地域において供給する。
 中立国監視委員会は、それが希望する前記の要員および装備を自己に配置するとともに、中立国視察班にも供給することができる。ただし、これらの要員は、中立国監視委員会を構成している中立国自体の要員でなければならない。

(2)職務および権限

 41 中立国監視委員会の任務は、本停戦協定第13項(C)、第13項(D)および第28項に定める監督、観察、視察および調査をおこなう職務とし、かつこれらの監督、観察、視察および調査の結果を軍事休載委員会へ報告する。
 42 中立国監視委員会は、
(A)本部を軍事停戦委員会本部付近に設ける。
(B)随時必要と認める固有の手続規則を採択する。
(C)その委員および中立国視察班を通じ本停戦協定各第13款に列挙する港で、本停戦協定第13項(C)および第13項(D)に定める監督および視察をおこない、さらに本停戦協定違反事件の発生を伝えられる地点で、本停戦協定第28項に定める特別観察および視察をおこなう。
  中立国視察班の作戦用航空機、装甲事、兵器および弾薬に対する視察とは、増援の作戦用航空機、装甲車、兵器および弾薬が朝鮮に持ち込まれていないことを視察班に確実に保証させるものでなければならない。ただし、この規定は、作戦用航空機、装甲車、兵器または弾薬のいかなる機密に属する設計もしくは特徴をも視察し、または検査する権限を与えるものと解してはならない。
(D)中立国視察班の作業を指導し、かつ監督する。
(E)朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官の軍事的支配地域内の本停戦協定第43項に列挙された港に、5つの中立国視察班を駐留させる。
 国連軍総司令官の軍事的支配地域内の本停戦協定第43項に列挙された港に、5つの中立国視察班を駐留させる。
 当初は、機動中立国視察班を別に10班設けて予備とし、中立国監視委員会本部附近に駐留させる。その数は、軍事停戦委員会における双方の首席委員が協議のうえ、それを減らすことができる。機動中立国視察班のうち、軍事停戦委員会におけるいずれか一方の首席委員の要請によって派遣される者は、いかなるときも、その半数をこえてはならない。
(F)前項の定める範囲内で、軍事停戦委員会または同委員会のいずれか一方の首席委員が要請する本停戦協定の違反を伝えられる事件に対する調査を含めて、本停戦協定の違反を伝えられる事件に対する調査を遅滞なくおこなう。
(G)その作業要員および中立国視察班のために証明書および徽章、並びにその任務を遂行する際に使用するあらゆる車両、航空機および船舶の識別用標識を用意する。
 43 中立国視察班は、次に掲げる各港に駐留する。
 朝鮮人民軍および中国人民志願軍の軍事支配地域
    新義州(北緯40度6分、東経124度24分)
    清 津(北緯41度46分、東経129度49分)
    興 南(北緯39度50分、東経127度37分)
    満 浦(北緯41度9分、東経126度18分)
    新安州(北緯39度36分、東経125度36分)

   国連軍の軍事支配地域
    仁 川(北緯37度28分、東経126度36分)
    大 邱(北緯35度52分、東経128度36分)
    釜 山(北緯35度6分、東経129度2分)
    江 陵(北緯37度45分、東経128度54分)
    群 山(北緯35度59分、東経126度43分)

 これらの中立国視察班は、付図の示す地域内および連絡路において十分な移動の便宜を与えられるものとする。

 (3)総 則

 44 中立国監視委員会は、毎日会議を開くものとする。中立国監視委員会の委員は、7日をこえない休会を申し合わせることができる。ただし、いずれの委員も、時間の予告をもってこの休会を終始することができる。
 45 中立国監視委員会におけるあらゆる会議記録の写しは、毎回、会議が終った後、なるべくすみやかに軍事停戦委員会に送るものとする。記録は、朝鮮語、中国語および英語で作成する。
 46 中立国視察班は、その監督、観察、視察および調査の結果について中立国監視委員会に対して同委員会から求められた定期報告を提出し、かつこれらの班が必要と認める特別報告、または委員会から求められた特別報告を提出するものとする。報告は、班全体として提出する。ただし、班内の個々の班員が1名または数名で提出することもできる。
 個々の班員が1名または数名で提出する報告は、もっぱら参考報告とみなされる。
 47 中立国監視委員会は、中立国視察班より出された報告の写しを、その受理した報告のなかで使われている文字によって、軍事停戦委員会へ遅滞なく送らなければならない。これらの報告は、翻訳または評価という手続を理由に遅れてはならない。
 中立国監視委員会は、実際に可能な限り、すみやかにこれらの報告を評価し、かつその判定をまず最初に軍事停戦委員会へ送るものとする。
 中立国監視委員会の関係評価に接するときまでは、軍事停戦委員会は、この報告についていかなる最終的措置もとってはならない。
 軍事停戦委員会におけるいずれか一方の首席委員が要請するときは、中立国監視委員会の委員およびその班の班員は、直ちに軍事停戦委員会出席にして、提出した報告について説明するものとする。
 48 中立国監視委員会は、本停戦協定の定める報告および会議記録のつづりを2部保存する。同委員会は、その作業を進めるうえに必要と認めるその他の報告、記録等のつづりを2部保存することができる。
 同委員会が最終的に解散するときに、前記のつづりは、双方へ1部ずつ手渡される。
 49 中立国監視委員会は、軍事停戦委員会に対して本停戦協定の修正または補充の動議を出すことができる。これらの修正動議は、一般的により有効な停戦を保証することをもって目的としなければならない。
 50 中立国監視委員会またはその委員会のいずれの委員も、軍事停戦委員会のいずれの委員とも通信し、連絡することを認められる。


