2017年 朝鮮半島核問題の主な動き

8月の主な動き
−※は報道日、表記は報道のまま−

 1日 −ティラーソン米国務長官は、国務省での記者会見で米本土を射程に入れたICBMの発射実験を繰り返す北朝鮮に対して「我々は敵でも脅威でもない」として挑発をやめるよう促した。「北朝鮮が看過できない脅威となっている」と指摘しながらも、核放棄を前提に「いずれかの時点で対話のテーブルに着きたい」とも語った。
 トランプ政権内や議会の一部から金正恩朝鮮労働党委員長の排除や軍事力行使を示唆する発言が出るなか、制裁強化を中心とした平和的解決を優先する方針を改めて強調する狙いがあるとみられる。
 ティラーソン氏は、7月28日にICBMの発射実験を強行した北朝鮮を非難しつつ「北朝鮮が望む安全保障と経済繁栄を手に入れるためには、米国と協議すること(が賢明)だと気づいてほしい」などと求めた。
 ただ「北朝鮮が受け入れ難い脅威を与えれば、我々は対処する必要がある」と語り、北朝鮮をけん制した。(毎日新聞夕刊8. 2)

 −米議会共和党の重鎮、リンゼー・グラム上院議員は、NBCテレビの報道番組に出演し、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に関し、トランプ大統領が「北朝鮮がICBMによる米国攻撃を目指し続けるのであれば、北朝鮮と戦争になる」とグラム氏に述べたことを明らかにした。
 グラム氏はトランプ氏と面会した際、「北朝鮮(の核・ミサイル開発)を阻止するために戦争が起きるとすれば、現地(朝鮮半島)で起きる。何千人死んだとしても向こうで死ぬわけで、こちら(米国)で死者は出ない、と言っていた」と明かした。
 グラム氏はまた、大多数の軍事専門家が示している軍事攻撃への慎重論は「誤りだ」と断じ、「北朝鮮の核計画と北朝鮮そのものを崩壊させる軍事的選択肢は存在する」と主張。その上で、「北朝鮮が(行動を)変更しなければ(軍事的選択肢は)避けられない。北朝鮮は、大統領に地域の安定と米本土の安定のどちらを選ぶのか選択を迫っている」と強調した。(産経新聞8. 3)

 −米国務省は、北朝鮮への米国人の渡航禁止措置を9月1日から実施することを明らかにした。ジャーナリストや赤十字など人道支援活動の従事者のほか、渡航が国益に資すると判断された人は例外的に渡航が認められる可能性がある。AP通信によると、違反すれば罰金などの処罰を受ける。
 北朝鮮で拘束された米国人大学生オットー・ワームビア氏が昏睡(こんすい)状態に陥り、解放後に死亡した問題を受け、国務省は7月、渡航禁止を決定。これまでは猶予期間を経て8月下旬に施行すると発表していた。(共同)

 2日 −米空軍は、核弾頭搭載可能なICBM「ミニットマン3」の発射実験を2日、西部カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地で実施した。今年に入ってのミニットマン3の発射実験は2、4、5月に続き4回目。
 米国内のICBMや戦略爆撃機を管理・運用する米空軍地球規模攻撃軍司令部によると、実験はミサイルの即応性や命中精度、信頼性を確認するのが目的。同基地の第30宇宙航空団が発射を担当し、ミサイルは約6700キロ離れた西太平洋のマーシャル諸島クエゼリン環礁に向けて発射された。
 発射実験は、米本土を射程に収める2回目のICBM発射実験を行った北朝鮮に対し、米軍の核攻撃能力を誇示する効果も狙っているとみられる。(産経新聞8. 3)

 4日 −北朝鮮の核問題をめぐる6者協議で議長を務めていた中国外務省の武大偉・朝鮮半島問題特別代表(70)が退任したことが4日、分かった。後任は孔鉉佑外務次官補(58)で、当面は現職と兼任する模様だ。北京の外交筋が明らかにした。中国側は「対話による問題解決」を模索しており、人事刷新により局面を打開する狙いもあるとみられる。
 6者協議は2003年に議長国の中国、北朝鮮、韓国、米国、日本、ロシアが始めた。 05年9月の共同声明で北朝鮮は核放棄に合意したが、翌年に初の核実験を実施。6者協議は08年12月を最後に開かれていない。(朝日新聞8. 5)

 5日 −国連安全保障理事会は5日午後(日本時間6日朝)、北朝鮮に対する制裁決議案を全会一致で採択した。7月の2度にわたるICBM発射を強く非難、北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源を断つため、石炭など主要輸出品目に輸出禁止を科した。制裁決議採択は今年6月に続いて8回目。各国が厳格に履行すれば、史上最大の年10億ドル(約1100億円)の制裁効果が見込まれる。
 米国が決議案を作成し、中国と調整した。日米は石油禁輸措置の導入も求めたが、北朝鮮経済の崩壊を懸念する中国が反対し見送られた。これまで決議案に難色を示していたロシアのネベンジャ国連大使は、ティラーソン米国務長官による1日の「 (金正恩体制の転換を求めない」との発言を歓迎。賛成に転じた一要因になったとみられる。ヘイリー米国連大使は「北朝鮮は、国際社会がひとつの声でまとまったことに耳を傾けるべきだ」と強調した。
 決議が北朝鮮に輸出を禁じたのは、これまでの決議で年間4億ドル(約440億円)に制限していた石炭▽2017年の推定輸出額が2億5100万ドル(約280億円)の鉄・鉄鉱石▽1億1300万ドル(約125億円)の鉛・鉛鉱▽2億9500万ドル(約330億円)の海産物。合計で北朝鮮の昨年の輸出額の3分の1に当たる10億ドル(約1100億円)となり、へイリー氏は「過去最大の経済制裁」と説明している。
 また、中露や中東諸国を中心に推定23万人が働き「年間5億ドル(約550億円)を本国に送金する」(米専門家)北朝鮮労働者の受け入れ数を増やさないよう加盟国に求めた。禁輸措置が取られた物資の多くは中国が輸入、労働者の受け入れも最大規模と見られる。化学兵器の使用・配備禁止を明記。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が2月にマレーシアで猛毒の神経剤VXを使い殺害されたことなどを念頭に置いたものと見られる。(毎日新聞8. 7)

