文在寅大統領の「新ベルリン宣言」を批判
−2017年7月15日−

 朝鮮民主主義人民共和国の「労働新聞」(電子版)は15日、「朝鮮半島の平和と統一のための進路が何であるのかをはっきりと知るべきである」と題する署名入りの論評で、南朝鮮の文在寅大統領が7月初旬にドイツのベルリンで発表した南北対話提案などを込めた「朝鮮半島平和構想」(新ベルリン宣言)について「外部勢力に頼って同族を圧殺しようとする対決の下心が敷かれており、朝鮮半島の平和と北南関係改善に助けになるどころか、障害だけを重ねる寝言のような詭弁が列挙されている」と批判した。

 同紙は、宣言で「北の核廃棄」「北の挑発にたいする制裁と圧力」を指摘したことについて「朝鮮半島の平和破壊の責任を回避し、外部勢力を唆して我々を武装解除させる下心をあらわした笑止な妄言だ」と非難し、「『北の核廃棄』を朝鮮半島平和の前提条件にかかげるのは、黒白転倒の破廉恥な詭弁であり、外部勢力と共助して危険な平和撹乱行為を続けるということをあらわしたものだ」と強調した。

 また、「我々の核を『深刻な脅威』とするのは、我々にたいする敵対感を捨てられず、北南関係を統一志向的な民族内部の関係でなく、敵対関係とみなしていることを認めるものだ」と指摘し、「朝鮮半島の平和を願うなら、米国の核戦争の脅威を終わらせて侵略装備を南朝鮮から撤廃させることを勇気を持って主張すべきだ」と強調した。

 同紙は、宣言が「正しい条件が整えば(金正恩委員長と)会う用意がある」としたことについて、「『正しい条件』とは、我々が核を放棄する意思を示すべきだというものであり、結局、米国と歩調を合わせて我々の核廃棄を誘導し圧迫することに優先的な関心と目的を置き、対話と北南関係もこれに服従させるというものだ」と非難した。

 さらに、 「南朝鮮の現当局が北南関係改善と対話に関心があるなら、米国に追従して対北制裁と圧力策動に加担した罪を反省し、わが民族同士の精神で同族と手を取っていくという意志を示すべきだ」と強調した。

 また、離散家族再会、スポーツ交流について、「我々は、スポーツ・文化交流と人道協力事業を否定しない」としたうえで、「北と南がともに踏み出す第一歩は、北南関係の根本問題である政治軍事的対決状態を解消することだ」と強調した。

 同紙は、「宣言に6.15共同宣言と10.4宣言(2000年6月、07年10月の北南首脳宣言)の尊重、履行に言及するなど、前任者らとは異なる一連の立場が込められたのは幸いなことだ」と評価しながらも、「ドイツ式の『統一経験』を力説したのは、典型的な『吸収統一』『自由民主主義による体制統一』を追求するものであり、(連邦制による国の統一に言及した)6.15共同宣言と10.4宣言を全面否定するものだ」と批判した。【朝鮮通信=東京】


inserted by FC2 system