2016年 朝鮮半島核問題の主な動き

3月の主な動き
−※は報道日、表記は報道のまま−

 2日 ※北朝鮮の核実験と長距離弾道ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は2日午前(日本時間3日未明)に会合を開き、新たな制裁決議案を採決する。米国などは当初、1日(日本時間2日)の採決を求めたが、ロシアの要求により延期された。
 米国が2月25日に配布した決議案について、ロシアが一部修正を要求。米国が修正した決議案に対し、ロシアがさらに精査する時間を求めた。採決では全会一致で採択されるとみられる。
 決議案は、北朝鮮に出入りするすべての貨物の検査や、北朝鮮による鉱物資源の輸出禁止などが柱。修正された決議案では、北朝鮮による石炭や鉄鉱石の輸出禁止について、他国産の石炭などが北朝鮮の羅津港を通じて輸出される場合は例外とすることを明記した。ロシアは、自国産の石炭を鉄道輸送して同港から韓国などに輸出するプロジェクトを進めている。
 また、北朝鮮に対する航空用燃料の輸出禁止については、民間航空機用に限定した北朝鮮国外の販売は例外とすることを明確化した。この他、資産凍結などの制裁対象に追加される個人のリストから、北朝鮮企業のロシア駐在代表者が削除されて16人となった。(読売新聞夕刊3.2)

 −国連安全保障理事会は2日午前(日本時間3日未明)、4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮に対し、制裁を大幅に強化する決議を全会一致で採択した。
 決議は日本を含む約50カ国が共同提案。国連加盟国に対し、制裁違反に関与した外交官の追放や、北朝鮮に出入りする全ての貨物の検査、ロケット用を含む航空燃料の北朝鮮への輸出禁止を義務付けた。また、北朝鮮から石炭や金といった天然資源を輸入するのを禁じるなど、ヒト、モノ、カネで北朝鮮指導部を締め上げるための「かつてない強力な制裁措置」(安保理外交筋)が発動される。
 吉川元偉国連大使は採択後、北朝鮮問題の包括的解決には対話が必要だと指摘。「対話を効果的なものにするには、圧力がなければならない」と述べ、強力な制裁措置の必要性を強調した。一方、ロシアのチュルキン大使は「北朝鮮経済を窒息させるために決議が使われるべきではない」と語り、北朝鮮国民に制裁の影響が及ばないようくぎを刺した。
 オバマ米大統領は2日、声明を出し、安保理決議採択を「国際社会が団結した確固たる対応だ」と歓迎した。その上で「北朝鮮は核開発を放棄し、国民のために望ましい道を選択しなければならない」と改めて要求した。(時事)

 ◆制裁決議の要旨
 ▽安保理決議に違反して核実験を実施したことに最も深刻な懸念を表明する。
 ▽小型武器も含め、北朝鮮とのすべての武器取引を禁止する。
 ▽違法行為に関わったことが確認された北朝鮮外交官を圏外追放する。
 ▽北朝鮮に出入りするすべての貨物を各国が港や空港で検査する。
 ▽北朝鮮に対する船舶や航空機のチャーター、乗員の提供を禁止する。
 ▽禁止品目を積載した疑いのある航空機の離着陸や上空通過を拒否する。
 ▽制裁対象企業が所有、運航する船舶や、禁輸品目を積載した疑いのある船舶の入港を禁止する。
 ▽北朝鮮企業「オーシャン・マリタイム・マネジメント(OMM)」が運航している船舶は資産凍結の対象だと付記する(付属文書で同社関連の31隻の船名などを列記)。
 ▽北朝鮮による石炭や鉄鉱石の輸出は禁じ、各国は購入しない。他国の石炭が(北朝鮮の北東部の)羅津港を通じて輸出される場合や、国民の生計のために限定された輸出は例外とする。
 ▽金、チタン、バナジウム、レアアースの北朝鮮による輸出は禁止し、各国は購入しない。
 ▽北朝鮮への航空用燃料の供給は禁止する。北朝鮮国外での民間航空機に対する販売や供給は例外とする。
 ▽各国が核ミサイル開発に関連していると判断した北朝鮮政府や朝鮮労働党の資産も凍結の対象になる。
 ▽北朝鮮の銀行の各国での支店開設は禁止する。各国銀行の北朝鮮内での支店開設も禁止する。
 ▽金の移送が制裁回避手段として使われ、核ミサイル開発につながらないように、金の運搬も資産移転防止の対象となることを明確にする。
 ▽これまでと今回の決議による措置が、北朝鮮の国民に不利益となる人道的結末をもたらし、国民生活に悪影響を与える意図はないことを強調する。
 ▽朝鮮半島と北東アジアの平和と安定の重要性を再確認し、平和的で外交的な政治的解決にむけて取り組む。北朝鮮の核問題に関する6か国協議の再開を求める。
 ▽北朝鮮が再び核実験やミサイル発射に踏み切った場合には更なる重要な措置を取る。(付属書類)
 ▽渡航禁止・資産凍結対象に追加する16個人を列記。
 ▽資産凍結対象に追加する12団体を列記。
 ▽禁輸対象のぜいたく品の品目を追加(高級時計、水上バイクなどの水上娯楽用の乗り物、2000ドル以上のスノーモービル、鉛クリスタル製品、娯楽スポーツ機器)。 (読売新聞3.3)