 7日 −東南アジア諸国連合(ASEAN)各国と日米中、北朝鮮など27カ国・機関の外相らがアジア太平洋地域の安全保障問題を中心に討議するASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議が7日、フィリピンの首都マニラで開かれた。北朝鮮の李容浩外相は「米国の敵視政策と核の脅威が清算されない限り、核と弾道ミサイルを交渉のテーブルに乗せることはない」と述べ核兵器開発をめぐる対話を拒否する考えを表明した。北朝鮮代表団が明らかにした。
 会議にばティラーソン米国務長官や河野太郎外相をはじめ、中国の王毅、韓国の康京和の両外相も出席。北朝鮮のICBM発射を受けた5日の国連安保理による制裁決議採択後初めて、関係国が一堂に会する場となった。日米両政府は国際的圧力を強化することで北朝鮮の姿勢転換につなげたい意向だが、北朝鮮の強硬姿勢に変化は見られなかった。
 ティラーソン長官はARFに先立ち、記者団に「北朝鮮が話し合いの用意があるとわれわれに示すことのできる最良のシグナルは、ミサイル発射をやめることだ」と述べ挑発行為停止が対話の条件になるとの認識を示した。ARFの場でも同様の立場を伝えたとみられる。
 これに対し、李外相はARFでの演説で「われわれが選択した核戦力強化の道を一歩も引かない」と述べ核・ミサイル開発の続行を主張。さらに「米国の軍事的侵攻を抑制するには、米国の心臓部を狙うことができる攻撃能力を持つ必要がある」と強調し、米国の武力行使に対抗する用意があるとけん制した。
 出席者によると、ARFでは多くの参加国から、北朝鮮の核・ミサイル問題を「国際社会全体の平和と安定に対する脅威だ」として懸念を示す意見が相次いだ。就任後初の出席となった河野外相は「今は北朝鮮と対話を行う局面ではなく、北朝鮮への実効的な圧力を一層強化することが必要だ」と指摘。「関連安保理決議の厳格かつ全面的な履行が重要だ」と訴えた。(時事)

 −北朝鮮は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議について「我々の自主権の侵害であり、全面的に排撃する」との政府声明を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。北朝鮮は過去の制裁決議の際も外務省名などで「排撃声明」を出したが、今回は政府声明へと格上げした。声明では「断固たる正義の行動へと移る」と強調しており、新たな挑発行為の実行を示唆した。
 また声明は、名指しは避けつつも決議に賛成した中国やロシアを念頭に「米国と劣らぬ大国である(北朝鮮)周辺の国々が、たった2回の大陸間弾道ミサイル発射実験におびえ、騒ぎ立てた」と指摘。こうした国々も「朝鮮半島情勢をさらに緊張させ、地域の平和と安全を危機にさらした責任から絶対に逃れることはできない」と非難した。さらに「米国による反北朝鮮策動と核による脅威が続く限り、誰が何と言おうと自衛的核抑止力を交渉のテーブルに載せることはなく、既に選んだ核武力強化の道から一寸も退くことはない」と主張した。(毎日新聞8. 8)

 8日 −北朝鮮が、国連安全保障理事会の新たな北朝鮮制裁決議に賛成した中国を連日、非難している。最大の後ろ盾の中国が、対北朝鮮包囲網の強化を図る米国にこれ以上同調しないようクギを刺す狙いとみられる。
 朝鮮中央通信によれば、北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は8日、声明を発表。決議採択後にトランプ米大統領が感謝を表明した国として中国とロシアを挙げ、「良心も義理も捨て、米国に追従した国々は恥を知るべきだ」と批判した。声明は、「米国におじけづいた国」が後ろめたさを感じ、「制裁は必要だが、究極の目的は協議による問題解決であると弁明」したとも指摘した。これは中国の王毅外相が制裁決議採択後、マニラで語った内容と同じだ。
 北朝鮮は7日に出した政府声明でも、中国を念頭に「米国に劣らない大国である我々の周辺国」が、「たった2度のICBM試射におじけづいた」と罵倒した。
 北朝鮮は5月にも、国営メディアを通じて中国批判を展開。王氏は8日、帰国前に記者団の取材に応じた際、北朝鮮の反発を「予想の範囲内だ」とした上で「 (国際社会は)感情的にならず、情勢のエスカレートを避けるため、冷静さを保つべきだ」と語った。(読売新聞8. 9)

 −米紙ワシントン・ポスト(電子版)は8日、北朝鮮が核弾頭をミサイル搭載可能な水準にまで小型化することに成功したと判断する米当局の分析を報じた。トランプ米大統領はこの日、「北朝鮮はこれ以上、米国を脅さない方がいい。世界が目にしたことのないような火力と怒りに直面することになる」と強く警告した。
 北朝鮮は既に、米本土を射程に収めるICBM発射実験に成功したと主張している。核弾頭小型化が事実なら、日本など周辺国や米国への脅威が一段と高まることになる。
 同紙によると、米国防情報局(DIA)がまとめた7月28日付の分析概要は「北朝鮮がICBM級を含む弾道ミサイルで運搬する核弾頭を生産したと(米)情報機関はみている」と指摘した。米当局は7月時点で、北朝鮮が保有する核爆弾を最大60発と推定しているという。
 北朝鮮は昨年9月の核実験で、弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭の性能や威力を確認し「小型化、軽量化、多種化された、より打撃力の高い核弾頭を必要なだけ生産できるようになった」と主張。その時点で米国では、実際に核弾頭を小型化するには数年を要すると推測する見方が主流だった。新たな分析で、北朝鮮による核開発が予想を上回るペースで進んでいる可能性が出てきた。
 日本の防衛白書も、北朝鮮の核開発に関し「小型化・弾頭化の実現に至っている可能性が考えられる」と懸念を示している。
 北朝鮮は7月、2回にわたりICBMの発射実験に成功し「米本土全域が射程圏内にある」と主張した。ICBMの実戦配備に不可欠な大気圏への再突入技術については、まだ未完成とみる向きが多いが、ワシントン・ポストは「来年後半には(技術獲得の)ハードルを越えると、多くの専門家は考えている」と伝えた。(時事)

 −朝鮮中央通信によると、北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍報道官は8日付で声明を出し、北太平洋の米領グアム島周辺を中距離弾道ミサイル「火星12」で「包囲射撃する作戦計画」を慎重に検討していると威嚇した。米戦略爆撃機による朝鮮半島周辺での訓練実施を非難する中で述べた。
 グアムには米爆撃機が発進するアンダーセン空軍基地があり、声明は作戦計画について「アンダーセン基地を含むグアムの主要軍事基地を制圧・けん制し、米国に厳重な警告メッセージを送るためだ」と主張。「近く、最高司令部に報告され、金正恩朝鮮労働党委員長が決断すれば、任意の時間に同時多発的、連発的に実行される」と警告した。
 北朝鮮国営メディアは5月15日、「火星12」の発射実験が14日に「成功した」と報じている。射程4500〜5000キロと推定され、グアムを射程に収めているとみられる。
 北朝鮮は7月4日と28日にはICBM「火星14」の発射実験を強行。これを受けて、米軍のBl戦略爆撃機2機が30日、アンダーセン基地から発進し、朝鮮半島周辺や上空を飛び、自衛隊機、韓国軍機とそれぞれ共同訓練を実施した。8月8日にも同様の訓練を行った。
 一方、朝鮮人民軍総参謀部も声明を発表し、最高首脳部を狙う米軍の「斬首作戦」や、核能力除去を目的とする「予防戦争」「先制攻撃」に強い警戒感を表明。こうした作戦の動きを把握した場合、「先制的報復作戦を開始する」と予告し、「ソウルなどを『火の海』にし、太平洋作戦戦域の米軍基地を制圧する全面攻撃につながる」と警告した。(時事)