第3条 捕虜に関する措置

 51 本停戦協定が発効するときに、それぞれの側に収容中のすべての捕虜の釈放および送還は、本停戦協定の署名前に双方が申し合わせた次の規定に従って実施する。
(A)本停戦協定の発効後60日以内に、それぞれの側は、収容中の送還を希望する捕虜全員を班に分けて直接送還し、彼等が捕虜となった際に属していた側へ引渡すものとし、それにいかなる妨害も加えてはならない。
 送還は、本条の各関係規定に従って完了しなければならない。これら要員の送還過程をはやめるために、それぞれの側は、停戦協定の署名に先立ち、直接送還をおこなうべき要員の国籍別の総数を連絡しあう。相手側へ引渡す捕虜には、国籍別に作成された名簿を添えるものとし、その名簿のなかには、氏名、階級(階級のついている場合に限られる)および拘留番号または軍の番号を記載する。
(B)それぞれの側は、直接送還されない残りの捕虜をその軍事的支配および収容の下から釈放して、中立国送還委員会へ引渡し、本停戦協定の附属書たる「中立国送還委員会の職権範囲」の各条の規定に従って処理するものとする。
(C)3種の文字を一緒に使用していることから生ずるかもしれない誤解をさけるために、ここに本停戦協定のなかで使用するものを規定し、一方が相手側へ捕虜を引渡す行為を朝鮮語では「ソン・ホァン」、中国語では「チェン・ファン」、英語では「リェペイトレーション」と称し、この場合、捕虜の国籍または居住地のいかんを問わないものとする。
 52 それぞれの側は、本停戦協定の発効に伴って釈放され、かつ送還されたいかなる捕虜も朝鮮紛争における敵対行為に使わないことを保証する。
 53 送還を希望する傷病捕虜は、全員優先的に送還するものとする。途中の医療および看護を施すために、できる限り捕虜となった衛生要員を傷病捕虜と同時に、送還するものとする。
 54 本停戦協定第51項(A)に定める全捕虜の送還は、本停戦協定の発効後60日の期限内に完成しなければはならない。この期限内に、それぞれの側は、できる限りすみやかに、収容中の前記捕虜の送還を完成すべき責任を負う。
 55 板門店を双方の捕虜引渡地点に指定する。必要なる場合には、捕虜送還委員会は、非武装地帯内に他の捕虜引渡地点(または幾つかの引渡地点)を増設することができる。
 56 (A)捕虜送還委員会を設置する。
 その委員会は、佐官級の将校6名によって組織され、うち3名は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官が共同で指名し、他の3名は、国連軍総司令官が指名する。
 同委員会は、軍事停戦委員会の一般的監督および指導の下に、双方における捕虜送還に関する具体的計画を調整し、かつ双方における本停戦協定のなかの捕虜送還に関するすべての規定の実施を監督する責任を負うものとする。
 同委員会の任務は、捕虜が双方の捕虜収容所から捕虜引渡地点(または幾つかの引渡地点)へ行くまでの時間を調整すること、必要な場合には、傷病捕虜の輸送および福利厚生について必要な特別措置を決めること、本停戦協定第57項によって設置される合同赤十字社班の捕虜送還に対する援助活動を調整すること、本停戦協定第53項および第54項に定める捕虜送還に関する実際的措置の実施を監督すること、必要な場合には、増設の捕虜引渡地点(または幾つかの引渡点)を選定すること、捕虜引渡地点(または幾つかの引渡地点)の安全措置を講ずること、並びに捕虜送還に必要なその他の関係職務を執行することである。
(B)捕虜送還委員会は、その任務との関連あるいかなる事項についても合意に達しないときは、これらの事項を直ちに軍事停戦委員会へ付託して、その決裁を求めるものとする。
 捕虜送還委員会は、その本部を軍事停戦委員会本部附近に設ける。
(C)捕虜送還委員会は、捕虜送還計画を完成したとき、軍事停戦委員会によって直ちに解散されるものとする。
 57 (A)本停戦協定の発効後、朝鮮民主主義人民共和国赤十字社代表および中華人民共和国赤十字社代表を一方とし、国連軍へその軍隊を提供した各国の赤十字社代表を他方として組織される合同赤十字社班を直ちに設置する。
 これらの合同赤十字社班は、捕虜の厚生、福利に必要な人道主義的な役務を提供することによって、双方が本停戦協定のうち、第51項(A)にいう送還を希望する全捕虜の送還に関する規定を実施するのに協力するものとする。
 この任務を達成するために、合同赤十字社班は、捕虜引渡(点または幾つかの引渡地点)において双方の捕虜引渡作業に協力し、かつ慰問をおこなうため、および捕虜をなぐさめ、捕虜の厚生に役立つ贈与品を携行し配給するために、双方の捕虜収容所を訪問する。また、合同赤十字社班は、捕虜収容所から捕虜引渡地点にいたるまでの途中の捕虜に対して、役務を提供することができる。
(B)合同赤十字社班は、次の規定に従って組織するものとする。
 1) 一つの班は、それぞれの側の本国赤十字社が代表を10名ずつ出し、双方で合計20名で組織し、捕虜引渡地点(または幾つかの引渡地点)において双方の捕虜引渡に協力する。
 この班の議長は、双方の赤十字社代表が毎日かわるがわる交代で引受ける。この班の作業および役務は、捕虜送還委員会が調整する。
 2) 一つの班は、それぞれの側の本国赤十字社が代表を30名ずつ出し、双方で合計60名で組織し、朝鮮人民軍および中国人民志願軍の管理下にある捕虜収容所を訪問し、かつ捕虜収容所から捕虜引渡地点に至るまでの途中の捕虜に対して役務を提供することができる。
 朝鮮民主主義人民共和国赤十字社、または中華人民共和国赤十字社の代表が、この班の議長を引受ける。
 3) 一つの班は、それぞれの側の本国赤十字社が代表を30名ずつ出し、双方で合計60名で組織し、国連軍の管理下にある捕虜収容所を訪問し、かつ捕虜収容所から捕虜引渡地点に至るまでの途中の捕虜に対して役務を提供することができる。