 −米財務省と国務省は、北朝鮮の核兵器開発に関与する政府組織など5機関と個人12人を制裁対象に指定したと発表した。国防の最高指導機関とされる国防委員会や、金正恩第1書記の側近である黄炳瑞軍総政治局長などが含まれる。在米資産が凍結され米国人・企業との取引が禁止される。
 アーネスト米大統領報道官は、今回の措置について、国連安全保障理事会が2日採択した対北朝鮮追加制裁決議を補完し、核開発の進展を抑止する狙いがあると説明した。
 ルー財務長官は声明で、米国の措置は安保理制裁とともに、「国際社会は北朝鮮の不法な核・ミサイル開発を許容しないとの明確なメッセージだ」と述べた。
 財務省が指定したのは国防委と労働党中央軍事委員会の2機関と、黄局長、国防委の李勇武、呉克烈両副委員長や軍需工業当局の幹部ら10人。国務省は、北朝鮮の核計画を担当する原子力工業省、衛星打ち上げロケットを担当する国家宇宙開発局、弾道ミサイルの開発に関与する国家機関の3機関を指定。宇宙開発に関係する研究者と、ウラン濃縮関連設備の入手に関与した貿易会社「南川江貿易」の幹部2人も制裁対象とした。
 両省が導入した一連の追加制裁は、大統領権限に基づくものだが、これとは別に、2月に成立した北朝鮮への制裁強化法もあり、オバマ政権は今後、同法に基づいた制裁も実施する可能性がある。制裁強化法は、北朝鮮による核・ミサイル開発を抑止するため、金正恩政権が入手できる資金を制限することが目的。(毎日新聞夕刊3.3)

 3日 −韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮東部の元山付近から3日午前10時ごろ(日本時間同)、短距離の飛翔(ひしよう)体6発が日本海へ向け発射されたと明らかにした。飛翔体は100〜150キロ程度飛んだという。短距離ミサイルかロケット弾とみられ、日本海に落ちたもようだ。(共同)

 4日 ※北朝鮮の金正恩第1書記は7日に始まる米韓合同軍事演習を批判し、「実戦配備した核弾頭をいつでも発射できるように準備しなければならない」と述べた。朝鮮中央通信が4日伝えた。国連安全保障理事会は北朝鮮の制裁決議を採択しており、一連の動きをけん制する発言とみられる。
 正恩氏が軍予備砲兵部隊に実戦配備される新型ロケット砲の試験発射の視察時に発言した。視察日時は不明だが、韓国政府は3日、北朝鮮の東海岸から6発の飛翔(ひしよう)体の発射を確認しており、正恩氏の発言は同日の可能性がある。正恩氏は「敵に対する我々の軍事的な対応を先制攻撃的な方式にすべて転換する」とも述べた。
 同通信は国連安保理の制裁決議に触れ、「米帝とその追随勢力の恐喝がこれ以上放置できない重大な段階に入った」と強く反発した。
 米ジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」は3日、北朝鮮が2月7日に事実上の長距離弾道ミサイルを発射した北西部の東倉皇の発射場で弾道ミサイルのエンジン燃焼実験を準備している可能性があると明らかにした。(日本経済新聞夕刊3.4)

 −北朝鮮は、国連安全保障理事会の制裁決議に対し、「断固たる対応措置」で対抗していくとする政府報道官声明を発表した。朝鮮中央通信も同日、「敵に対する軍事対応を全て先制攻撃方式に切り替える」とする金正恩第1書記の発言を伝えるなど、北朝鮮はさらに強硬な姿勢を取る考えを鮮明にした。
 北朝鮮は政府報道官声明で、4度目の核実験は米国の敵視政策と核の脅威から身を守るための「自衛的な核抑制力確保の措置」であり、事実上の長距離弾道ミサイル発射は「衛星の打ち上げ」で、「主権国家の合法的な権利行使だ」と主張。そのうえで、制裁決議は「極悪な挑発で、断固として排撃する」とした。
 声明はさらに、「強力で無慈悲な物理的対応を含む様々な手段と方法が総動員される」とし、「朝鮮半島とその周辺で誰も望まない事態」が起きれば、その責任は米国などが全面的に負うと警告。核開発を続ける方針も示した。(朝日新聞3.5)