 9日 −北朝鮮軍で弾道ミサイルを担当する戦略軍の司令官は、新型中距離弾道ミサイル「火星12」によるグアム島周辺への包囲射撃計画について、4発同時に発射し、米軍基地があるグアム島周辺の30〜40キロの海上水域に着弾させることを検討していると発表した。朝鮮中央通信が10日伝えた。
 8月中旬までに準備を終わらせ、発射台を立てた態勢で核戦力の総司令官(金正恩朝鮮労働党委員長)の命令を待つとしている。包囲射撃では「島根県、広島県、高知県の上空を通過する」とも言及。実際に弾道ミサイルが日本列島上空を通過すれば、金正恩政権になって初めてのことになる。射程は3356.7キロで、飛行時間は17分45秒とした。
 また「ゴルフ場に閉じこもっていた米軍統帥権者」という表現でトランプ米大統領に触れ、「炎と怒り」発言が自分たちの神経を逆なでしたと非難。一方で、「私たちは米国の言動を引き続き注視している」とも言及し、米国の出方を見守る姿勢も示した。(朝日新聞夕刊8. 10)

 −マティス米国防長官は、「北朝鮮は体制の崩壊や人民の破滅につながるようないかなる行為もやめるべきだ」との声明を出した。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮をめぐって外交による問題解決を主張してきたマティス長官が、トランプ政権で初めて「金正恩政権の崩壊」に言及。挑発行為を続ける北朝鮮に強く警告した格好だ。
 マティス長官は声明で、北朝鮮が国連安保理決議に従うよう強く求めたうえで「北朝鮮は孤立化をやめ、核兵器保有の追求を断念すべきだ」と主張。「米国務省は外交手段を通じ、この世界的脅威を解決するあらゆる努力をしているが、統合された同盟国の軍事力はいまや地球で最も正確で、訓練され、堅固な防衛・攻撃能力を保有していることに留意すべきだ」と軍事力行使を示唆した。
 これまでマティス長官は外交手段の重視を主張してきた。ティラーソン国務長官も1日、「米国は(北朝鮮の)政権交代を目指さず、政権崩壊も求めない」と述べたばかり。今回トランプ政権で初めて北朝鮮の体制崩壊にまで踏み込んだのはICBMを2発射し、グアム攻撃を示唆した北朝鮮に強く警告を発するためとみられる。
 これに先立ち、トランプ大統領は8日、記者団に「これ以上、米国への威嚇行為を行わないことが北朝鮮にとっての最善策だ。世界が見たことがない炎と怒りを受けることになる」と発言。一方、ティラーソン国務長官は9日、記者団に「米国民が(北朝鮮の)発言に心配する必要はない」と語り、火消しに躍起だ。「大統領が明言しているのは、米国はいかなる攻撃からも自国と同盟国を防衛する能力を十分有していることだ」として、攻撃ではなく防衛能力のほうを強調した。(朝日新聞夕刊8. 10)

 −北朝鮮の国際問題研究院の研究士は、北朝鮮が発射したICBMを中距離弾道ミサイルとロシアが主張していることについて「国際社会が(ICBMだと)一様に公認する現実をロシアだけは日も耳もふさいでむやみに否認している」と非難する論評を発表した。朝鮮中央通信が10日までに伝えた。
 論評は「軍事力で2番目になると悔しがるロシアは、自国のでたらめな主張に信ぴょう性を与えようと国防省の名義まで動員している」と批判。ロシアがICBMと認めないのは、北朝鮮のミサイル能力に対する「嫉妬心」のためだと主張した。(共同)

 −米NBCテレビは、国防総省が北朝鮮に対する先制軍事攻撃の選択肢の一つとして、米空軍のBl戦略爆撃機による北朝鮮の弾道ミサイル発射基地などに対する精密爆撃を実行する準備を整えたと伝えた。トランプ大統領による命令があればいつでも実行できる状態にあるとしている。
 複数の軍当局者がNBCに語ったところでは、空爆には米領グアムのアンダーセン空軍基地に配備されているBl爆撃機を使用。戦闘機による護衛と電子戦機や空中給油機の支援の下、北朝鮮国内にある約24カ所のミサイル基地や実験場、関連施設などを攻撃するとしている。
 米空軍は5月末から今月8日にかけて、Bl爆撃機をグアムから朝鮮半島上空などに飛ばす予行演習を計11回にわたって実施している。うち数回は航空自衛隊と韓国空軍の戦闘機がBlを護衛する共同訓練を行った。
 Bl爆撃機は、爆弾や射程千キロ以上の長距離空対地ミサイル(JASSM−ER)などの通常兵器を最大約60トン搭載することができる。グアムには現在、6機のBlが配備されている。(産経新聞8. 11

 11日 −トランプ米大統領は、北朝鮮が米領グアム島周辺に向けたミサイル発射計画を公表していることについて、金正恩朝鮮労働党委員長を念頭に「北朝鮮の指導者がグアムや他の米領、同盟国に対して何かすれば、彼は心から、そして直ちに後悔することになる」と述べ、攻撃には即時反撃すると警告した。滞在先のニュージャージー州で、記者団に語った。米朝間の非難の応酬は止まらなくなっている。
 トランプ氏は11日、中国の習近平国家主席と電話で会談し、北朝鮮問題を協議した。国連安全保障理事会は5日、北朝鮮からの石炭や海産物の輸出を全面禁止する制裁決議を全会一致で採択した。トランプ氏はかねて、北朝鮮が経済面で依存する中国に、決議の効果的履行への協力を求めていた。
 北朝鮮関連の追加制裁についても、トランプ氏は記者団に「 (現在科している制裁は)既に極めて強力だが、非常に高レベルの追加制裁を考えている」と述べた。米政府は安保理決議に基づく制裁とは別に、北朝鮮と取引のある中国企業に対する独自制裁も検討している。
 トランプ氏は11日、ツイッターに「北朝鮮が無分別に行動した場合の軍事的解決の準備は万全で、臨戦態勢にある」と書き込んだ。この投稿に関し、記者団に「言葉通りの意味だ」と説明。「(北朝鮮指導部が)言葉通りに理解することを望む。極めて簡単に理解できる言葉だ」と語った。
 一方、米軍の配置変更の有無や、北朝鮮の体制変更を目指すかどうかについては、言及を拒否した。報道陣に「米国は戦争するつもりか」と質問されても「あなたは答えを知っているだろう」とはぐらかした。
 トランプ氏の一連の挑発的な発言が北東アジアの緊張を高めていると批判も出ている。これに対しては「私の言葉に喜んでいる人は、国内に何千万人もいる」と反論。軍事衝突が起きた場合、北朝鮮が標的とする恐れがある韓国に関しても「やるべき仕事をしていない過去の大統領よりも(韓国国民は)私に安心感を覚えているはずだ」と自賛した。(時事)