 国連軍へ軍隊を提供した一国の赤十字社の代表が、この班の議長を引受ける。
 4) 各合同赤十字社班の任務遂行に役立つために、状況によってその必要を認めた場合には、少なくとも同班の班員2名以上で組織される組を設けることができる。その組のなかでは、それぞれの側が同数の代表を有するものとする。
 5) それぞれの側の司令官は、その軍事支配地域内で作業を進める合同赤十字社班に対して運転手、書記および通訳のごとき附属要員、並びに各班がその任務を遂行するうえに必要な装具を供給する。
 6) いかなる合同赤十字社班の人数も、その班の双方の代表が協議した後に、増加しまたは減らすことができる。ただし、捕虜送還委員会の認可を得なければならない。
(C)合同赤十字社班がその職務を執行するときには、それぞれの側の司令官は、これと十分協力し、かつ、その軍事支配地域内で合同赤十字社班の要員の安全を保障する責任を負わなければならない。それぞれの側の司令官は、その軍事支配地域内で作業している班に対してそれが必要とする補給、行政および通信の便宜を与えるものとする。
(D)合同赤十字社班は、本停戦協定第51項(A)に定める送還を希望する全捕虜の送還計画を完成したとき、直ちに解散する。
 58 (A)それぞれの側の司令官は、できる限りすみやかに、ただし、遅くとも本停戦協定の発効後10日以内に、次のごとき捕虜に関する材料を相手側の司令官へ提供しなければならない。
 1 最も最近に交換された資料の集計期日以後に逃走した捕虜についての完全な資料。
 2 実際に可能な範囲内で収容されていた期間中に死亡した捕虜の氏名、国籍、階級およびその他の識別用資料、並びに死亡の期日、原因および埋葬地点に関する材料。
(B)前記の補充材料の集計期日以後に逃走し、または死亡した捕虜がいる場合は、収容していた側が本条の第58項(A)の規定に従って、捕虜送還委員会を通じて相手側へ関係資料を提供するものとする。これらの資料は、10日ごとに1回提供し、捕虜送還計画が完成することきまで継続される。
(C)捕虜引渡計画の完成後に、元の収容していた側へ復帰した逃走捕虜は、身柄を軍事停戦委員会へ引渡され、その処置にゆだねるものとする。
 59 (A)1950年6月24日には、本停戦協定の確定する軍事境界線以北に居住し、かつ本停戦協定の発効の際には、国連軍総司令官の軍事支配地域内にいた文民で、帰郷を希望する者は、国連軍総司令官がその軍事境界線以北の地域への帰還を許可し、かつそれに協力する。
 1950年6月24日には、本停戦協定の確定する軍事境界線以南に居住し、かつ本停戦協定の発効の際には、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官の軍事支配地域内にいた文民で、帰郷を希望する者は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官がその軍事境界線以南の地域への帰還を許可し、かつそれに協力する。
 それぞれの側の司令官は、その軍事支配地域内で本項の定める内容を周知徹底させる責任を負うものとし、かつ適当な民政当局に対してかように帰郷を希望する文民に必要な指導および協力を与えるよう指図する責任を負わなければならない。
(B)本停戦協定発効の際、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官の軍事支配地域内のすべての外国国籍を持つ文民で、国連軍総司令官の軍事支配地域へ移動することを願う者は、国連軍総司令官の軍事支配地域へ移動することを許可され、かつ援助を受けるものとする。
 本停戦協定発効の際、国連軍総司令官の軍事支配地域内のすべての外国国籍をもつ文民で、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官の軍事支配地域へ移動することを願うものは、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官の軍事支配地域へ移ることを許可され、かつ援助を受けるものとする。
 それぞれの側の司令官は、その軍事支配地域内で本項の定める内容を周知徹底させる責任を負うものとし、かつ適当な民政当局に対してかように移動を希望する文民に必要な指導および協力を与えるよう指図する責任を負わなければならない。
(C)本条第59項(A)にいう文民の帰郷および本条第59項(B)にいう文民の移動に協力するための双方の措置は、本停戦協定の発効後、できる限りすみやかに開始するものとする。
(D)1 罹災文民帰郷協力委員会を設置する。
 その委員会は、佐官級の将校4名によって組織され、そのうち2名は、朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令官が共同で指名し、他の2名は、国連軍総司令官が指名する。
 その委員会は、軍事停戦委員会の一般的指導の下で、双方における前記の文民帰郷協力に関する具体的計画を調整し、かつ双方における本停戦協定のなかで前記の文民帰郷に関するすべての規定の実施を監督する責任を負うものとする。
 この委員会の任務は、運輸上の措置を含めて、前記の文民の移動をはやめ、かつ調整するために必要な措置をとること、前記の文民が軍事境界線をこえる越境地点(または幾つかの越境地点)を選定すること、越境地点(または幾つかの越境地点)の安全措置を講ずること、並びに前記の文民帰郷を完成するうえに必要なその他の職務をおこなうこととする。
 2 罹災文民帰郷協力委員会は、その任務に関連するいかなる事項についても合意に達することができないときは、これらの事項を直ちに軍事停戦委員会へ付託して、その決裁を求めるものとする。
 罹災文民帰郷協力委員会は、その本部を軍事停戦委員会の附近に設ける。
 3 罹災文民帰郷協力委員会は、その任務を完成したとき、軍事停戦委員会によって直ちに解散されるものとする。


