米国の戦争策動と我々の自衛的選択
−2017年4月6日−

 朝鮮中央通信によると、朝鮮外務省は6日、全文次のような備忘録を発表した。

 わが共和国にたいする米国の政治的・軍事的・経済的圧力と挑発策動の度合いが危険ラインをはるかに超えている。

 我々の最高の尊厳を冒涜する天下非道の行為がはばかることなくおこなわれているなか、「首脳部排除」を狙った「特殊作戦」が公然と実戦段階で準備されている。

 米国は、史上最大の膨大な侵略武力と最新核攻撃手段を総動員して我々を狙った合同軍事演習を我々の門前で繰り広げており、「防御的」であるとしていた欺瞞的な仮面まで完全に脱ぎ捨てた。

 それだけではなく、最悪の経済封鎖と「制裁」で我々の社会主義強国の建設を阻害し、ひいては我々を経済的に圧殺しようとする企図を露骨にあらわにしている。

 米国がおこなっている極めて挑発的で侵略的な戦争策動で悪化の一途をたどってきた朝鮮半島情勢はこんにちに至っては、もはや制御不能の域に達した。

 万一、朝鮮半島で戦争の火花が散る場合、戦争勃発の責任と戦後処理の問題が提起されることになっている。

 朝鮮外務省は、朝鮮半島情勢を核戦争の爆発状態に陥らせた米国の責任と生じた情勢に対処した我々の不可避の自衛的選択の正当性と合法性を明白にするためにこの備忘録を発表する。




 我々は既に、米国とその追従勢力が我々に反対して重大な挑発行為を働くたびに、それが我々にたいする宣戦布告になることについて数十回警告したし、それによってまねかれる結果について挑発者が全責任を負うべきであるということについても明白にした。

 −「ブッシュ政府の出現後、米国は我々を『悪の枢軸』であると名指しして我々の体制を拒否することを国策として宣布したし、わが国を核先制攻撃の対象に指定することで、公然と核の宣戦布告までおこなった」(2003年1月10日、政府声明)

 −「米国は、我々に『麻薬密売』『紙幣偽造』『宗教弾圧』『亡命者の発生』『人身売買』『コンピューター・ハッカーの養成』『武器密売』など、ありとあらゆるものをすべて持ち出して強引に結び付けて我々の制度のイメージを傷つけるための幼稚で卑劣な謀略宣伝にしがみついている。
 同時に、我々の貿易船にあらゆる口実を設けて正常な運航を妨害することで事実上、海上封鎖に匹敵する悪辣な敵対行為を働いている。
 米国のこのような策動は、うわべをどう繕おうと関係なく、その性格において停戦協定破棄行為、宣戦布告であり、究極的には戦争行為も同然である」(2003年6月18日、外務省スポークスマン声明)

 −「ブッシュ政府は、わが国を含む自主的な立場を堅持し、自分らの主張に素直に従わない国を『暴政』国家であると罵倒して『先制攻撃』で『体制転覆』野望を実現しようとする企図を露骨にあらわにした。
 今回発表された『国家安全保障戦略』なるものは一言で言って、ブッシュ政権が核拡散を防ぐためにも戦争をおこない、『テロ防止』のためにも戦争をおこない、『民主主義拡散』のためにも戦争をおこなうというものであって、自分らの理念と価値観に従わない国は例外なく敵と規定し、これらの国を転覆するために戦争も辞さないことを明らかにした強盗さながらの宣戦布告文書である」(2006年3月21日、外務省スポークスマン回答)

 −「米国は最近、強盗さながらの国連安全保障理事会『決議』の採択で我々に事実上の『宣戦布告』をしたのに続いて朝鮮半島とその周辺で第二の朝鮮戦争挑発のための軍事演習と武力増強策動をよりいっそう狂乱的に繰り広げている。
 米国はこれと同時に、我々を経済的に孤立、窒息させてわが人民が選択した社会主義制度を壊そうとする妄想のもと、あらゆる卑劣な手段と方法を総動員して我々にたいする制裁、封鎖を国際化しようとあがいている。
 現在、ブッシュ政府は自分らが定めた時限内に我々が屈服しなければ懲罰すると最後通告を行う域にまで達した」(2006年10月3日、外務省声明)