 12日 ※日米韓の政府当局者が、7月28日夜の北朝鮮によるICBM「火星14」の発射を分析した結果、大気圏再突入に失敗したとの見方を固めたと、3カ国の関係筋が明らかにした。高角度の発射だったことや技術進展の速さを考えると、再突入技術の取得にそれほど時間がかからないとの見方が強い。
 3カ国の関係筋によれば、NHKがミサイルの落下推定時刻とほぼ同時刻に北海道で撮影した閃光(せんこう)の映像を分析した結果、光点が徐々に暗くなり、海面に到達する前に見えなくなった。関係筋の一人は「山に遮られたのではなく、弾頭が最終的に消滅した」と語る。
 韓国政府によれば、ICBMが大気圏に再突入する際、速度はマッハ24、温度は7千度程度。弾頭を保護する炭素複合材が必要だ。
 28日は発射角度を意図的に高め、高度を上げて飛距離を縮めたロフテッド軌道だった。通常の35度で発射する場合よりも垂直に落ちる形に近づき、大気の抵抗が大きい。速度が遅くなり、弾頭にかかる圧力も均等になる半面、再突入に必要な6度の角度を維持するのが難しくなるという。
 軍事関係筋によれば、日米韓は、北朝鮮が今年3月に新型エンジンを完成させる前までは、「ICBMの完成まで2年程度かかる」とみていた。現時点では、射程や核弾頭を搭載する小型化の問題はほぼ解決したとの見方が出始めている。大気圏再突入時に弾頭を保護し、さらに正確に核爆弾を起爆できるかどうかの問題は残されているという。
 ただ、軍事関係筋の一人は「北朝鮮は軍事技術に応用可能な民生品なども手にれている。最終的な完成まで数カ月しかかからないかもしれない」と語った。(朝日新聞8. 12)

 14日 −中国商務省は、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する国連安全保障理事会の新たな制裁決議を履行するため、北朝鮮からの鉄鉱石や海産物などの輸入を15日から停止すると発表した。中国は北朝鮮にとって最大の貿易相手国。今回の中国の制裁履行は、大きな経済的打撃になりそうだ。
 米時間5日採択の安保理決議と同じく、輸入禁止対象は石炭、鉄・鉄鉱石、鉛・鉛鉱石、海産物と設定された。15日以前に発送されたものは輸入できるが、9月5日からは全面的に輸入できなくなる。
 習近平国家主席は12日(米時間11日) 、トランプ米大統領と電話会談し「中米は朝鮮半島非核化の実現と朝鮮半島の平和と安定の維持において共通利益を有している」と表明。対北朝鮮圧力強化を求める米国に対し「関係国は自制を保ち、朝鮮半島情勢の緊張を高める言動を避けるべきだ」と強調、トランプ氏をけん制していた。中国の「義務履行」については米国を含む世界に明確な形で宣伝してみせた格好だ。(時事)

 −北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、米領グアム島周辺へのミサイル発射計画を進める朝鮮人民軍戦略軍司令部を視察し、金洛兼司令官から発射準備が「完了した」との報告を受けた。正恩氏は「米国の行動をもう少し見守る」と述べた。朝鮮中央通信が15日に伝えた。ミサイル発射態勢が整ったことを明らかにすることで緊張を高める一方、すぐには発射に踏み切らない姿勢も見せ、トランプ米政権に譲歩を迫った。
 同通信によると、金司令官は「発射準備を終え、党中央(正恩氏)の命令を待っている」と報告。正恩氏は「朝鮮半島情勢を緩和させ、軍事衝突を防ごうとするなら、米国が先に正しい選択をし、行動で示すべきだ」と強調。北朝鮮への威嚇を続ける米国に挑発を止めるよう求めた。
 その上で「米国がわれわれの自制心を試し、朝鮮半島周辺で危険な行動を続ければ重大な決断を下すことになる」と警告。「米国の無謀さが度を越せばやつらの首にやいばを突きつける最も痛快な歴史的瞬間になるだろう」と北朝鮮軍の攻撃力を誇示してみせた。
 同通信は「戦略軍将兵は金正恩同志の命令さえ下れば南朝鮮(韓国)と日本、太平洋作戦地帯、米本土の攻撃対象を強力な打撃で焦土化し、反米対決戦に最終勝利する決意を確認した」と伝えた。
 戦略軍は9日、中距離弾道ミサイル「火星12」4発をグアム島周辺に同時発射する計画を今月中旬までに確定し、正恩氏の発射命令を待つと発表していた。(東京新聞夕刊8. 15)

 −マティス米国防長官は、米領グアム沖へのミサイル発射を検討している北朝鮮に対して「米国を攻撃すれば直ちに戦争にエスカレートする恐れがある」と警告した。マティス氏とティラーソン米国務長官は14日付のウォールストリート・ジャーナル紙への連名の寄稿で「どんな攻撃も打倒され、いかなる核兵器の使用も効果的で圧倒的な報復に遭うだろう」と強くけん制した。
 マティス氏は、北朝鮮がミサイルを発射した場合には軌道を瞬時に把握し、グアムを直撃すると判断すれば迎撃ミサイルで「破壊する」とも明言した。国防総省で記者団に述べた。
 両長官は寄稿で、北朝鮮が非核化に動くのを待つオバマ前大統領の「戦略的忍耐」を転換し、国際社会と連携した経済制裁や外交で、圧力を強化していく方針を強調。「完全かつ検証可能で、不可逆的な朝鮮半島の非核化」と「北朝鮮の弾道ミサイル計画の廃棄」を目指すとした。
 一方で「米国は北朝鮮と交渉する用意がある。北朝鮮の体制の転換や早急な朝鮮半島の統一、米軍による北朝鮮侵攻は目指していない」と言明。対話を実現するために、核実験や弾道ミサイル発射といった挑発行為をやめるよう要求した。(東京新聞夕刊8. 15)

 16日 −-トランプ米大統領は16日朝、ツイッターで、「北朝鮮の金正恩(朝鮮労働党委員長)は非常に賢明で、十分に筋の通った選択をした」と発言した。北朝鮮軍が検討していた米領グアム周辺への弾道ミサイル発射について、正恩氏が14日に「米国の行動をもう少し見守る」と発言し、発射を控えたことを評価したとみられる。
 トランプ氏は「もう一つの選択は破滅的で、(正恩氏は)受け入れることができなかっただろう」とも述べた。北朝鮮が発射した場合は軍事報復していたと示唆し、北朝鮮をけん制したものだ。
 「かつて見たことのない炎と怒りに直面する」「臨戦態勢にある」などと強硬一辺倒だったトランプ氏の北朝鮮に対する発言ぶりは一転して和らいだ。米朝間の軍事的な緊張も一時的に緩和に向かう可能性がある。
 ただ、トランプ政権は、グアムへの弾道ミサイル発射を一時的に控えただけでは、米朝対話の条件にはならないとの立場だ。
 米国務省のナウアート報道官は15日の記者会見で、正恩氏の「見守る」発言に関し、「北朝鮮が非核化に向けて真剣に取り組んだ時に、金正恩氏と対話をしたい。まだ我々は(真剣な取り組みを)見ていない」と述べた。ナウアート氏は「外交が問題を解決できると信じている」と強調する一方、「対話に至るまでに、北朝鮮は真剣な措置を講じる必要がある」と注文した。(読売新聞8. 17)

