3日 −聯合ニュースによると、韓国軍の「化生放防護司令部」は、北朝鮮北東部豊渓里にある核実験場で新たな坑道掘削の動きが確認されていることについて「(爆発の威力を増すための)核融合反応を利用した兵器の実験目的である可能性を排除できない」と指摘した。
核融合反応は水素爆弾などに利用される。金正恩第1書記は昨年12月、水素爆弾の保有に言及したが、同司令部は「水爆開発の完成段階とみるのは難しい」と説明。水素爆弾の前段階に当たるブースト型核分裂爆弾の実験を行う可能性を指摘し、必要な三重水素(トリチウム)を生産する施設が核実験場内にあるとの見方も示した。(共同)
6日 −北朝鮮は6日午後、「6日午前10時(日本時間10時30分)、朝鮮で初の水素爆弾実験を成功させた」と発表した。朝鮮中央通信が伝えた。北朝鮮による核実験は2013年2月以来、4回目。韓国政府は同日正午に国家安全保障会議(NSC)を招集した。北朝鮮の核実験により、朝鮮半島での緊張が高まるのは必至の情勢だ。日本政府もNSCを開き、情報収集と分析を始めた。
北朝鮮の金正恩政権は経済改革と核開発を同時に進める「並進路線」を主張。日米韓は、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載できる核爆弾の小型化を目指し、実験を更に続けるだろうとみていた。ただ、北朝鮮が水爆を開発する技術力は保有していないとしている。北朝鮮は最近、国際的な孤立を深めており、「水爆」による核実験という最も強硬な対応に踏み切った。
朝鮮中央通信は、金正恩第1書記は昨年12月15日に水爆実験を実施する命令を出し、今月3日に最終命令書に署名したと伝えた。
韓国気象庁によれば、北朝鮮北部、咸鏡北道吉州都の北方約50キロの地点(北緯41・30度、東経129・09度)で6日午前10時半ごろ、マグニチュード(M)4・7の人工地震を感知した。吉州郡豊渓里には北朝鮮の核実験場がある。
北朝鮮は過去、2006年10月、09年5月、13年2月の計3度にわたって核実験を実施。最近も同実験場で4本目の新たな実験用トンネルの掘削が確認されていた。
同庁の観測では、06年の実験の際はM3・9、09年はM4・5、13年はM4・9程度。北朝鮮は爆発力の強い水爆を使ったと発表したが、爆発は過去と同規模だった。震源は北朝鮮北部の両江道白岩郡の可能性もあるという。
北朝鮮は09年の実験の際、「小型化、軽量化した原子爆弾を使った」と説明したが、日米韓は北朝鮮が弾道ミサイルに搭載できる核爆弾の開発には成功していないとみていた。
北朝鮮には水爆を開発する技術力はないとみられるが、今回、核融合技術を一部使って爆発力を飛躍的に高めた「ブースト型核分裂爆弾」(強化原爆)を使った可能性は残されている。北朝鮮は現在、ウラン型とプルトニウム型の核爆弾十数個を保有しているとみられる。ヘッカー米スタンフォード大教授によれば、20年までに計50個の核爆弾を保有する可能性もあるという。
韓国政府によれば、北朝鮮は今回、中国に対して実験を事前に通報しなかった。過去3回の核実験では、実験直前に中国に通報してきた。中国の習近平政権は北朝鮮の核開発を厳しく批判。冷え込んだ中朝関係が背景にあるとみられる。
今後、国連安全保障理事会が新たな制裁決議の採択を目指すとみられるが、中国の対応次第では、国際社会がより強硬な制裁に踏み切る可能性が高い。(朝日新聞夕刊1.6)
−国連安全保障理事会は、緊急会合を開催し、北朝鮮が「水爆実験の成功」と主張する4回目の核実験がこれまでの安保理決議に違反しているとして「強く非難」し、制裁強化のための新決議を採択する方針で合意した。会合後、議長国ウルグアイのロセリ国連大使が合意内容を報道向け声明として発表した。今月から非常任理事国の日本の吉川元偉国連大使は、「強い内容の決議の迅速な採択を目指す」と語った。
