李容浩外相が国連総会で米大統領非難
−2017年9月23日−

 朝鮮中央通信によると、朝鮮代表団団長である李容浩外相が23日、第72回国連総会で演説した。

 李容浩外相はまず、数日前に神聖なこの国連総会の場を甚だしく乱した米国大統領なる者の演説に対して論評しようと思うと述べ、次のように指摘した。

 トランプがまさにこの演壇で、朝鮮の最高の尊厳にあえて手出しし、我々を脅す妄言と暴言を並べたので、私も同じ演壇で、同じ口調でそれにこたえるのが当然であると思う。

 トランプのように誇大妄想と高慢が合わさった精神異常者、米国人でさえ苦痛ばかりをもたらすとして「最苦痛司令官」「嘘つき王」、悪の大統領であるとして「悪統領」と呼ぶ者が、米国の大統領の座を占めているこのあきれた現実、手のひらほどの小さな土地を手に入れるために脅しと詐欺を含むさまざまな権謀術数を選ばず、老いたばくち打ちが米国の核のボタンを握っているこの危険極まりない現実がまさに、こんにち、国際平和と安全に対する最大の脅威となっている。

 トランプは常識と情緒がまともでないことから、わが国家の最高の尊厳をロケットと結び付けて冒涜しようとしたが、むしろ、それによって彼は、米国全土が我々のロケットの訪問をよりいっそう避けられなくする取り返しがつかない過ちを犯した。

 トランプとしては、自分の口からどんな言葉が出るのかわからなかったのかもしれないが、我々は必ずトランプに彼が言った言葉以上の結果、彼が責任を負おうにも、とうてい負えないほどの結果を与えるであろう。

 李容浩外相は、国連安全保障理事会がつくり出した反朝鮮「決議」の不当性と不公正さを改めて想起させようと思うと述べ、次のように続けた。

 第1に、国連安保理は、宇宙空間の平和利用を各国の自主的権利であると明示した国際法に違反して、人工衛星の打ち上げをおこなうほか国に対しては問題視することなく、唯一朝鮮に対してだけ衛星の打ち上げを禁止するという不法で二重基準的な「決議」をつくり出した。

 第2に、核実験禁止に関する国際法がまだ発効していないので、この問題は徹底的に各国の自主権に属する問題であるにもかかわらず、まして核実験をはるかに多くおこなった他国には一つも問題視することなく、唯一朝鮮にだけ身勝手に核実験を禁止するという不法で二重基準的な「決議」をつくり出した。

 第3に、加盟国の自衛権を認めた国連憲章第51条に反して、各種の新型核兵器を絶えず開発している他国は問題視することなく、唯一朝鮮にだけ核兵器開発を「国際平和と安全に対する脅威」であると罵倒し、それを根拠に制裁を加える不法で二重基準的な「決議」をつくり出した。

 このような不当で不公正な決議が引き続き通過するのは、核保有国である常任理事国が自分らの核独占の地位を守るのに共通の利害関係をもつからである。

 李容浩外相は、安保理の反朝鮮「決議」が真に適法で公正なものなら、あえて、米国が自国のすべての大使はもちろん、大統領と国務長官まで動員して他国にその履行を強迫する必要がなかったであろうと主張した。

 また、今後、遠からずわが共和国に加えられた反人倫的で野蛮な制裁によって、国の平和的な経済発展と人民生活の向上で受けた被害、罪のない女性や子ども、高齢者を含むすべてのわが人民が受けた被害を計算する日が必ず来るであろうと強調した。

 そして、米国の庇護を受けるイスラエルのあらゆる悪行には目をつぶり、国の自主権と安定を守ろうとするシリア政府にだけ各種の攻撃を加える不当で卑劣な行為がもはや許されてはならないと指摘した。

 李容浩外相は、朝鮮政府は強力な核抑止力に依拠して必ず我々の力でわが国家の平和と安全を守るであろうし、世界の平和と安全の守護にも積極的に寄与するであろうと強調した。