 −「米国は国連安保理を押し立てて我々の自衛的な核実験に国際平和と安全にたいする『脅威』であると不当に言いがかりをつけて再び悪辣な反朝鮮制裁・封鎖『決議』を通過させた。
 今回の国連安保理『決議』は…わが共和国にたいする宣戦布告であるとしか言えない」(2006年10月17日、外務省スポークスマン声明)

 −「6月12日、米国に唆されて国連安保理がとうとう我々の第2次核実験を持ち出して反朝鮮『制裁決議』を採択した。…
 …米国とその追従勢力が封鎖を試みる場合、戦争行為と見なして断固軍事的に対応する」(2009年6月13日、外務省声明)

 −「人権はすなわち自主権であり、当該国の国権である。したがって、我々の真の人権にたいする強盗さながらの『決議』は、我々の国権を損なう最も露骨な宣戦布告となる」(2014年11月23日、国防委員会声明)

 −「オバマ政府もやはり、2010年4月に我々を核兵器を使用しない対象から除外したことで、我々にたいする核先制攻撃の企図を露骨にあらわにしたし、こんにちまでもそれを中断することなく公言している。
 米国は毎年、大規模の合同軍事演習をおこない、各種の核戦争装備を動員して我々を狙った核攻撃を実践的に準備してきた。…
 今回の合同軍事演習の侵略性と危険性は、米国が従来の『年次的』や『防御的』の看板まで捨てて我々の最高首脳部を狙った『斬首作戦』と戦略攻撃手段にたいする『ピンポイント攻撃』を実践で検討する一方、天をも恐れずに、あえて我々の最高首脳部の執務室を破壊するための極悪非道な『精密攻撃訓練』までおこなうなど、無謀な挑発を公然とおおこなっているところにある。
 主権国家の首脳部を特殊作戦で排除すると公然と騒いで狂奔する狂人のような挑戦を容認する国や政府はこの世界にない」(2016年3月31日、外務省スポークスマン談話)

 −「そのうえ、重大なのは、我々の最高首脳部を討とうと非道極まりない『斬首作戦』と執務室破壊を目的にした『精密攻撃訓練』『平壌進撃作戦』など、さまざまな名称の攻撃作戦が極めて冒険的な『作戦計画5015』に準じて実働的な戦争遂行方式で強行されたことである。
 この戦争演習は、わが共和国を物理的に排除しようとする米国の企図と策動が極めて危険な域に遺した最大の敵対行為である。
 米国が今回の合同軍事演習をおこなって『防御的』の看板までかなぐり捨てて侵略と先制攻撃の企図を公然とあらわにしたのは、我々にたいする明白な宣戦布告になる」(2016年4月30日、外務省スポークスマン談話)

 −「わが軍隊と人民が心臓をすべてささげて仰いでいただき、従う、我々の最高首脳部は、わが共和国の尊厳と自主権の象徴であり、わが千万軍民の運命のすべてである。
 米国が“蟷螂の斧”のように我々の最高の尊厳にあえて挑戦したのは、『人権問題』を巡る対立を超越した最悪の敵対行為であって、我々に対する公然たる宣戦布告となる。…
 米国が我々の最高の尊厳をそしる特大型の犯罪を働くことで、我々との対決で『レッドライン』を越えた以上、我々は必要な全ての対応措置を講じていく権利を正々堂々と持つことになった」(2016年7月7日、外務省声明)