 5日 −フィリピン大統領府高官は、スービック港に3日入港し、出港禁止とした北朝鮮の貨物船について、核実験を受けた新たな国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議に基づいて資産凍結措置を取り、船舶を差し押さえたと説明した。地元ラジオのインタビューで述べた。
 新決議に基づき、船舶の資産凍結措置が取られたことが明らかになったのは初めてとみられる。今後、国連が査察団を派遣する可能性があるという。21人の乗員は船から降ろされ国外退去処分となる見通し。
 貨物船名は「JIN TENG」。北朝鮮の船舶管理会社OMMが管理する船舶として決議に明記された31隻に含まれている。これまでに沿岸警備隊が実施した検査では、不審物は見つかっていない。
 貨物船は3日にインドネシアから到着。積み荷は、家畜の飼料などに使われるヤシの実から油を採った後の搾りかすで、スービック港で、荷降ろしされた。予定では次に中国へ向かうことになっていた。
 フィリピン沿岸警備隊は4日、貨物船の入港後年通常の手続きに基づいた検査を実施し、消火設備などに不備が見つかったため出港禁止措置を取ったと説明していた。(共同)

 6日 −7日から韓国各地で始まる米韓合同軍事演習を受け、北朝鮮外務省は6日、「我々の軍事対応は、全て先制攻撃方式に転換される」などとした報道官談話を発表した。朝鮮中央通信が同日、伝えた。
 談話は、米韓演習が金正恩第1書記の居所などへの攻撃訓練を含んでいるとされることに言及。「侵略的性格を露骨にさらけ出した危険千万な戦争行為だ」と非難。「戦争が起きる場合、朝鮮半島だけに限らず、通常兵器による戦争にとどまらない」と警告した。(朝日新聞3.7)

 7日 −韓国で7日、定例の米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」と野外機動訓練「フォール・イーグル」が始まった。国連安保理制裁決議に北朝鮮が反発を強める中、演習は「過去最大規模」(韓国国防省関係者)で進められる。
 演習には韓国軍約30万人と米軍約1万7000人が参加。指揮系統訓練中心のキー・リゾルブは18日までの約2週間、フォール・イーグルは韓国各地で、来月30日までそれぞれ行われる。韓国メディアによると、キー・リゾルブには北朝鮮による核ミサイル発射の兆候をつかんだ場合、先制攻撃を仕掛けるシナリオも含まれる。
 この先制攻撃は「4D作戦」と呼ばれる。4Dは、探知(Detect)▽かく乱(Disrupt)▽破壊(Destroy)▽防御(Defense)−の頭文字を取ったもので、北朝鮮のミサイル攻撃を封じ込める狙いがある。
 演習には米軍から、原子力空母「ジョン・C・ステニス」や核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機、B2ステルス戦略爆撃機なども投入される見通し。今回動員される兵力規模は韓国軍は例年の1.5倍、米軍は2倍という。北朝鮮によるさらなる挑発行為に備えたものとみられる。(毎日新聞夕刊3.7)

 −北朝鮮国防委員会は、朝鮮中央通信を通じて声明を発表し、同日始まった米韓合同軍事演習を非難して「総攻勢に入る」と威嚇した。北朝鮮は国連安保理制裁決議や合同演習に強く反発しており、短・中距離弾道ミサイル発射などさらなる挑発行為に打って出る可能性がある。
 合同軍事演習について声明は、北朝鮮の「自主権と安全を侵害」する、「米国とその追従勢力による核戦争への挑発」と主張。米空母や戦略爆撃機などに加え、北朝鮮の最高首脳部と制度転覆を狙った特殊部隊も投入されるとして、必要に応じて対応する構えを示した。
 北朝鮮は過去にも米韓軍事演習に合わせ、短・中距離弾道ミサイルを発射するなど挑発行為を仕掛けてきた。今年も演習を前に、最高司令部が「重大声明」を発表し、韓国大統領府や米本土への先制攻撃も辞さないと威嚇している。(毎日新聞夕刊3.7)

 8日 −韓国政府は8日、過去180日間に北朝鮮に寄港した第三国船舶の入港禁止などを柱とする北朝鮮に対する制裁措置を発表した。南北経済協力事業である開城工業団地の操業中断に続く追加の独自制裁となる。
 これに伴い、ロシア沿海地方のハサンから北朝鮮北東部の羅津港を経由して、ロシア産石炭を韓国南東部・浦項に輸送する事業も中断される。南北とロシアの協力事業だったが、韓国政府の支援も中止する。ロシアには既に通告したという。
 日本も北朝鮮に寄港した第三国船舶の入港を独自制裁として禁止している。韓国政府は「韓日が同時に(北朝鮮の)海運に対する統制を強化することで、外国船舶が北朝鮮への入港を一層避けるようになる」と効果を強調した。韓国政府によると、2015年に北朝鮮に寄港した後に韓国に入った第三国船舶は66隻だったという。
 また、北朝鮮との取引があったとして台湾など国外の6団体と2人を資産凍結などの制裁対象に追加した。