声明は、今回の核実験が過去の決議に明確に違反し、「国際平和と安定に対する明らかな脅威」と指摘。また、3回目の核実験に関する2013年3月の決議で、新たな核実験の場合は「更なる重大な措置を取る決意」を表明したことに言及し、「新たな安保理決議の中でそうした措置に直ちに取り組む」と明言した。
北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射を受け、安保理はこれまで、4度、制裁決議を採択。中国は従来、圧力強化で北朝鮮を刺激することには慎重な立場だが、核実験直後から追加制裁に明確に同意する姿勢を見せるのは、極めて異例だ。
米国のパワー国連大使は会合後に声明を発表し、北朝鮮に対して「厳しく、包括的で説得力のある新たな制裁と、従来の制裁の厳格な履行」が必要だと強調した。対北朝鮮制裁決議案は米国が起案し、中国と調整を図るのが慣例だが、新決議案について、吉川大使は「安保理メンバーとして主体的に取り組んでいきたい」と述べ、日本も提案していく姿勢を示した。
これまでの対北朝鮮制裁決議で、武器や核・ミサイル関連物資の輸出入を禁止。禁輸物資の疑いがある北朝鮮出入りの貨物については加盟国に対し、港や空港での検査を義務化するなど、幅広い措置が取られている。だが、依然として核開発は継続しており、制裁の実効性をどう高めるかが引き続きの課題となる。
この日の安保理緊急会合は日米が連名で5日深夜にウルグアイに開催を要請。後に韓国も要請した。
北朝鮮の核実験について、国連の潘基文事務総長は会合前、「(北東アジア)地域の安全保障を不安定化させ、国際社会の核不拡散への取り組みを著しく損なう」と非難。北朝鮮に対し「更なる活動をやめ、検証可能な非核化という義務を果たすことを求める」と語った。(毎日新聞夕刊1.7)
−米NBCテレビは6日、米軍高官の話として、米国が2週間前から北朝鮮の核実験の準備を察知し、空気のサンプルを採取するため実験場の近くに無人機を飛ばしていたと伝えた。核実験実施後の6日にも無人機を飛ばし、水爆で使われる三重水素(トリチウム)が空気中に含まれていないか検証しているという。
ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は同日の会見で、北朝鮮の核実験実施について「米政府としては驚きではなかった」と語った。先月には北朝鮮が水爆に関心を持っているとの報道もあり、「北朝鮮が何をしようとしているのかは極めて明らかだった」とも述べた。
アーネスト氏はまた、北朝鮮が水爆実験を成功させたと主張していることについて「(米国の)初歩的な分析とは一致しない」と否定的な見方を示した。無人機で採取したサンプルや爆発の規模などから判断しているとみられる。韓国政府関係者も爆発の規模から水爆実験ではないとの見方を示している。一方、米国務省のカービー報道官は同日、核実験の前に北朝鮮からの事前通報は「なかった」と語った。2009年と13年の核実験前には米国にも事前通報があったとされる。(朝日新聞1.8)
8日 −北朝鮮の核実験を受け、韓国軍は正午から、南北の軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)付近で拡声機による宣伝放送を再開した。韓国政府は宣伝放送を当面続ける考えだ。韓国国防省関係者によると北朝鮮軍は8日、DMZ付近に配置している前線部隊の一部を増員し、対南監視を強化した。朝鮮半島の緊張が高まっている。
