核戦力強化で米国との力の均衡保つ
李洙墉外相が露通信社に回答 
−2016年3月29日−

 朝鮮中央通信によると、李洙墉外相は、朝鮮半島に生じた現情勢に対処した我々の立場と関連して29日、ロシアのタス通信社編集局長の質問に次のように答えた。

 米国の極端な対朝鮮敵視政策と核の威嚇は、朝鮮半島情勢の激化と我々の核抑止力強化を生んだ根源である。

 米国は、我々が核を保有する随分前から、我々に核の威嚇を執拗に加えてきたし、核先制攻撃を政策化して、それを実践に移すための核戦争演習を絶えず行ってきた。

 米国は、先の朝鮮戦争の時期に既に、我々に核攻撃を加えようと画策し、早くも1950年代から南朝鮮に膨大な核兵器を持ち込んで我々を威嚇、恐喝した。

 米国のブッシュ政府は、わが共和国を「悪の枢軸」、核先制攻撃の対象に指定したし、このような政策は、いまも変わりなく続いている。

 オバマ政府が2010年4月、いわゆる核兵器不使用の対象から我々を除外した事実と、いまも多くの核攻撃装備を南朝鮮に投入して合同軍事演習を行い、我々に対する先制攻撃を公言しているのが、それをはっきりと実証している。

 米国が、自分が保有したすべての戦略核攻撃手段を朝鮮半島地域に集中させて我々を狙った核攻撃演習を行っているというような深刻で現実的な核の威嚇をこの世界のどの国も、いつの時代も受けたことはない。

 核で我々を威嚇する米国に核で立ち向かうのは、あまりに当然なことである。

 米国があくまで核で我々を圧殺しようとしたので、これに対処して、我々は自主権と民族の生存権のためにやむを得ず核保有の道を選ぶことになったのである。

 米国こそ、我々を核保有へと促し、後押しした張本人であり、この数十年間、毎日のように行われている米国の核の威嚇、恐喝は、我々を核保有国にした基本要因であった。

 世界で唯一の核兵器使用国、最大の核保有国である米国の恒常的な核の威嚇と戦争挑発策動に立ち向かうための唯一の方途は、核戦力強化による力の均衡を保つことだけである。

 我々には、米国が望むいかなる形態の戦争方式にもすべて対応できる強大な軍事力がある。

 我々は、弾道ミサイルに搭載できるように小型化、軽量化された核弾頭を実物で公開したし、ICBMの大気圏再突入能力も示した。

 我々は、米国の無分別な敵視策動と露骨な核の威嚇に対処して、核戦力を中枢とした国家的防衛力をさらに強化していくであろう。

 今後、我々の核戦力の発展速度は、米国の行動次第と我々を見る視角の変化によって左右されるであろう。

 現在、米国は我々の再三の警告にもかかわらず、南朝鮮全域でわが共和国にたいする史上最大規模の「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習を狂乱的に行っている。

 数十万の膨大な武力と各種の核戦略資産がすべて投入された今回の戦争演習は、我々に対する核先制攻撃はもちろん、最高首脳部と「体制転覆」を狙った「斬首作戦」まで実行する実動的な戦争遂行方式で行われている。

 米国は、今回の合同軍事演習が、北侵戦争の現実性を最終検討するものであることをはばかることなく明らかにしたことで、これまで、表向きであろうとも「年次的」だの「防御的」だのと正当化していた欺瞞的で破廉恥な看板すら完全に捨て去った。

 米国が、我々を狙った全種類の軍事的奇襲攻撃をすべて想定した実動訓練を行い、先制攻撃を既成事実化していることによって、いますぐにでも戦争が起きかねないのが現在の朝鮮半島情勢である。

 我々が目の前に迫る米国の侵略の脅威を絶対に袖手傍観できないのは、あまりにも明白なことである。

 我々は、米国の核戦争狂気に対処して、わが軍隊の軍事的対応方式を先制攻撃的な方式にすべて転換したし、断固たる核先制攻撃の意志を明らかにした。

 一言で言って、こんにち、朝鮮半島は、核戦争か、平和かの岐路に立っている。

 現在、朝鮮半島に生じた極度に緊迫した情勢は、前例のないものであり、これについて貴国を含む全世界が大きな懸念と不安をもって注視している。

 朝鮮半島で日を追って深刻になる緊張激化の悪循環を防ぎ、戦争の危険を除去して平和と安全を保障するには、生じた現象だけを見るのではなく、その根源を正しく見て根源を直すための対策をまず講じなければならないであろう。

 朝鮮半島と地域の平和と安定を願うすべての国は、世界支配のための戦略的中心をアジア太平洋地域へと向け、我々を第一の攻撃目標にしている米国の策動に警戒心をもって接し、それを防ぐための当然の努力を傾けるべきであろう。【朝鮮通信=東京】


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