 9日 ※北朝鮮の金正恩第1書記が「核弾頭を軽量化し、弾道ロケットに適した標準化、規格化を実現した」と述べた。朝鮮中央通信が9日、報じた。弾道ミサイルに搭載が可能になる核弾頭の小型化に成功したと主張し、核開発能力を誇示するねらいがあるとみられる。
 朝鮮中央通信によると、正恩氏は核兵器研究部門の科学者、技術者を指導した際に語った。正恩氏は戦略弾道ロケットの弾頭に核兵器を装着するための研究の状況について説明を聞き、小型化された核弾頭の構造的原理を了解したという。
 正恩氏は核施設の正常な運営や核物質の増産より威力があり、小型化された核兵器とその運搬手段をより多く製造するよう強調。実戦配備された核攻撃手段を絶えず更新することも求めた。「(米国が北朝鮮の)自主権と生存権を核で襲おうとするときは、ちゅうちょなく核で先に一気にたたくだろう」とも述べたという。
 9日付の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」(電子版)は、正恩氏の前に球形の物体が置かれている写真を掲載。小型化した核弾頭をアピールしようとしている可能性がある。(朝日新聞夕刊3.9)

 −米軍は、B2ステルス爆撃機3機をアジア太平洋地域に8日に展開したと発表した。核実験や長距離弾道ミサイル発射を行った北朝鮮への圧力を強める狙いがある。3機は7日から始まった米韓合同軍事演習に参加する見通しだ。
 B2はレーダーに映りにくく、核兵器などを搭載し、敵地に奥深く侵入することができる。米軍は、北朝鮮が2013年2月に核実験を行った後にも派遣した。(読売新聞3.11)

 10日 −北朝鮮の祖国平和統一委員会は、韓国政府が8日に独自制裁に踏み切ったことを受け、これまでに南北間で結ばれた経済協力や交流事業の合意を全て無効にし、閉鎖された開城工業団地などに残された韓国企業などの全資産を清算するとの報道官談話を発表した。
 談話は、韓国の朴槿恵政権に対し「致命的な政治的、軍事的、経済的な打撃を加え、悲惨な終末を早めるために計画された特別措置が連続して取られるだろう」と警告。韓国による独自制裁などの措置について「自分の手で自らの目を突き刺し、自分のオノで自らの足を切るものだ」と批判した。
 南北間の象徴的な経済協力事業だった開城工業団地は2月上旬、韓国政府が稼働の全面中断を発表。それを受けて北朝鮮側は韓国側の全資産を凍結すると宣言していた。韓国政府によると、北朝鮮内にある韓国側の資産は政府や企業のものを合わせて約1兆4287億ウォン(約1348億円)相当になるという。うち開城が9249億ウォンと最も額が大きい。(毎日新聞3.11)

 −韓国軍合同参謀本部は10日、同日午前5時20分(日本時間同)ごろ、北朝鮮南西部の黄海北道付近から日本海へ向け、短距離弾道ミサイル2発が発射されたと発表した。日本の防衛省によると、南浦付近から午前5時22分ごろと同27分ごろ発射。いずれも約500キロ飛び、日本海に落ちたと推定される。
 韓国で実施中の米韓両軍の合同演習や国連安全保障理事会の制裁決議採択に対抗した軍事的挑発の可能性がある。(共同)

 −北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)のゴートニー司令官、上院軍事委員会で証言し、北朝鮮による核弾頭開発について「今日の時点で(北朝鮮が)核兵器を小型化し、ICBMに搭載する能力を持っていると仮定するのが、現場の司令官として賢明な判断だ」と述べた。北朝鮮は米本土を射程に入れるICBMの能力を保有しているとの見方も示した。
 司令官は「北朝鮮はICBMを宇宙空間に打ち上げ、米本土とカナダに到達させる能力を持つとみている」と指摘。米情報当局は北朝鮮がICBMによる核攻撃を成功させる可能性は非常に低いとみているとしたうえで、脅威に備える体制を整えていると説明した。
 国防総省のクック報道官は同日の記者会見で、北朝鮮による核兵器の小型化について「(北朝鮮が)そうした能力を実証したとは確認していない」とする従来の見解を繰り返した。一方で現場の司令官が起こりうる事態に備えることは適切な対応だと強調した。(日本経済新聞夕刊3.11)