宣伝放送は、南北高官協議で中断が合意された昨年8月以来。心理戦の一環で、北朝鮮の兵士や住民の動揺を誘うのが狙いだ。北朝鮮の体制や人権問題を批判し、流行の韓国ポップスも流す。ラヂオプレスによると、北朝鮮の朝鮮中央放送は8日、金正恩第1書記の側近、金己男党書記が同日の演説で韓国の宣伝放送再開に言及し、「米国とその追従勢力が戦争の瀬戸際へと追い込んでいる」などと反発したことを報じた。(読売新聞1.9)
−北朝鮮の朝鮮中央テレビは、金正恩第1書記が昨年12月に行った軍関連の視察に関する記録映画で、同5月の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射実験に比べ、はるかに飛距離が向上しているとみられる発射映像を公開した。韓国の聯合ニュースが伝えた。
映像の公開は、「水爆」実験発表に続き、核・ミサイル開発の進展をアピールする狙いがあるとみられる。
昨年5月に行ったSLBMの発射試験の映像では、海中の潜水艦から発射された模擬弾が海面と45度の角度で200メートル程度飛行。今回はほぼ直角に上昇して海面30〜40メートル上空で点火し、そのまま雲を突き破って飛行した。分厚いコートを着た金第1書記が発射を見守る場面も登場した。
昨年5月の発射に関し、韓国国防省は模擬弾のロケットに点火し、約150メートル飛行したと分析した。昨年12月の発射に関しては「成功段階に至るには時間がかかる」とだけ明らかにしていた。(時事)
10日 ※10日の朝鮮中央通信によると、北朝鮮の金正恩第1書記は新年に際し人民武力部(国防省)を訪問し、6日実施した核実験について「米国と帝国主義者による核戦争の危険から国の自主権と民族の生存権を守る自衛的措置だ」と述べた。核実験後、金第1書記の発言が伝えられたのは初めて。日時は不明。
国際社会の反発が強まる中、あらためて核実験の「正当性」を主張した。朝鮮人民軍の指揮官らに語ったもので、金第1書記は「(核実験は)主権国家の合法的権利であり、誰も中傷できない正々堂々たるものだ」と強調した。(共同)
−米軍は、核弾頭を搭載できるB52戦略爆撃機1機を米領グアムから韓国へ派遣し、韓国空軍の戦闘機などと共にソウルの南に位置する烏山周辺を低空飛行した。米韓軍の連携を誇示し、4回目の核実験を強行した北朝鮮をけん制するのが狙いだ。米太平洋軍のハリス司令官は声明で「韓国と日本という同盟国を守り、米本土を防衛する強固な決意を示すものだ」と述べた。
B52の派遣には、韓国が米国の核兵器によって守られていることを明確に示す狙いがある。韓国に駐留する米第7空軍のオショネシー司令官は声明で「米軍による韓国防衛のための献身には、通常兵器および核の傘による抑止が含まれる」と強調した。
米軍の発表によると、グアムのアンダーセン空軍基地に配備されているB52が飛行を実施した。米軍のF16、韓国軍のF15戦闘機が護衛する形で、烏山の在韓米空軍基地上空を低空飛行し、同日中にグアムに戻ったという。
ハリス氏は声明で「北朝鮮の核実験は国際義務に明確に反している。アジア太平洋の米軍は、安定と平和を維持するため、地域の全ての同盟・パートナー諸国と引き続き協力する」と述べた。
ソウルの外交関係者は「(B52には)北朝鮮に対する強いメッセージ効果がある」と指摘する。
米軍は北朝鮮による3回目の核実験(2013年2月)の際、約1カ月後に韓国で実施した米韓合同軍事演習にB52を派遣した。この時、北朝鮮は朝鮮人民軍の戦略ロケット軍などに高度な警戒態勢である「1号戦闘勤務態勢」をとらせて反発した。今回のB52の飛行にも敏感に反応する可能性がある。
韓国の聯合ニュースは10日、米韓両政府がさらに北朝鮮への圧力を高めるため、2月下旬以降に計画していた定例の米韓合同演習の前倒しを検討していると伝えた。
また、米軍が朝鮮半島周辺で原子力空母や原子力潜水艦の展開を検討しているとの報道もある。(毎日新聞1.11)