 17日 −韓国の文在寅大統領は就任から100日を迎えた17日、話者会見を開いた。核・ミサイル開発を加速する北朝鮮の「レッドライン」 (越えてはならない一線)について「ICBMを完成させ、核弾頭を搭載して兵器化することだ」と指摘。「北朝鮮はレッドラインの臨界点に近づいている。追加挑発を止めなければならない」と強調した。(日本経済新聞夕刊8. 17)

 −日米両政府の外務・防衛担当閣僚4人は17日午後(日本時間18日未明) 、ワシントンで行った安全保障協議委員会(2プラス2)後にそろって記者会見し、北朝鮮に対する圧力を強化する姿勢を打ち出した。マティス国防長官は「必要であれば打倒する。いかなる敵対行為も効果的で圧倒的な反応に直面する」と警告した。
 マティス氏は共同記者会見で、北朝鮮の米領グアム沖への弾道ミサイル発射計画をめぐり、「日本、グアム、米国、韓国に向けてミサイルを発射した場合、撃ち落とすため即座に行動を取る」と述べた。
 ティラーソン国務長官も「北朝鮮が間違った選択をした場合、外交努力は強い軍事的結果に裏打ちされていなければならない」と軍事的選択肢の重要性を指摘した。
 河野太郎外相は「北朝鮮が挑発的かつ脅迫的な行動を目刺し、非核化に向けて真剣な対話に戻ることが大事だ。対話のための対話には意味がない」と述べ、圧力強化を継続する姿勢を強調した。
 小野寺五典防衛相は「あらゆる事態の対応を万全とするため、自衛隊と米軍の防衛協力をさらに推進する」と語った。
 4閣僚は対北圧力強化に向け、北朝鮮に影響力を持つ中国に一致して働きかける方針でも足並みをそろえた。
 また、マティス氏は「拡大抑止による米国の日本防衛のコミットメントは揺るぎない」と述べ、米軍による「核の傘」提供を改めて確認した。
 これに先立つ2プラス2はワーキングランチを含め約3時間にわたり協議。北朝鮮の脅威を抑止・対処するための日米同盟強化を盛り込んだ共同発表もまとめた。
 ティラーソン氏は2プラス2で「中国が北朝鮮に対して何もやらないことが日米韓の防衛態勢を強固にする結果につながる」と述べ、日米韓の連携が中国に対北圧力強化を促すカードになるとの認識を示した。(産経新聞8. 19)

 20日 −マティス米国防長官は、韓国軍との定例軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」への米軍の参加人数を縮小したことについて、北朝鮮の挑発にならないよう配慮した結果ではないと語った。ロイター通信が報じた。
 マティス長官は外遊先のヨルダンに向かう機上で記者団に対し、米韓軍事演習の計画は数カ月前から決まっていたと指摘。その上で「参加人数は演習目的によって決まるものだ。今年の演習は異なる要素の統合を目指す指揮系統の訓練を重視している」と述べ、昨年ほど多くの人員を必要としなかったと説明した。
 21〜31日の日程で行われる同演習は、朝鮮半島有事を想定したコンピューターシミュレーション訓練が中心となる。米軍からは昨年の約2万5000人より少ない約1万7500人が参加。韓国軍からは昨年と同規模の約5万人が参加する。(時事)

 22日 −韓国を訪問中の米軍のハイテン戦略軍司令官とハリス米太平洋軍司令官は、ソウル郊外で記者会見を開いた。ハイテン氏は「挑発を抑制できるすべての戦力を韓国に提供する」と北朝鮮をけん制した。ハリス氏は「問題解決には外交的手段が重要だ」と表明。対話の姿勢をみせつつ北朝鮮を圧迫する方針を明確にした。一方、北朝鮮は22日も米韓合同軍事演習に対する反発を続けた。
 両氏とグリーブス・ミサイル防衛局長の米軍幹部3人が、京畿道・烏山の空軍基地で米国の同行記者団らと会見した。ハイテン氏は同基地内の米軍のミサイル装備の前で、「すべてのオプションを検討している。韓国とともに北朝鮮の挑発に対応する」と強調した。
 同氏は戦略爆撃機、ハリス氏は在韓米軍、グリーブス氏は地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)をそれぞれ統括。合同軍事演習を機に米軍幹部3人がそろって訪韓するのは珍しい。
 米国はイージス駆逐艦「ジョン・S・マケイン」とタンカーの衝突事故を受けて、全世界で艦隊運用を停止した。ハリス氏はこれに言及し、「同盟国を守る十分な準備態勢ができている」と、米軍の抑止力に影響は無いとの見解を示した。(日本経済新聞8. 23)

 −ウクライナ国家安全保障・国防会議は、北朝鮮が発射したICBMに使われたエンジンがウクライナから流出したとする疑惑を否定する調査結果を発表した。
 米紙ニューヨーク・タイムズは、北朝鮮のICBMに旧ソ連のエンジン「RD250」の改良型が搭載されていた可能性があると報じ、ウクライナのポロシェンコ大統領が調査を指示していた。
 トゥルチノフ国家安全保障・国防会議書記は報告で「ウクライナ独立以降、軍用・軍民両用の物品に関し、北朝鮮への供給を許可したことはない」と強調。1991年以降、RD250は改良型も含めて生産しておらず、それ以前に生産し、保管していたRD250と改良型の計40基は92〜2008年にロシアに輸出されたと述べた。
 トゥルチノフ書記は疑惑はロシアによる情報操作の可能性があると主張した。(時事)

 −米財務省は、北朝鮮の核兵器開発の支援などをしたとして、中国やロシアなどの16の企業・個人に対する独自の金融制裁を発表した。米政府による対北朝鮮制裁としては最大規模。トランプ政権は北朝鮮への圧力を強めており、北朝鮮最大の外貨獲得源となっている石炭輸出や労働者派遣にかかわる企業を新たに制裁対象とした。
 米政府関係者によると、日本政府にも今回の制裁に同調するよう要請。日本側は一部について同様の制裁を取ることを決め、米側に伝えている。中国と経済的な結びつきが強い日本にも対象を広げることで、北朝鮮による核・ミサイル開発の資金源を断つための効果的な対北朝鮮「包囲網」をつくりたい考えだ。
 米財務省によると、今回の制裁は、@石炭や原油などのエネルギー取引A海外への労働者派遣3)北朝鮮の大量破壊兵器に関わる企業・個人が対象。ムニューシン財務長官は声明で「我々は北朝鮮への圧力をかけ続ける。中国やロシアなどの企業が北朝鮮の収入確保を手助けするのは受け入れられない」と非難した。
 対象となった中国の貿易会社「丹東至誠金属材料」 (中国遼寧省)など3社は、北朝鮮産石炭を輸入している。この3社が北朝鮮にとって最大の外貨稼ぎとなる石炭の大部分を取り扱っているという。北朝鮮に軽油などを輸出していたシンガポールやロシアの貿易会社なども含まれている。
 中国本土や香港に拠点がある「明正国際貿易」は、北朝鮮の核・ミサイル開発の資金を集めている北朝鮮国営銀行のマネーロンダリング(資金洗浄)に関わっているとされる。
 今回新たに労働者派遣に関わったとして北朝鮮の建設会社「万寿台海外開発会社」も対象となった。(朝日新聞8. 23)