 11日 ※中国が10日までに、国連安全保障理事会の制裁決議の対象となる北朝鮮船舶の入港を停止した。中朝貿易の主要拠点である日照港(山東省)の運営会社幹部が日本経済新聞に明らかにした。中国がどこまできちんと制裁を実施するかに国際社会の関心が集まるなか、北朝鮮の核開発に厳しく対処する姿勢を打ち出している。
 日照港は北朝鮮の主要輸出品である石炭や鉄鉱石を中国に荷揚げする拠点で、入港停止は北朝鮮に大きな打撃となる。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の代表を務める杜伝志・日照港集団会長が「(3月2日の)制裁決議の採択後、中国の港湾当局は北朝鮮船に入港許可証を発行していない。港湾側も荷降ろしを止めた」と述べた。
 杜氏は「中国は世界と離れることはできないし、世界も中国から離れられない。制裁決議はしっかりと貫徹する」とも強調した。
 制裁決議は石炭など北朝鮮産鉱物の輸入を原則禁止したほか、北朝鮮の船舶管理会社OMMが管理する31隻の船舶を資産凍結対象とした。中朝国境地帯の丹東港は制裁決議の採択に先立つ1日から鉱物輸入を停止していたが、他の主要港も制裁の履行に踏み切ったことが確認された。(日本経済新聞3.11)

 ※11日の朝鮮中央通信によると、北朝鮮の金正恩第1書記は弾道ミサイルの発射訓練を視察した際「新たに製造した核弾頭の威力を評価するための核実験と核攻撃能力を高めるための必要な実験」を続けるように指示した。今年1月6日に行った4回目の核実験に続いて、今後も核実験を行う考えを明確に表明した。
 金第1書記が視察した弾道ミサイル発射訓練は、北朝鮮が10日に日本海に向けて行った短距離弾道ミサイル2発の発射を指すとみられる。「新たに製造した核弾頭」に関し、北朝鮮メディアは9日、金第1書記が「軽量化を実現」と述べたことを伝えている。
 同通信によると、発射訓練は「敵地域の港を攻撃することを想定し、目標地域の設定された高度で核弾頭を爆発させる方式」で行われた。
 金第1書記は「核兵器研究部門とロケット(ミサイル)研究部門の協力をさらに強化し、核攻撃能力を不断に発展させるべきだ」と強調。核攻撃手段の多様化を図り「地上、空中、海上、水中のどの空間からも敵に核攻撃を加えることができるよう準備しなければならない」と指示した。(東京新聞夕刊3.11)

 12日 −米韓合同軍事演習で計1万7000人の兵力を投じて行われている過去最大規模の上陸訓練に対し、北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は、「先制的な報復攻撃作戦の遂行に移行する」と警告する声明を発表した。朝鮮中央通信が報じた。声明は、奇襲上陸訓練で「平壌進撃作戦」が実施されるとし、「平壌進撃を狙った上陸作戦には、ソウルをはじめとした南朝鮮(韓国)全地域の解放作戦で対応する」と強調した。(産経新聞3.13)

 13日 −米韓合同軍事演習に参加する米原子力空母「ジョン・ステニス」が、韓国南部の釜山港に入港した。核ミサイル開発を強行する北朝鮮に対し攻撃力を誇示して圧力をかけ、けん制する狙いとみられる。
 ジョン・ステニスは排水量103.000トン級で、約6500人が乗員。米海軍のFA18スーパーホーネット戦闘機など約80機を搭載する。1月に米ワシントン州の母港を離れ、南シナ海での警戒監視活動を行っていた。
 駆逐艦や巡洋艦などとともに、7日に周辺海域で始まった韓国軍との軍事演習に参加する。
 米軍は、1月に北朝鮮が核実験を行った直後にB52戦略爆撃機、事実上の長距離弾道ミサイルを発射した直後にはF22ステルス戦闘機をそれぞれ韓国に派遣し、北朝鮮へのけん制を続けている。(東京新聞3.14)

 15日 ※北朝鮮の朝鮮中央通信は、長距離弾道ミサイルに必要な大気圏再突入に関する「環境模擬試験に成功」と報じた。試験は金正恩第1書記が指導。正恩氏は「早い時期に核弾頭爆発試験と核弾頭装着が可能な様々な種類の弾道ロケット(ミサイル)の試験発射を断行する」として、関係部門に準備を指示した。
 朝鮮中央通信によると、模擬試験の結果、すべての技術的指標を満たし、大陸間弾道ミサイルの弾頭が大気圏に再突入する際の信頼性について「確固たるものに担保できるようになった」という。北朝鮮は今年1月までに過去4回にわたって核実験を行っているが、核弾頭爆発試験の具体的な内容については伝えていない。
 長距離弾道ミサイルを完成させるためには、核弾頭の小型化に加え、大気圏に再突入する際に発生する高熱や衝撃、振動などから核弾頭を保護する技術が必要になる。韓国国防省は核弾頭を小型化する能力については「相当な水準」に達しているものの、再突入させる技術について同省報道官は15日の記者会見で「確保できていない」と述べた。
 一方、北朝鮮メディアは9日、正恩氏が「核弾頭を軽量化し、弾道ロケットに適した標準化、規格化を実現した」との発言を報道。今回は大気圏再突入の技術力を誇示し、核弾頭爆発試験や弾道ミサイルの発射も宣言した。米韓合同軍事演習に対抗するとともに、朝鮮半島の緊張をさらに高めるねらいがあるとみられる。(朝日新聞夕刊3.15)