11日 −4回目の核実験に続く北朝鮮の追加的な軍事挑発の可能性を巡り、米韓が緊密な連携を前面に打ち出してきた。韓国国防省は11日、新たな戦略兵器の展開を米国と協議していると明らかにし、韓国では原子力空母を派遣するとの見方が浮上している。在韓米軍司令官は同日、追加挑発に備えて最高水準の警戒態勢を維持するよう指示した。
韓国国防省の報道官は11日の記者会見で、米軍が前日に戦略爆撃機B52を韓国に飛行させたことに関連して「米国の戦略兵器を朝鮮半島に追加で展開することを韓米が緊密に継続して協議している」と明らかにした。
具体的な兵器の内容を明らかにしていないが、聯合ニュースは2月にも横須賀を母港とする原子力空母「ロナルド・レーガン」の派遣が検討されていると報じた。米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」の一環として例年3月に実施される海上訓練を前倒しして、同空母を朝鮮半島に展開するという。北朝鮮の追加挑発をけん制する狙いがあるとみられる。
報道官は差し迫った動きはないとしたが、「前線の一部で(北朝鮮の)兵力が一部増えている」と述べた。韓国軍は南北軍事境界線付近で拡声器を使った宣伝放送を続けているが、「北朝鮮は様々な場所で(放送を聞こえにくくする妨害)放送をしている」と述べた。
韓国軍合同参謀本部の李淳鎮議長は同日、韓国空軍の司令部や米空軍がある京畿道の烏山空軍基地を訪れ、「北朝鮮が追加の挑発に乗り出す可能性が高い」と指摘した。(日本経済新聞1.12)
−韓国の原子力安全委員会は、北朝鮮の核実験の翌7日から日本海で大気中の放射性物質の採取と分析を5回繰り返したが、核実験の種類を特定することはできなかったと発表した。
5回のうち1〜3回目には1立方メートル当たり0.27〜1.31ミリベクレルの放射性物質キセノン133を検出したが微量で、同位元素も検出されず核実験に由来するか分からないという。4、5回目はキセノン133も検出できなかった。(共同)
−ロイター通信によると、米政府当局者は、韓国への米国の核兵器再配備について、韓国側と協議している事実はないと語った。当局者は、核兵器を再配備すれば「即座に極めて危険な軍備拡張競争に発展する恐れがある」と指摘。北朝鮮に核開発の「格好の口実」を与えることにもなると強調した。(時事)
12日 −北朝鮮の朝鮮中央通信によると、金正恩第1書記は、「水爆実験の成功」に貢献した核科学者らの表彰式に出席した。4回目の核実験を受けた制裁論議や米韓軍の動きについて「威嚇的に挑発するなら、核武装力を質的・量的にさらに強化しなければならない」と述べ、核開発を加速して対抗するよう求めた。
今回の核実験を受けて金第1書記は「わが国は核保有国の前列に堂々と立った」と誇示したうえ、「米国が核を自分らの独占物と見なし、核を握って我々を威嚇、恐喝した時代は永遠に終息し、今や我々が米国にとって最も大きな脅威になっている」と述べ、核実験の成果を強調。国際社会で続く制裁論議などを「核戦争の暗雲をもたらしている」と指摘した。(毎日新聞夕刊1.13)
−米下院は、4回目の核実験を実施した北朝鮮に対する追加制裁法案を賛成418票、反対2票の圧倒的多数で可決した。
法案は、金正恩第1書記や政権幹部が外国の銀行口座に保有している資産を凍結するのが主な内容。北朝鮮の大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発、ドル札の偽造などに関与した個人や団体を金融制裁の対象とする。口座開設や送金などに関与した金融機関も制裁を受ける。成立には上院で同様の法案が可決され、オバマ米大統領が署名することが必要になる。