 −トランプ米大統領は、アリゾナ州で開いた集会で、北朝鮮情勢を巡って「何か前向きなことが起きるかもしれない」と述べた。北朝鮮の金正恩委員長が足元でミサイル発射を控えていることを念頭に「彼が我々を尊重し始めたことに敬意を表する」とも述べ、米朝対話の実現に期待を示した。
 ティラーソン国務長官も同日の記者会見で、「北朝鮮は自制を示している」と一定の評価を示した。21日に始まった米韓合同軍事演習を巡って北朝鮮との緊張が続くなか、対話に向けて北朝鮮にメッセージを送った。
 ティラーソン氏は会見で、今月5日に国連安全保障理事会で追加制裁が採択されて以降、北朝鮮が弾道ミサイル発射などの挑発行為に出ていないことに言及。「注目したい」と評価する意向を示した。
 そのうえで「近い将来の対話への道が見えつつあることを望む」とも語った。(日本経済新聞夕刊8.23)

 23日 −北朝鮮の朝鮮中央通信は、金正恩朝鮮労働党委員長が国防科学院化学材料研究所を視察したと報じた。金委員長はICBM用の弾頭部や固体燃料エンジンの増産を指示したという。
 視察日時は伝えていないが、合同演習を開始した米韓などをけん制する狙いがあるとみられる。金委員長の動静が報じられたのは、14日の戦略軍司令部視察以来。同司令部では米領グアム島沖への弾道ミサイル発射計画の準備が完了したとの報告を受け、「米国の行動をもう少し見守る」と述べていた。研究所視察の報道では、ミサイル発射計画には言及しておらず、まだ最終的判断を下していないもようだ。
 朝鮮中央通信によれば、研究所は、ICBMの弾頭部や固体燃料エンジン噴射口製造に使う最先端素材を開発、国産化し、ICBMの発射実験「成功」に大きく貢献したとされる。
 金委員長は「ミサイルの大気圏再突入能力を実証したことは大きな成果だ」と評価。 「戦略ミサイル開発で研究所が担っている責任と任務が特別に重要だ」と強調し、「研究所を一新して生産能力を拡張しなければならない」と訴えた。(時事)

 −北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が「国防科学院化学材料研究所」を視察したことを報じた23日付朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の写真に、「火星13」と書かれたミサイルの構造図があった。新型ICBMを開発中とみられる。
 ミサイルは、北朝鮮が7月に発射に成功したICBM「火星14」より1段多い3段式で、構造図には弾頭や噴射口の拡大図も描かれていた。
 北朝鮮は核実験を繰り返し、ミサイルに搭載する際に必要な核爆弾の小型化も進めている。火星13を3段式にすることで、更に重い弾頭を積んで長距離を飛行できるよう改良を進めている可能性がある。
 火星14は液体燃料だが、正恩氏は視察の際、固体燃料ロケットエンジンの生産を指示。固体燃料は燃料注入の時間が不要なため、事前に発射の兆候をつかみにくい特徴がある。火星13も固体燃料を使うとの見方もある。
 北朝鮮のICBM開発の最終目的は、核弾頭が搭載でき、米ワシントンに届く射程を持つミサイルの開発だ。今年5月には、新型中長距離弾道ミサイル「火星12」の試験発射に成功。韓国の情報機関「国家情報院」は、火星14が、1段目に火星12のエンジン、2段目には6月に燃焼実験した新しい小型エンジンを搭載したと分析する。火星13も1段目に火星12のエンジン、2、3段目に新型の小型エンジンを搭載している可能性がある。
 一方、写真には、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる「北極星3型」の構造図も写っていた。北朝鮮は2種類の新型ミサイルが開発中であることを示すことで、21日から合同軍事演習を始めた米韓をけん制する狙いもあるとみられる。(読売新聞8.24)

 25日 −菅官房長官は記者会見で、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への制裁の一環として、中国企業を含む6団体・2個人を資産凍結の対象に追加指定したと発表した。同日の閣議で了解した。指定したのは、いずれも米国が22日に資産凍結に追加した団体・個人。日本政府としては既に実施済みの制裁と合わせると、凍結対象は計72団体・81個人に広がる。
 米国はロシア企業も資産凍結対象に加えたが、日本政府は現段階で追加指定していない。日露関係に配慮し、制裁対象とすべきかどうか慎重に検討しているとみられる。
 資産凍結の対象に加わった中国企業は、中国遼寧省の貿易会社「丹東至誠金属材料」や「明正国際貿易有限公司」など4団体。石炭や金属取引、金融サービスの提供などを通じ、北朝鮮の資金源になった。アフリカ・ナミビアの北朝鮮・中国系企業2団体も指定された。個人は北朝鮮と中国がそれぞれ1人。(読売新聞夕刊8. 25)

 −中国商務省は25日夜、国連安保理の制裁決議に基づき、北朝鮮との新たな合弁企業の設立を禁止する通知を出した。北朝鮮の核・ミサイル開発に反対する中国は、国連制裁に沿って石炭や水産物の輸入を止めるなど北朝鮮への締め付けを徐々に強めている。
 25日発効の通知によると、北朝鮮の団体・個人による中国での中朝合弁企業や北朝鮮資本企業の新設を禁止した。既にあるこうした企業の増資や規模拡大も認めない。
 国連安保理の最新の制裁は、北朝鮮が7月に行った2度のICBM発射を受けたもの。核・ミサイル開発に使われる外貨収入に打撃を与えるため、北朝鮮からの石炭や鉄・鉄鉱石、海産物などの輸入、北朝鮮の団体・個人との共同企業体(JV)新設や既存JVの拡大を禁じている。(時事)