 −「朝鮮人民軍総参謀部は、生じた情勢がもはや放置できない極限に達したことに関連して特大型の挑発者に次のように警告する。
 1.我々の最高の尊厳を狙った米帝とかいらい軍部好戦狂の『特殊作戦』の悪巧みが明らかになり、危険極まりない『先制攻撃』の企図まであらわになった以上、我々式の先制的な特殊作戦、我々式の先制攻撃戦でそれらすべての策動を無慈悲に踏みつぶすというわが軍隊の立場を布告する。…
 2.我々を狙った『特殊作戦』と『先制攻撃』に投入された米国とかいらいの作戦手段と兵力が南朝鮮とその周辺にそのまま展開されている限り、いつでも事前警告なしにわが軍隊のせん減的攻壁が加えられることを銘記すべきであろう。…
 3.いったん我々にたいする『特殊作戦』『先制攻撃』が開始されるなら、それはすなわち米帝国主義の悲惨な壊滅と南朝鮮かいらいの最後の滅亡を告げる歴史的な出来事につながるであろう。…」(2017年3月26日、朝鮮人民軍総参謀部スポークスマン警告)

 我々の厳かな警告は米国の個別の政府ではなく、米国を相手にしたものである。

 しかし、米国は我々の再三の警告を無視してそれに真っ向から挑戦する行為をより集中的で強度に働いている。

 我々の最高の尊厳に悪辣に言いがかりをつける宣戦布告も同然の挑発的な妄言が、米国内ではばかりなく飛び出している。

 米国は、これまで自分らの合同軍事演習にかかげてきた欺瞞的な「防御」の看板まで完全にかなぐり捨てて原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群と戦略爆撃機BIBをはじめ、戦略資産を動員して我々に最悪の奇襲核先制攻撃の威嚇を加えている。

 それだけでなく、デブグル(別名ネイビーシールズチーム6)と合同特殊戦司令部所属のデルタフォースをはじめ、悪名高い特殊戦武力を投入して「首脳部排除」のための「斬首作戦」と核・ミサイル基地をなくすための「先制攻撃」作戦について公然と騒いでいる。

 米国は、不法、無法の「制裁決議」をでっち上げてその履行を世界のすべての国に強要する一方、我々の生存権、発展権をあくまでも抹殺するための単独制裁劇を狂ったように演じており、去る3月29日の1日だけでもわが共和国に反対する「制裁決議」を3件も採択するような反朝鮮孤立・圧殺策動に狂奔している。

 米国の核の威嚇、恐喝と制裁・封鎖策動が一日も止まったことはないが、現在のように狂乱的におこなわれたことはかつてなく、これは既に敵対行為の段階を超えて全面戦争を意味するものとなっている。

 現米政府の反朝鮮策動が前例なく横暴非道におこなわれていることによって現在、朝鮮半島は重大な戦争状況に置かれることになり、我々はやむを得ず最大の自制力を発揮して米国に再三送った警告を実践に移さざるを得なくなった。




 米国が追従勢力をかき集めて我々に反対して働いている極悪な圧殺策動は、普遍的な国際法の規範に準じて見ると、明白な戦争行為、戦争犯罪になる。

 人類の平和と安全にたいする罪の法典草案(1954年6月3日〜7月28日、第6回国連国際法委員会で採択)は、一方の国の当局がおこなう他国に反対する武力使用の準備を人類の平和と安全にたいする罪であると規定している。

 国連憲章第2条第4項には、国際関係においてすべての加盟国が他国の領土保全と政治的独立にたいして力で威嚇したり、または力を行使してはならないことが規定されており、国家の権利および義務に関する条約(草案)第9条も「各国は、国家政策の手段として戦争を用いたり、他国の領土保全と政治的独立に反対し、または国際法と秩序を両立できないその他の方法として武力で威嚇したり、行使することを慎む義務がある」と規定している。

 侵略の定義に関するロンドン条約と第29回国連総会決議「侵略の定義に関する決議」には、平和的な時期に主権国家にたいする封鎖型の制裁は、侵略行為、不法になると規定されている。