法案を主導した野党・共和党のロイス下院外交委員長は12日、北朝鮮の核・ミサイル開発は「米国に対する直接の脅威だ」と指摘。追加制裁によって金第1書記が政権運営に必要な資金を獲得できなくなり、深刻な人権侵害の抑止が可能になると意義を強調した。
共和党の上院トップ、マコネル院内総務は12日、共和党のガードナー議員が提出していた北朝鮮追加制裁法案が近く上院外交委員会で審議され、本会議にかけられることになるとの見通しを示した。(毎日新聞夕刊1.13)
※ロイター通信によると、米ジェームズマーティン不拡散研究センター(CNS)の研究者は12日までに、北朝鮮が昨年12月に行ったSLBMの発射実験は失敗し、北朝鮮メディアが放映した映像は改ざんされているとの分析を明らかにした。
ミサイルは射出、点火した直後にばらばらになったとみられ、北朝鮮は失敗を隠すために他のミサイル実験の映像を使って編集しているという。
また、米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」も12日、映像や、民間衛星が実験2日後に撮影した東部新浦港に停泊中の潜水艦の写真を分析した結果、ミサイルが潜水艦ではなく実際は水中に沈めた移動式の発射台から発射された可能性が高いと発表した。実験失敗で、実戦配備は2020年以降と推定している。(共同)
13日 −ローズ米大統領副補佐官(戦略広報担当)は、オバマ米大統領が12日の一般教書演説で北朝鮮の核開発問題に触れなかったのは、米国に注目してもらいたいと考えている北朝鮮を無視する戦略だったと説明した。ケリー米国務長官も13日に行った外交政策演説で、この問題に触れなかった。
ローズ氏は一方で、北朝鮮の核問題はオバマ政権にとり「非常に優先順位が高い」と主張。大統領の主要演説で言及することによって、金正恩第1書記が重要人物であるとの印象を強めることを回避したかったと説明した。
ローズ氏は今回の核実験を受けた対応として、核兵器などの大量破壊兵器関連技術や装備などが北朝鮮に出入りすることを阻止するため、北朝鮮船舶の監視を強め必要に応じ航行阻止を図る意向を示した。米紙の報道によると、米国は一部の北朝鮮船舶の入港を世界中で禁止することを盛り込んだ国連安保理決議案の準備を進めているとされる。
ローズ氏はまた、北朝鮮との軍事協力を行わないよう各国を説得する取り組みも行っているとも説明した。米財務省は昨年11月、北朝鮮の武器取引に関与したとして北朝鮮の駐ミャンマー大使らを制裁対象に追加指定している。
ローズ氏はさらに、北朝鮮への国際的圧力を強める上で中国が追加の努力をすべきだと指摘。北朝鮮の不安定化への懸念には理解を示しつつ「現状維持が不安定化を生み、核実験が行われた」と述べて、対中圧力を強める意向を示した。(毎日新聞夕刊1.14)
14日 −北朝鮮の駐ジュネーブ国際機関代表部は、世界経済フォーラム(WEF)が核実験を受けWEF年次総会(ダボス会議)への北朝鮮代表の招待を取り消したことに抗議する書簡をWEF側に送った。朝鮮中央通信が伝えた。
書簡は、WEF側の「度重なる要請」を考慮して出席を決め、世界各国との経済協力を推進することを希望していたと強調。しかしWEF側が「不当な政治的理由」で一方的に招待を取り消したとし、「国際機関としての公正性を失った極めて不穏当な行為だ」と批判した。北朝鮮のダボス会議出席が実現すれば1998年以来18年ぶりで、李洙墉外相がが出席する方向だった。(共同)
19日 ※米海軍は19日までに、原子力空母ジョン・C・ステニスが米ワシントン州の母港を現地時間の15日に出港したと明らかにした。聯合ニュースによると、ワシントン州の地元テレビは同艦が東アジアでの任務に就くと報じた。