 −米国防総省のクック報道官は記者会見で「北朝鮮は核兵器を小型化して弾道ミサイルに搭載する能力を立証したことはない」と述べ、ミサイルによる核攻撃能力はまだ獲得していないとの認識をあらためて表明した。
 北朝鮮は15日、弾道ミサイルに搭載した核弾頭を大気圏再突入時の高温や衝撃から守るための技術を確保したと発表。模擬実験の写真も公開したが、クック氏は北朝鮮の主張を裏付ける情報とはなり得ないとの考えを示した。同時に、将来的に北朝鮮が目標を達成する可能性に備えているとも強調した。(共同)

 16日 −オバマ米大統領は、北朝鮮による4回目の核実験や事実上の弾道ミサイル発射実験を受け、追加制裁の大統領令を出した。北朝鮮政府や朝鮮労働党、船舶や金融分野、核・ミサイル開発産業などに関与する人物・団体の在米資産凍結や入国禁止が中心。人権侵害や労働者の搾取、サイバー攻撃や検閲などに関わった人物も制裁対象にしている。
 今回の追加制裁は、今月上旬に国連安保理で採択された制裁決議や、2月に成立した米国独自の制裁法も反映させている。「国際的義務を履行させるための強力な措置」(アーネスト米大統領報道官)という。
 財務省は大統領令を受け、北朝鮮政府などに関係する17の個人・組織と、船舶20隻を制裁対象に指定した。
 新規対象には、メディアの管理・検閲を行う朝鮮労働党のプロパガンダ担当部署や、北朝鮮の外貨調達窓口で軍と関係が深いイルシム国際銀行などが含まれている。年間約10億ドルを稼ぐとされる石炭産業など鉱業分野や、大量破壊兵器の運送に関わる船会社も制裁対象とした。(毎日新聞夕刊3.17)

 18日 −国連安全保障理事会は18日午後(日本時間19日午前)、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射を受けて緊急会合を開き、「発射を強く非難し、重大な懸念を表明する」との報道声明を発表した。過去の安保理決議の明確な違反とし、北朝鮮にさらなる行動の自制を要求した。
 対北朝鮮制裁決議の履行に向け、国連加盟国に「一層の努力を促す」と明記した。4回目の核実験を受けた追加制裁決議採択後もミサイル発射などを続ける北朝鮮に対する、国際社会の強いいら立ちと結束を示した形。北朝鮮が反発を強め挑発行為に出る恐れもある。(共同)

 −米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は、今月14日に撮影された北朝鮮北東部豊渓里の核実験場の商業衛星写真を公表した。要員が何らかの作業を継続していることが確認され、いつでも5回目の核実験を行える状態である可能性が極めて高いとしている。
 北朝鮮メディアは15日、金正恩第1書記が核弾頭搭載可能な弾道ミサイル発射実験と合わせて「核弾頭爆発実験」の早期実施に向けた準備を指示したと報道。日米韓の当局は警戒を強めている。
 ただ、北朝鮮が実験に使う「核弾頭」を搬入したかどうかの確認は困難とみられる。(共同)

 19日 ※中谷元(げん)防衛相が北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、16日付で自衛隊法に基づく破壊措置命令を出していたことが分かった。北朝鮮が18日、「ノドン」とみられる中距離弾道ミサイルを発射したため、政府は同日付で命令を追加し、警戒を強めている。
 韓国国防省によると、北朝鮮は18日午前5時55分(日本時間同)ごろ、平壌の北側にある平安南道粛川一帯から日本海に向け弾道ミサイル1発を発射。午前6時17分にも粛川一帯からミサイルとみられる飛翔体が発射され、上空17キロの地点でレーダーから消えた。1発目の飛距離は約800キロ、2発目は爆発した可能性がある。いずれも移動式発射台(TEL)から打ち上げられたとみられる。
 ノドンの射程は日本の大部分が入る1300キロで、北朝鮮が発射するのは2014年3月以来2年ぶり。今回の飛距離だと、方向によっては九州北部や中国地方に届いていた。防衛省関係者によると、着弾地点は日本の防空識別圏内で、「日本の排他的経済水域(EEZ)のぎりぎり外だった」という。同省は破壊措置命令を受けて、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦を既に日本海に展開させており、18日には新たな命令によって地上配備型迎撃ミサイルのパトリオット(PAC3)を東京・市ヶ谷駐屯地に配置した。今回、一連の命令を公表していない。(毎日新聞3.19)

