米兵遺骨放置の責任は米国にある
−2010年4月5日−


 朝鮮中央通信によると、朝鮮人民軍板門店代表部代表は5日、「米兵の遺骨が、我が共和国の至る所で放置されるようになった責任は米国側にある」と題し、全文次のような談話を発表した。


 去る1月27日と2月26日、朝鮮人民軍板門店代表部は、南朝鮮駐屯米軍側代表を通じて米国防総省に最近、我が国で進めている大規模の耕地整理と農作業の準備過程に平安北道の球場郡と雲山郡、咸興南道の長津地区をはじめ、10余力所で多くの米兵の遺骨が掘り出されて放置されている具体的な実態と写真資料(代表的な遺骨「姓名アックリー・フィリップ・W=ACKLY PHILIP.W、認識番号20139638」)を送り、早急に対策を講じるよう通報した。

 しかし、米国防総省側は、「米国軍人の遺骨を本国に送還するのは米政府の重要な事案ではあるが、内部事情によりまだ立場が整理されていないので少し待ってほしい」として、数十日が過ぎても何の返事も寄せていない。

 米国務省は、「米朝間のいかなる両者交渉も6者会談を通じてのみ可能であり、遺骨発掘のような人道的事業に対しても同様であるというのが米国の立場」であるとして、我々の人道的誠意に公然と背を向けた。

 我々は今まで、人道上の問題は決して政治と両立しないと「大義名分」のように掲げていた米国が、自国の軍人の遺骨が至る所で放置されている現実に、政治的理由を掲げて背を向けていることに驚きを禁じえない。

 事実、我が共和国に埋もれている米軍の遺骨と言えば、先の朝鮮戦争当時、朝鮮人民に対する殺りくと敵対行為を働いて死んだ軍人である。

 我々には、我が人民の積もり積もった恨みの標的であるその遺骨を発掘して返還すべき何の責任も義務もない。

 しかし、我々は朝米敵対関係が持続しているなかでも、米兵の遺骨発掘の人道的性格と米国内の朝鮮戦争参戦者遺族、元米政府の切々たる要請を最大限に考慮して、特にカーター元米大統領が平壌を訪れて金日成主席に直接提起し、解決されることになった問題であるため、米兵遺骨の共同発掘だけは特例的に許容し、33回の共同発掘作業を通じて229柱の遺骨を発掘して米国側に渡した。

 我々のこのような誠意と努力に対して、米国防総省の関係者と退役軍人団体、遺族協会は言うまでもなく、当時のクリントン米大統領まで重ねて謝意を表明した。

 しかし、米国のブッシュ前政府は権力の座につくなり、我が共和国を「悪の枢軸」「暴政の前哨基地」と言いがかりをつけたあげく、朝鮮人民軍と米国防総省間の合意を弊履のように投げ捨てて、10年間何の支障もなくスムーズに行われてきた米兵遺骨の共同発掘作業まで一方的に中断する非人道的な行為を働いた。

 米国側が一方的な中断の口実としている「身辺安全保証」問題について言うなら、我々が最善を尽くして米国側メンバーの身辺を保障したことで、米兵遺骨の共同発掘作業を行った10年間、ただの一度も不正常な事態が提起されたことはなく、むしろ我が国での共同発掘作業に参加した米国人たちが、みずから、他の国でよりもはるかに立派な環境のなかで働いたと再三にわたって告白した。

 「身辺安全保証」問題は、米国当局が自分らの不純な政治目的を覆い隠そうとして意図的に流した根拠のないたわ言であった。

 我々の立場は明白である。

 我が国の至る所で数多くの米兵の遺骨がブルドーザに押しつぶされたり、農機具で割られたりしてあちこちに転がっている実態をそのまま放置できないので、早急な対策を講じようという我々の善意と努力に対し、「6者会談」などの荒唐無稽な政治的理由から米国側が背を向けるなら、我々もこれ以上ほかの方途がない。

 米兵の遺骨処理の当事者である米国防総省が、自国軍人の遺骨を取りに来るなら来てもいいし、いやならやめよということである。

 我々は、我が国の至る所で米兵の遺骨がやたらに掘り出されて放置されてもこれ以上関与しないであろう。

 米国が我々の誠意をあくまでも無視した結果により、我が国に埋まっている数千体の米兵の遺骨が流失するなら、その全責任は人道的問題を政治化した米国側が負わなければならない。

2010.4.5 人民軍板門店代表部代表談話(全文)−朝鮮通信=東京



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