同艦が東アジアに展開した場合、核実験を行った北朝鮮をけん制する任務を担う可能性がある。
韓国国防省報道官は19日の定例記者会見で、有事に北朝鮮に大きな打撃を与える米空母など「戦略兵器」の朝鮮半島周辺展開を米韓両国が協議している、との従来の見解を繰り返した。同艦が投入されるかどうかについての言及は避けた。(共同)
22日 −韓国国防省関係者は、米軍が艦艇や軍用機との間で情報を共有するために運用している情報伝達システム「リンク16」と、韓国軍のシステムを年内に連結させると明らかにした。
リンク16には日本の自衛隊のイージス艦なども参加しており、米軍のシステムを介し、日韓が北朝鮮の弾道ミサイル発射に関するデータなどの情報を瞬時に共有する態勢が整うことになる。
軍事筋は、日韓がリンク16で結ばれた場合、北朝鮮の弾道ミサイルについて、発射地点に近い韓国軍が得た観測データを基に日本が軌道を追跡し、着弾地点をより正確に予測することが可能になると指摘した。(共同)
24日 ※4回目の核実験を強行した北朝鮮に対する国連安全保障理事会の追加制裁決議交渉で、米国の草案に盛り込まれた北朝鮮への石油輸出禁止に「一般国民に影響が及ぶ」として中国が反対していることが24日、分かった。複数の外交筋が明らかにした。
北朝鮮と国境を接する友好国の中国は北朝鮮の暴発を警戒、厳しい制裁決議には慎重とされてきたが、具体的な反対の動きは初めて。中国は米国など関係国との折衝で反対の意向を伝達したという。
6日の核実験後、米国主導で始まった決議交渉は既に3週目に入ったが妥結の見通しはなく、長期化する可能性が出てきた。(共同)
25日 −北朝鮮の国連代表部は、声明を出し、6日に実施した核実験について、水爆を成功裏に爆発させたと改めて訴え、「わが国を核保有国の第一線に押し上げた」と主張した。声明はその上で、射程1万キロを超えるミサイルの開発、潜水艦発射の弾道ミサイル実験に成功し、小型で軽量、多様な原爆を保有しているとし、「既に米本土を攻撃する能力を獲得した」と強調した。
声明は「米国とその隷属勢力があえて挑発に出れば、水爆武装国家が断固とした無慈悲な核攻撃で応じるだろう」としている。(時事)
26日 −ロシアのラブロフ外相は記者会見で、北朝鮮の核問題をめぐり韓国が呼び掛けている北朝鮮を除いた5カ国協議開催について、北朝鮮の「孤立化を招く」として「いい考えではない」と反対する考えを示した。
ラブロフ氏は問題解決には対話が重要だと強調し、早期の6カ国協議再開が必要だと訴えた。日米韓が6カ国協議開催の条件に挙げる北朝鮮の核放棄に向けた具体的な措置に関しては「非現実的」と批判した。
北朝鮮が強行した4回目の核実験が水爆だったかどうかは疑わしいとの見解を示した。(共同)
27日 −中国を訪問したケリー米国務長官は、北京で王毅外相と会談し、4回目の核実験を強行した北朝鮮に対する国連安全保障理事会の追加制裁決議について協議した。会談後の記者会見でケリー氏は、両外相が「強力な決議」を目指すことで一致したと述べる一方、王氏は厳しい制裁には慎重な姿勢を表明し、制裁内容をめぐる主張の隔たりが鮮明になった。
米側は、石油禁輸を盛り込んだ米国作成の制裁決議の草案について、北朝鮮の友好国の中国から協力の取り付けを狙ったが、王氏は新たな決議に関し「情勢を緊張させるものであってはいけない」と強調し、従来の主張を変えなかった。(共同)
−ケリー米国務長官は、中国の王毅外相との会談後、核実験を強行した北朝鮮に対する国連安保理制裁の強化について、「制裁とは別の側面も必要だと一致した。北朝鮮が別の道を選べば、制裁解除や経済協力、エネルギー・食料援助への扉が開く」と述べた。