 20日 ※20日の朝鮮中央通信などによると、北朝鮮の朝鮮人民軍陸海空3軍が、韓国への上陸を想定した軍事演習と敵の上陸を阻止する演習を実施し、金正恩第1書記が視察した。演習には、米国と韓国の両軍が今月実施した北朝鮮内陸部への上陸を想定した「双竜訓練」に対抗する狙いがある。演習の日時は伝えられていない。
 北朝鮮は今月に入り、ロケット砲や中・短距離弾道ミサイルを次々に発射、金第1書記が核弾頭の小型化や弾道ミサイルの性能向上を誇示するなど挑発をエスカレートさせており、偶発的な軍事衝突を懸念する声も出ている。
 朝鮮労働党機関紙・労働新聞は20日、海岸に向けてロケット砲を撃ち込む様子や、戦車揚陸艦から出撃した戦車やホーパークラフト型揚陸艇が上陸する様子を写した多数の写真を載せた。
 上陸部隊の演習状況を視察した金第1書記は「あのように奇襲して上陸し攻撃へと移れば勝利できる」と満足を示した。「上陸戦闘の勝敗は、敵の海岸防御施設や反撃をいかにして制圧するかにかかっている」と指摘し、実用的な訓練の強化と海軍経船の装備を改善するよう指示した。
 視察には黄炳瑞軍総政治局長、李明秀総参謀長、朴永植人民武力部長ら軍最高指導部が総参加。朝鮮中央通信は「わが祖国に一点の火花でも散らせば、米国と朴槿恵(韓国大統領)に無慈悲な死を与えることを演習は示した」と伝えた。
 北朝鮮軍総参謀部は12日に声明を出し、米韓両軍による北朝鮮への上陸訓練に対抗する形で、「ソウルをはじめとする南朝鮮(韓国)全域の解放作戦で対応する」と、韓国全土への攻撃を準備していることを表明していた。(東京新聞3.21)

 21日 ※ロイター通信は、国連安全保障理事会が今月採択した対北朝鮮制裁決議で、北朝鮮の船舶管理会社OMMが管理しているとして制裁対象にしていた船舶31隻のうち4隻を対象から除外することで合意したと報じた。米当局者の話に基づく情報としている。
 中国が4隻は北朝鮮の乗組員が乗っていないとして制裁対象から除くよう要求し、他の安保理の理事国がこれに応じた。中国の劉結一国連大使は4隻について「OMMの船ではないことが分かった」と話している。(共同)

 −韓国軍合同参謀本部によると、午後3時19分(日本時間同)ごろから同4時5分ごろにかけ、北朝鮮東部の咸鏡南道咸興付近から5発の飛翔体が日本海へ向け発射された。いずれも約200キロ飛んで海に落ちたもようだ。
 米国防総省当局者は21日、飛翔体は短距離弾道ミサイルだとの見方を明らかにした。「複数の国連安全保障理事会決議に対する明確な違反」と非難した。(共同)

 22日 ※朝鮮中央通信は、北朝鮮の金正恩第1書記が新型多連装ロケット砲の試射を視察したと報じた。視察日は不明だが、北朝鮮は21日に日本海に向けて5発の「短距離発射体」を発射しており、発射体はこの試射によるものだった可能性がある。同通信は、「南朝鮮(韓国)の主要打撃対象を射程内に収める多連装ロケット砲の実戦配備を控えた最終試験射撃」と説明し、正恩氏が「命中性が針の穴を通すように極めて正確であることに満足の意を表した」と伝えた。(読売新聞夕刊3.22)

 23日 −北朝鮮の対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会は、「重大報道」を発表し、韓国空軍が21日に北朝鮮の軍事施設破壊を想定して行った訓練を非難、「この時期からわが革命武力と全人民の一挙一動は、朴槿恵一味をこの地から除去するための報復戦に向かう」と韓国大統領を名指しで威嚇した。朝鮮中央通信が伝えた。
 韓国空軍は21日、最新戦闘機による模擬空爆や特殊部隊のパラシュート降下を含む訓練を実施していた。
 重大報道は、この訓練で金正恩第1書記ら首脳部の執務室を破壊する訓練が行われたと主張し、「露骨で危険な軍事的妄動だ」と反発した。(共同)

 24日 ※北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、「大出力の固体燃料ロケットエンジン」の噴射実験に成功したと報じた。実験には金正恩第1書記が立ち会った。
 実験は、新たに設計・製造されたエンジンの安定性や推進力などを評価する目的で実施された。金第1書記は結果に満足し、「敵対勢力を攻撃できる弾道ロケット(ミサイル)の威力をさらに高めることができる」と強調した。
 北朝鮮が開発中の大陸間弾道ミサイル「KN08」は固体燃料ロケットを利用しているとみられている。エンジン噴射実験が成功したとすれば、ミサイルの発射実験に移行する可能性もある。また、固体燃料ロケットを使用する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発も行うとみられる。(時事)