第4条 双方の関係政府に対する動議

 60 朝鮮問題の平和的解決を保証するために、双方の軍司令官は、ここに双方の関係各国政府に対して停戦協定の署名され、かつ発効した後3カ月以内に、それぞれ代表を派遣して、双方の間でより高級の政治会議を開き、あらゆる外国軍隊の朝鮮撤退および朝鮮問題の平和的解決等の問題について協議するよう申し入れる。


第5条 附 則

 61 本停戦協定に対する修正および補充は、交戦者双方の司令官が相互に協議したうえでおこなわなければならない。
 62 本停戦協定の各条項は、双方がともに受諾する修正および補充によって、もしくは双方の間の政治的段階でおこなわれる適当な平和解決のための協定の規定によって明白に取りかえられるときまで、引続き有効とする。
 63 第12項を除いて、本停戦協定のすべての規定は、1953年7月27日の22時に効力を生ずる。
 1953年7月27日の10時、朝鮮語、中国語および英語の3種の文字によって朝鮮の板門店で署名し、各国語の条文はいずれも同等の効力をもつものとする。


 出典は、「統一朝鮮年鑑 1964年版」 統一朝鮮新聞社発行
 (注)なお、上記図書の表記「休戦(−協定・−委員会・−条件)」は、朝鮮語版に従い「停戦」とした。また、イ・ロ・ハは、A・B・Cとした。


inserted by FC2 system