ケリー氏の発言は、「ムチ」だけでなく経済協力などの「アメ」も示すことで、北朝鮮が核兵器や弾道ミサイル開発を放棄する方向にかじを切るよう改めて促したものだ。対話を重視し、北朝鮮の不安定化を懸念する中国側の意向に配慮した部分もあるとみられる。
一方でケリー氏は、対イラン制裁が中国などの協力も得て、ウラン濃縮活動の大幅削減を含む核合意に至ったことにも言及。北朝鮮に対する新たな安保理制裁は「核計画の終結に向けた交渉が目的だ」と述べ、北朝鮮を交渉のテーブルに戻すための「行動」の必要性を強調した。
ケリー氏は、新たな制裁に北朝鮮の核・ミサイル活動を抑止する「相当の新しい措置」を含むため、国連での協議を加速することで中国側と一致したと説明した。制裁対象として、中朝間でやり取りされるモノやサービス、船舶や港湾、航空機、石炭や燃料などに言及し、「北朝鮮国民を罰することなく効果が出せる方法は多数ある」と述べた。
ケリー氏はまた、米国が自国民や日本、韓国などの同盟国を守るため、「必要な全ての措置を取る」とも述べ、北朝鮮の脅威に対処する軍事的な構えも維持していることを示した。一方で「軍事的緊張を高めようとはしていない」と述べ、安保理決議の採択と関係国との交渉再開が主要目標であることを強調した。(毎日新聞夕刊1.28)
−米国のパワー国連大使は、4回目の核実験を強行した北朝鮮に対する国連安全保障理事会の追加制裁決議の交渉について「途方もなく複雑な議論をしている。時間がかかったとしても驚かない」と述べ、決議案がまとまるまで一定の時間がかかるとの見通しを示した。国連本部で記者会見した。
6日の核実験から約3週間となるが、交渉の行方は見えず、長期化の可能性が出ている。パワー氏は「議論を加速させる必要があるが(制裁決議の)内容を犠牲にするつもりはない」と指摘。北朝鮮の核開発に直接影響する「厳しく包括的な制裁」を目指すとした。(共同)
28日 −米当局者は、「2、3週間以内Hこ北朝鮮が宇宙ロケット打ち上げの名目で長距離弾道ミサイルを発射する恐れがあるとの見方を示した。また、北朝鮮が間もなくロケエトの落下予想海域を公表する可能性が高いと指摘した。
当局者は「過去2、3週間の間、北朝鮮の発射場で活動の形跡を観測してきた」と表明。一連の活動について「2、3週間のうちに発射が行われる可能性があることを示唆している」と述べた。(時事)
−米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮問題研究グループ「38ノース」は、北朝鮮北西部・東倉里の西海衛星発射場を25日に撮影した衛星写真を公開した。発射場周辺の人の動きや施設内の敷地や道路が除雪された様子が写されており、同グループは「衛星打ち上げ用ロケットの発射準備が初期段階にあることを示す」と分析している。
公開された写真によると、発射台の周辺では、運搬車両や機器と見られる三つの物体が置かれ、作業員の姿が確認されたほか、VIP施設の周辺の道路や駐車場が除雪され、複数の車両がとまっていた。(読売新聞夕刊1.29)
−米CNNテレビ(電子版)は、北朝鮮による6日の核実験について、水爆に用いる複数の部品をテストしようとした可能性があると米当局はみていると報じた。当局は核実験のデータを入念に分析し、こうした情報評価に至ったが、最終的な結論ではないという。
CNNによれば、当局が爆発に伴う震動のデータを解析したところ、当初の見積もりより約2倍も深い場所で実験が行われていたことが判明。この深度は、水爆実験で必要な深さと一致しているという。
ただしCNNは、地震の規模に照らすと、完全な水爆ではなかった可能性が高いとも指摘した。(時事)
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