 侵略の定義に関するロンドン条約第2条(侵略と定義)は、「宣戦布告なしに陸海空軍による他国の領域、船舶または航空機への攻撃と他国の沿岸または港の海上封鎖などを先に犯した国は紛争当事国間の現行協定に準じて、国際紛争において侵略と認定する」と規定している。

 第58回国連総会では、人民と彼らが合法的に選出した指導者や政府に反対するいかなる形態の武力侵攻や武力使用、または威嚇を糾弾する決議を採択した。

 朝鮮停戦協定第2条第15項には「本停戦協定は、敵対中の一切の海上軍事力に適用され、このような海上軍事力は非武装地帯(DMZ)と相手側の軍事統治下にある朝鮮の陸地に隣接する海面を尊重し、朝鮮にたいしていかなる種類の封鎖もできない」と規定した。

 しかし、米国はわが共和国にたいする特大型の封鎖策動を働いたことで、形式上にせよ存在していた朝鮮停戦協定の最後の条項である海上封鎖禁止に関する条項まできれいに吹き飛ばした。

 以上のように、現在、米国は公認された国際法に乱暴に違反し、我々にたいする極端な軍事的威嚇と恐喝、封鎖型の制裁を通じて侵略戦争行為を実践的に働いている。




 米国によるわが共和国にたいする実践的で全面的な侵略策動、戦争策動に対処して、我々は断固たる先制攻撃でそれを徹底的に粉砕する合法的な権利を保有している。

 国連憲章第51条「自衛権」と国家の権利および義務に関する条約第12条には、各国は個別または集団的な自衛の権利を持つと明白に規定されている。

 また、1970年12月16日、国際安全を強化することに関する宣言で「公開的、または暗々裏に威嚇したり、力を行使しようとする外部の干渉と強権に反対し、他国の自主権と自国の運命を自身が決定しようとする人民の権利を厳かに尊重し、他国の民族的団結と領土保全を部分的、または完全に解体しようとするいかなる試みもしてはならないということをあらためて確言する」と規定した。

 また、陸戦の法規慣例に関する条約(ハーグ陸戦条約)第40条には、一方が停戦協定に甚だしく違反する場合、他方は協定破棄の権利を持つだけでなぐ緊急な場合には即時に戦闘を開始できると明白に規定されている。

 米国の反朝鮮敵対行為、戦争行為に対処した我々の自衛的選択は侵略の本拠地を完全に追い出し、わが民族の宿願である祖国統一を遂げる正義の大戦になるであろう。

 朝鮮民主主義人民共和国は、全朝鮮的な総選挙とすべての朝鮮人民の総意によって創建されたし、南朝鮮かいらい当局が北と南に存在する思想と制度はそのままで統一的な連邦国家を創設することに関する我々の提案を全面拒否した状況で、我々の統一大戦は外部勢力によって占領された領土を取り戻すための正当な国家自主権の行使になり、いかなる場合も侵略であると罵倒されない。

 もはや、朝鮮半島で戦争が起こればその責任は誰が先制攻撃したかにかかわりなく、我々にたいする敵視政策を絶えず強化したばかりか、多くの戦略資産と特殊作戦手段を持ち込んで火種を作った米国が負うべきであろう。

 いったん我々の攻撃が始まる場合、それは我々を狙った米国とその追従勢力の軍事対象だけを狙った精密攻撃戦になるであろうし、我々は1949年8月12日付のジュネーブ諸条約の加入国として当該の法規を遵守するであろう。

 我々は既に宣明したように、南朝鮮にある他国の合法的な経済的利権を守るための対策も責任をもって講じていくであろう。

 国際社会は、米国の侵略戦争策動で朝鮮半島に生じた重大な事態を正しく見て、それに対処したわが共和国の自衛的選択を尊重すべきであろう。【朝鮮通信=東京】

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