25日の朝鮮中央通信によると、朝鮮の国際問題研究院の博士チョン・ミョンチョル氏が24日、「真実を見分ける目が曇れば、不正義がはびこるものである」と題する文を発表した。
チョン氏は文で、いま、険悪になっている朝鮮半島情勢に対する責任をめぐり、世界の一角で熾烈な論争が繰り広げられていることについて次のように明らかにした。
米国とその追従勢力は、朝鮮半島情勢が戦争の局面に突っ走るようになった責任が朝鮮にあると強弁している。
一部の周辺の大国は、悪化した朝鮮半島情勢に対する責任が朝鮮にもあり、米国にもあると主張している。
しかし、朝鮮は、緊迫した現事態の全責任が米国とその追従勢力にあると強く主張している。
文は、それならば果たしてどの主張が正しく、どの主張が不当なのかについて冷徹に掘り下げる必要があると指摘し、次のように続けた。
提起された異なる主張の正否を判別するには第1に、朝鮮半島の緊張状態がこんにちのような域に至った歴史的淵源をまず明らかにしなければならない。
世界最大のホットスポットになっている朝鮮半島の緊迫した情勢激化は、米国をはじめ、幾つかの大国が第2次世界大戦の終結とともにこの国を2つに分けた時から始まった。
朝鮮は、ドイツや日本のような戦犯国でも、敗戦国でもない。
しかし、米国は、新しい社会、新しい生活を願う朝鮮人民の志向をことごとく踏みにじり、勝手に38度線に軍事境界線という人為的な障壁をつくって不法、無法にこの国の半分の地を占領した。
そして、手なずけた手先でかいらい政権をでっち上げ、同族に反対する軍事的挑発へとあおったうえ、彼らとともに北侵戦争の火を付けて原爆を使用する悪巧みまではばからずにさらけ出した。
戦後は、侵略戦争で喫した大惨敗から教訓を得るかわりに、南朝鮮に数万人の侵略軍と数千個の核兵器を持ち込んで、いまかいまかと北侵の機会ばかりを虎視眈々とうかがってきた。
結局、米国は、朝鮮を核保有へと後押しした張本人、朝鮮半島情勢を恒常的な緊張の局面へと追い込んできた好戦国家の烙印を押されるようになった。
第2に、朝鮮半島で生じている現事態を客観的に公正な立場で注意深く見なければならない。
平壌を狙った米国の核の威嚇と恐喝は数十年間、絶え間なく続いてきた。
このような環境で、朝鮮人民は自分を守るためにやむを得ず自衛的核戦力建設の道を選択せざるを得なかった。
最近、朝鮮がグアム島包囲射撃方案の検討に至る断固たる措置を取らざるを得なくしたのは結局、米国である。
朝鮮半島情勢が一触即発の険悪な域に突っ走っているにもかかわらず、米国は21日からかいらい軍部好戦京都ともにまたしても朝鮮に反対する「ウルチフリーダムガーディアン」合同戦争演習を強行している。
もし、朝鮮が核戦略手段を動員して米国の鼻先でこのように膨大な軍事訓練を時となくおこなうなら、米国がじっとしていられるのかということである。
第3に、世界の耳目が集中している朝鮮半島問題をめぐって国際舞台でおこなわれている不公正な行為についても、しっかり注視しなければならない。
いま、国連をはじめ、国際舞台では前述した朝鮮半島の緊張状態がこんにちに至るようになった歴史的な淵源と現事態の真相はふせ、朝鮮が核実験とミサイル発射で新たな「挑発」をおこない、地域の安保を脅かしていると米国が騒ぎ立てれば、それを額面どおり世論化して、むやみにそれに伴う制裁決議の採択にきゅうきゅうとしている。
そのうえ、これまでは自分の定見をもって国連の舞台で筋を通していた一部の周辺国まで、米国の強権と虚勢におじけづいてその前でひれ伏すありさまになった。
これらの国が核を振り回す米国の強権と逼迫 、侮辱にこれ以上耐えられず、どう核開発に乗り出し、その過程にどれほど高価な代価を払い、苦心惨たんの道を歩んだかは、歴史の事実としてはっきりと残っている。
どれほどなら、ズボンを抵当に入れて数億の人口のうち、半分が生き残るとしても、「両弾一星(原爆と水爆、人工衛星) 」の宿願を成就すべきであるという言葉まで言ったであろうか。
米国をはじめとする西側世界のこのような圧力のなかで筆舌に尽くしがたい苦行の道を歩んだ時、それに全面的な支援を送ったのはまさに朝鮮であった。
そのような周辺の諸大国が“喉元過ぎれば熱さを忘れる”というように、米国の核の恐喝と威嚇に対処した朝鮮の自衛的核戦力強化をあくまでも阻み、さらには、この国に対する米国の制裁、圧力にはばからずに合流しているのだから、それに何の体面があり、良心と信義があるのかということである。
客観性と公正さをすべて失って不正義を正義にすりかえる犯罪文書をでっち上げるのもためらわない国連と米国の強権に屈し、それに口を極めて追従するずうたいの大きい周辺諸国の不穏当な行為が、朝鮮半島情勢をよりいっそう緊張させているというのはこれ以上説明する必要もない。
文は、真実を見分ける目が曇っていないなら誰でも、朝鮮半島情勢激化の責任がどこにあり、それに関するさまざまな主張のなかで、どれが正しく間違っているのかを判別できるであろうと指摘し、次のように強調した。
つまらない対朝鮮圧殺策動に狂奔して自分が掘った落とし穴に自分が落ちる格好となった米国の哀れな境遇は、実に示唆するものが大きい。
米国がここから教訓を得られず、引き続き無謀なバクチにしがみつくなら、悲劇的終末の奈落によりいっそう深く陥る凄惨な結果しか与えられるものがないであろう。
米国の顔色をうかがって追従する勢力も、それが決して他人の運命であるとだけ考えてはならない。
米国とその追従勢力は、大勢の流れをはっきり見て熟考する方が良かろう。【朝鮮通信=東京】
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