 26日 −韓国軍合同参謀本部は26日、北朝鮮が同日朝6時49分ごろ、江原道旗対嶺一帯から短距離飛翔(ひしょう)体を数発、発射したと発表した。米太平洋軍によると、発射したのは短距離弾ミサイル3発で、いずれも失敗したという。韓国大統領府関係者は「多連装ロケット砲」との見方を示した。
 米韓両軍は21日から朝鮮半島有事を想定した定例の合同指揮所演習「乙支フリーダムガーディアン」を韓国で実施中で、北朝鮮はこれに反発した可能性がある。
 韓国軍合同参謀本部によると、飛翔体は旗対嶺一帯から咸鏡北道金策の南端沿岸の日本海上に向けて発射した。飛行距離は250キロメートルあまり。韓国大統領府関係者は、「改良型の300ミリ大口径多連装ロケット砲と推定されるが、軍が引き続き分析している」と説明した。
 米太平洋軍が同日発表した初期分析によると、1発目と3発目はそれぞれ日本時間午前6時49分、同7時19分に発射され、飛行したものの失敗。2発目は同7時7分の発射直後に爆発したもようとしている。
 韓国政府は午前8時30分から1時間、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開催して状況分析と韓国軍の態勢を確認。米韓共同軍事演習をより徹底して進めることにした。
 北朝鮮の飛翔体ミサイル発射は7月28日夜、慈江道からICBM級の「火星14」を発射して以来、約1カ月ぶり。この間、北朝鮮は米領グアム沖に複数の弾道ミサイルを撃ち込む構えも見せていたが、今回は短距離ミサイルの発射にとどまった。米朝の緊張激化に歯止めをかけた可能性もある。(日本経済新聞夕刊8. 26)

 −米太平洋軍のベンハム報道担当官は、北朝鮮が同日発射した飛翔体について、初期の分析を訂正し、3発のうち2発は「失敗ではなく、北東方向に約250キロ飛行した」と述べた。日韓両国の分析を追認した形だが、「ミサイル」との見方は変えていない。(時事)

 27日 −ティラーソン米国務長官は27日放送のFOXテレビの番組で、先の北朝鮮による3発のミサイル発射を受けて「北朝鮮を交渉のテーブルにつかせられるか見極めるため同盟国や中国と協力し、平和的な圧力を続ける」と語った。圧力をかけて外交的な解決に向けた対話に持ち込む従来方針に変わりはないとの考えを示したものだ。
 「金正恩政権に違う道も選択できるということを理解してもらいたい」とも述べた。同氏は22日、それまでほぼ1カ月近くミサイル発射がなかったことを「北朝鮮は自制を示している」と評価するメッセージを発していた。北朝鮮の姿勢の変化を見誤っていた可能性を問われると「それが分かるには、しばらく時間がかかるだろう」と述べるにとどめた。
 ミサイル発射に関しては「国連安全保障理事会の決議違反で、米国や同盟国への挑発行為とみなしている」と非難し、「朝鮮半島の非核化に向けて国際社会は一致結束している」と述べた。(日本経済新聞夕刊8. 28)

 28日 −韓国軍は、北朝鮮が26日に発射した飛翔体について、当初推定していた300ミリ多連装ロケット砲ではなく「短距離弾道ミサイルの可能性が高い」とする中間評価をまとめた。飛翔体をめぐっては、米太平洋軍が短距離弾道ミサイル、韓国政府が多連装ロケット砲と異なる説明をしていたが、韓国側が判断を修正した形だ。
 韓国大統領府高官は26日、北朝鮮が発射した飛翔体に関して「改良された口径300ミリ多連装ロケット砲と推定される」と説明。韓国軍関係者によると「高度や射程距離など初期データを基に分析すると、多連装ロケット砲に最も近いと評価」していたという。
 だが、その後、米韓両軍で分析した結果、短距離弾道ミサイルと判断を修正。高度は約50キロだったとした上で、発射の兆候については「米韓が綿密に監視していた」 (軍関係者)と話した。(時事)

 29日 −北朝鮮は29日午前5時58分頃、同国西岸の首都平壌・順安から北東方向に弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは同6時5〜7分頃、北海道の渡島半島や襟裳岬の上空を通過し、同6時12分頃に襟裳岬の東約1180キロ・メートルの太平洋上に落下した。北朝鮮のミサイルが日本列島の上空を通過するのは、「人工衛星」と称する弾道ミサイルが沖縄県上空を通過した2016年2月以来で、5回目。
 弾道ミサイルの発射は8月26日以来で、今年に入り13回目となる。
 北朝鮮からのミサイル発射の事前通告はなかった。政府は発射直後、全国瞬時警報システム「Jアラート」や自治体向け専用回線メール「エムネット」を使い、自治体や住民などに警戒や避難を呼びかけた。航空機、船舶への被害や落下物は確認されていない。日本国内への落下の恐れはないとして、自衛隊の迎撃措置は実施しなかった。政府は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重な抗議を伝えた。
 防衛省によると、ミサイルは約14分間、約2700キロ・メートル飛行した。最高高度は約550キロ・メートルで、通常より高い角度の「ロフテッド軌道」ではないとみられる。菅官房長官は29日の記者会見で「ミサイルは日本海上空で三つに分離した可能性がある」と述べた。小野寺防衛相は、北朝鮮が5月14日に発射した中長距離弾道ミサイル「火星12」の可能性があるとの見方を示した。
 政府は29日午前、首相官邸でNSC4大臣会合を開催し、今後の対応を協議した。安倍首相は「政府としては、発射直後からミサイルの動きを完全に把握していた。我が国を飛び越えるという暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威だ。国際社会と連携し、さらなる圧力強化を強く国連の場で求めていく」と記者団に述べた。
 菅官房長官は「断じて容認できない。国連安保理でのさらなる対応を含め、北朝鮮に対する断固たる対応を早急に検討する」とする声明を発表した。
 日本政府は米国、韓国と連携し、国連安全保障理事会の議長国エジプトに緊急会合の開催を要請。安保理は29日午後(日本時間30日早朝)、緊急会合を開く方向で調整に入った。
北朝鮮は7月4日と同28日に、ICBM「火星14」を発射。8月8日には米領グアム周辺に中長距離弾道ミサイル「火星12」を発射する計画を公表。10日には国営朝鮮中央通信を通じ、4発を同時発射し、島根、広島、高知各県の上空を通過してグアム周辺30〜40キロ・メートルの海上に落下させると予告した。
 これに対し、トランプ米大統領は「世界が見たこともないような炎と怒りに直面する」と発射を強くけん制。金正恩朝鮮労働党委員長は14日、「米国の行動をもう少し見守る」と述べていた。
 予告と異なる飛行コースだったことについて、河野外相は「北朝鮮が少しひるんだのだろう」との見方を示した。
 韓国で21日から朝鮮半島有事を想定した米韓合同軍事演習「乙支フリーダム・ガーディアン」が始まったことを受け、北朝鮮は26日に短距離弾道ミサイル3発を発射するなど、反発を強めていた。 (読売新聞夕刊8. 29)

 −トランプ米大統領は、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて声明を出し、「近隣諸国や国連の全加盟国、そして国際的な振る舞いとして受け入れられる最低限の基準に対する侮辱だ」と強く非難した。その上で「全ての選択肢がテーブルの上にある」と重ねて警告し、軍事的手段も排除しない姿勢を示した。
 声明は「挑発的な行動は、地域と世界における北朝鮮の孤立を深めるだけだ」と指摘した。今回の発射後、米政府が公式の反応を示したのは、米軍による事実確認の声明を除くとこれが初めて。
 ホワイトハウスによると、トランプ氏は安倍晋三首相との電話会談で「北朝鮮が日米韓をはじめ全世界に突き付ける直接の脅威は、さらに大きくなっている」との認識で一致。北朝鮮への圧力強化に取り組み、国際社会にも同調を求めていくことを申し合わせた。(時事)