 25日 ※北朝鮮の朝鮮中央通信は、朝鮮人民軍の砲兵部隊がソウルの韓国大統領府や政府機関の撃滅を想定した史上最大規模の長距離砲集中攻撃演習を実施し、金正恩第1書記が視察したと報じた。日時や場所は伝えられていない。
 米韓両軍の合同軍事演習や、韓国空軍が21日に北朝鮮の軍事施設破壊を想定して行った訓練への対抗措置の一環。
 砲撃演習は米韓に対する「報復の熱気」や朝鮮人民軍の威力を誇示する目的で実施され、南北軍事境界線付近に配置された前線部隊の長距離砲百数十門を動員。金第1書記が開始命令を出し、ソウルの大統領府や政府機関に見立てた標的を集中砲撃した。
 金第1書記は砲撃の正確度に満足の意を示し、「軍は高度の戦闘準備態勢を維持し、いったん攻撃命令が出されればソウルの統治機関を無慈悲に破壊し、祖国統一の偉業を成し遂げなければならない」と強調した。(共同)

 26日 −北朝鮮軍前線大連合部隊の長距離砲兵隊は、韓国の朴槿恵政権に対する「最後通告状」を発表し、金正恩第1書記ら首脳部への攻撃を想定した演習について「公式謝罪」や責任者の「公開処刑」を要求した。
 その上で、応じなければ「軍事行動に移る」と威嚇した。朝鮮中央通信が伝えた。(時事)

 −北朝鮮に対する日本政府の独自制裁で、訪朝後の再入国が原則禁じられた対象は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の幹部ら22人のほかに、北朝鮮関連の違法貿易などに関与した刑確定者ら20数人にも拡大されていることが26日、関係者への取材で分かった。対象者は過去最多の計45人前後になった。
 朝鮮総連幹部らの対象者22人のうち、北朝鮮の国会議員に相当する「代議員」の資格を持つのは許宗高議長ら5人であることも判明。人的往来の制裁が解除されなければ、国会に当たる最高人民会議などの重要行事に出席できない可能性が高い。
 5月上旬に予定される36年ぶりの朝鮮労働党大会にも許議長ら5人を派遣するのは困難で、北朝鮮側が制裁に反発するのは必至だ。
 日本政府は2月、「対北朝鮮の貿易・金融措置に違反し、刑が確定した在日外国人の訪朝後の再入国を原則禁止」を決定。関係者によると、これに該当するのが20数人で、中国籍や韓国籍の人物も含まれる。対象者には法務省が既に通知しているという。(産経新聞3.27)

 29日 −韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮軍は午後5時40分ごろ、日本海に面した江原道・元山付近から北東方向に短距離の飛翔体1発を発射した。飛距離は200キロと推定される。韓国軍関係者によれば、北朝鮮北東部の内陸に落下した。陸地にある標的に向けて発射実験を行ったとの見方が出ている。
 韓国軍関係者は「分析中だが、飛距離からみて、口径300ミリの新型ロケット砲の発射とみられる」と述べた。北朝鮮は21日にも日本海に向け、飛距離200キロの飛翔体を発射。北朝鮮メディアは新型の大口径ロケット砲と説明していた。(時事)

 31日 −安倍首相は31日午前(日本時間31日深夜)、ワシントンで米国のオバマ大統領、韓国の朴槿恵大統領と会談し、3か国が北朝鮮の挑発行為に結束して対応し、安全保障分野での協力強化の協議に入ることを確認した。中国の海洋進出についても意見交換し、懸念を共有した。
 会談は約1時間行われた。首相は会談後の記者発表で、「北朝鮮の核・ミサイル能力の進展は国際社会にとっての脅威だ。日米韓があらゆる分野での協力強化を確認できたことは大きな成果だ」と述べた。オバマ氏は「北朝鮮を抑止することに協力し、立ち向かっていく」と強調。朴氏も「北朝鮮が再び挑発すれば、より一層強力な制裁と孤立に直面すると警告する」と話した。
 3首脳は近く、外務・防衛当局に3か国の次官級協議などを指示することを確認した。日韓両国で、防衛秘密などを共有するための軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結交渉を進めることなどが念頭にあるとみられる。北朝鮮の核やミサイル開発に関する情報共有を迅速に行えるようにするためだ。
 3首脳は、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の着実な実施を目指す方針も確認した。首相は、制裁の実効性を高めるため、制裁に関する国内法の整備などが遅れている途上国を支援する考えを伝えた。(読売新聞夕刊4.1)

 −中国の習近平国家主席と韓国の朴槿恵大統領は、ワシントンで会談した。習氏は北朝鮮情勢に関して「対話と交渉が問題解決の唯一正しい方向だ。中国は建設的な努力をし、6カ国協議の枠組みの下、対話再開を推進したい」と強調した。朴大統領は北朝鮮を除く5者協議に言及したことがあり、習氏の発言はこれを否定した形だ。
 習氏は会談で「各国は安保理決議を全面的かつ完全に履行すべきだ」と北朝鮮への制裁を厳格に履行する姿勢を強調。一方で「各国は、緊張を激化させかねない、いかなる言動もすべきではなく、地域の国家の安全利益、戦略バランスを損なってはならない」とも述べた。(毎日新聞4.2)

 

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