 同日、李容浩外相は、国連本部でアントニオ・グテレス国連事務総長と会見した。

 李容浩外相は、国連の舞台でわが国家と人民を「完全に破壊」するという前代未聞の宣戦布告をした米国執権者のヒステリックな妄動と関連した朝鮮の超強硬対応意志を改めて宣明し、国連が国際正義を実現し、真に世界の平和と安全を保障するうえで、その本分と使命を果たしていくことについて強調した。

 グテレス事務総長は、朝鮮半島問題を軍事的ではなく、政治的、外交的に解決しなければならないという見解を表明した。

 一方、李容浩外相は会期中、キューバ、ベラルーシ、スウェーデンの各外相とボリビア、カザフスタン、セネガルの各国連駐在常任代表、国連総会議長、国連開発計画(UNDP)総裁とおのおの会見した。

 各国外相と各常任代表は、朝鮮半島情勢に関する我々の原則的立場に理解を示し、友好・協力関係を発展させ、国連の舞台で相互協力を強化することに言及した。

 国連総会議長は、朝鮮半島の情勢激化に深い懸念をあらわし、すべての問題を政治的、外交的に解決しなければならないと述べ、UNDP総裁は、国連と朝鮮の協力関係の発展問題に対する見解を表明した。

 これに先立ち22日、李容浩外相は、国連本部でおこなわれた77カ国グループ(G77)閣僚会議で演説した。

 李容浩外相は、国連創立70周年を契機におこなわれた首脳会議で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、全世界的範囲で社会的不平等と貧困をなくし、我々の世代だけでなく、次代に豊かな生活を保証する世界を建設することを公約した人類共同の行動綱領であると明らかにした。

 そして、朝鮮は、2030アジェンダに示された持続可能な開発目標(SDGs)が社会主義強国建設のための朝鮮の政策にも全的に合致すると認め、SDGs達成のための国際的な努力に積極的に参加していると述べた。

 李容浩外相は、人民の理想、夢、念願である社会主義強国の建設を総体的目標にかかげたわが共和国にとって平和な環境は実に重大な問題として提起されると述べ、次のように続けた。

 しかし、遺憾にも国際舞台では、日々崩れゆく「超大国」の地位を何としても固守しようとする一介の特定の国が主権国家の発展権はもちろん、生存権まで奪うための不法で反人倫的な行動を絶えずとっている。

 米国は、我々を軍事的に威嚇、恐喝したばかりか、わが共和国の経済全般を窒息させようと「より強力な国際的対応」でわが国に経済封鎖を加えている。

 問題は、米国が他国を追い回して、その履行を哀願、強要している国連安全保障理事会の対朝鮮「制裁決議」の国際法的根拠が果たしてどこにあるのかということである。

 国連加盟国であれば当然、対朝鮮「制裁決議」の履行に足を踏み入れる前にまず、これらの決議の適法性の有無をまずはっきりと明らかにすべきであろう。

 国連安保理を盗用して米国がでっち上げた対朝鮮「制裁決議」はすべて二重基準の極みであり、全朝鮮半島を支配し、世界制覇を実現しようとする米国の対朝鮮敵視政策、世界制覇戦略の産物である。

 朝鮮が、国連安保理の対朝鮮「制裁決議」を絶対に認めず、不法、非法の文書であるとして全面的に排撃する原因はまさに、このような国際法的根拠にもとづいている。

 米国が一方的な基準と観念で他国の政治体制を見くびり、敵視して強権と専横、内政干渉と侵略行為を続ける限り、国際社会が人類の福利増進のためにかかげたSDGsは決して実現しないであろう。

 李容浩外相は、わが共和国は、今後も反帝、自主の旗印を高くかかげ、自主権を擁護するすべての国の人民とかたく団結して正義と平等、公正さにもとづいた新たな国際経済関係を樹立するためのG77の団結を図るためにその責任を果たしていくであろうと強調した。

 G77閣僚会議では、G77加盟国の一致した原則的な立場が反映された朝鮮に対する一方的な制裁を排撃する宣言が採択された。宣言は、朝鮮の発展と繁栄に否定的影響を与える一方的な経済制裁に反対することを再確認したし、このような見地から制裁措置の即時解除を求めると強調した。

 李容浩外相を団長とする朝鮮代表団は、19日に平壌を出発して20日にニューヨークに到着。国連総会に参加して28日、帰国した。【朝鮮通信=東京】


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