 −ロシアのリャプコフ外務次官は、北朝鮮の新たな弾道ミサイル発射について、米国と韓国による合同指揮所演習が引き金になったとの見方を示し、対立の激化を「極度に心配している」と表明した。ロシア通信が伝えた。
 同次官はまた、米欧は制裁強化へと踏み出す可能性があるが、制裁の手段は尽きており、問題解決につながらないと主張した。
 一方、ロシア上院のコサチョフ国際問題委員長は「北朝鮮はグアムの米軍基地に対する脅威が、はったりではなかったことを示した」とフェイスブックで指摘した。(共同)

 −北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は、日米韓3カ国の要請による緊急会合をニューヨークの国連本部で開き、「一地域ではなく国連加盟国全体への脅威だ」と非難する議長声明を全会一致で採択した。ただ、日米が石油の禁輸措置を念頭に北朝鮮への追加制裁決議を主張したのに対し、中ロは「朝鮮半島の緊張を高めかねない」などと反論。具体的な制裁の行方は見通せない状況だ。
 北朝鮮のミサイル発射に対し、今年だけで7回の報道声明を出してきたが、議長声明は2012年4月以来5年ぶり。議長声明は形式上、公式会合での合意を経て発表される安保理の公式文書で、報道声明よりも一段重く位置付けられている。日本上空を通過した今回のミサイル発射に、従来以上の懸念と抗議を表した形だ。
 声明は、今回のミサイル発射を挙げ、安保理決議に反する核・ミサイル開発を続けてきた北朝鮮を「故意に地域の平和と安定を損ない、世界全体に安全上の不安をもたらしてきた」と非難。弾道ミサイル発射の停止と開発の凍結とともに、核兵器や大量破壊兵器の放棄を求めている。
 国連加盟国に対しては、5日に採択した北朝鮮に対する制裁決議の厳格で完全な履行を要請。朝鮮半島の平和と安定に向け、安保理として軍事的解決ではなく、「平和的、外交的、政治的な解決」を後押しする考えをあらためて示した。(東京新聞夕刊8. 30)

 30日 −北朝鮮は、北海道上空を通過して太平洋に落下した29日の弾道ミサイルに関し、中距離弾道ミサイル「火星12」の発射に「成功した」と公表した。発射訓練に立ち会った金正恩朝鮮労働党委員長は、米領グアム島沖への発射計画に固執する姿勢を誇示。そのため太平洋を目標とする弾道ミサイル発射を続けるよう指示を出し、日米両国を強くけん制した。
 朝鮮中央テレビは30日午後、金委員長が指導した29日のミサイル発射の映像を放映した。同テレビは、韓国の情報機関・国家情報院がミサイル発射は初めてと指摘する平壌郊外・順安の飛行場で金委員長が指導する様子を紹介。ミサイルは放物線を描きながら飛び、高い高度で打ち上げる「ロフテッド軌道」とは異なる通常の角度で飛行する様子がうかがえた。
 これに対して立ち会った金委員長は満足な様子を示し、「わが軍が行った太平洋上での軍事作戦の第一歩だ」と強調。米軍基地が集まるグアム島をけん制する「前奏曲になる」とも述べ、太平洋上に向けて引き続き「弾道ミサイル発射を多く行う」考えを示した。その上で「米国の言動を引き続き注視し、今後の行動を決める」と述べ、米国の出方を見極める「余裕」もアピールした。(時事)

 −トランプ米大統領は、北朝鮮への対応について「対話は答えではない」とツイッターに投稿した。北朝鮮が弾道ミサイル発射による挑発を再開したことに、強い不満を表明したものとみられる。
 トランプ氏は「米国は25年間にわたり、北朝鮮と対話し、ゆすられてカネを渡してきた」とも書き込んだ。北朝鮮による核開発を阻止できなかった過去の合意を念頭に、核・ミサイル計画放棄につながらない対話は無意味だという姿勢を示し、譲歩を迫った形だ。(時事)

 −米国防総省ミサイル防衛局は、準中距離弾道ミサイルの迎撃実験をハワイ周辺で行い成功したと発表した。北朝鮮が29日に中距離弾道ミサイルを発射するなど挑発行為を繰り返す中、米軍のミサイル防衛能力の高さを誇示し、北朝鮮をけん制する狙いだ。発表によると、ハワイ・カウアイ島のミサイル基地から発射された標的のミサイルをハワイ沖に展開していたイージス駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」が捕捉、追尾し、同艦搭載の迎撃ミサイル「SM6」で迎撃に成功した。
 同局によると、米軍がSM6による準中距離弾道ミサイルの迎撃実験を行ったのは2回目で、いずれも成功している。(読売新聞8. 31)

 −マティス米国防長官と宋永武韓国国防相は30日、ワシントン郊外の米国防総省で会談し、北朝鮮問題の外交的な解決を支持する立場で一致した。マティス氏は会談前、記者団に対して「我々は外交的解決を決してやめていない」と述べ、北朝鮮への制裁強化をすることで圧力を強めていく考えを示した。
 トランプ大統領が同日、自身のツイッターで、北朝鮮との対話は「解決策ではない」と、外交ではなく軍事力を含めた強硬手段をとる考えを示唆。米軍を統括するマティス氏がこれを打ち消し、交渉による解決を目指す米政府の姿勢を改めて強調した。
 韓国側の説明によれば、マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)も同日、宋氏と会談した際に「米国は北朝鮮問題の平和的解決を優先する」と語ったという。
 一方、韓国側は米韓国防会談で、米軍の戦略爆撃機や原子力潜水艦などの戦術兵器を韓国に常時ないしローテーション配備するよう要請した。宋氏はその際、米軍戦術核の再配備を求める声が韓国内で高まっていることに言及した。
 米国は1991年、当時の盧泰愚・韓国大統領が朝鮮半島の非核化を宣言したことを受け、在韓米軍の戦術核を完全に撤去したとされる。宋氏は韓国内の意を紹介する形を取ったが、公式の会談で提起したことで、日本を含む東アジア地域に影響が出そうだ。
 米韓は韓国独自の弾道ミサイルについて、弾頭重量500キロの制限を緩和する方向で一致した。北朝鮮の地下施設への攻撃能力を強化するとしている。韓国側は独自の原子力潜水艦を建造したい意向も示した。米軍のTHAADの韓国への暫定配備を早期に完了することでも一致した。
 マティス氏は会談前、北朝鮮による挑発行為を抑えるため、「両国の防衛協力がかつてなく重要になっている」と強調した。米国は「韓国が最前線にいることを強く認識しており、これについて無関心ではいられない」とも指摘。米軍が北朝鮮への軍事行動に踏み切った際の報復攻撃を懸念する韓国の立場に理解を示した。(朝日新聞夕刊8. 31)

 −米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は、北朝鮮北東部豊渓里の核実験場で27日に撮影された商業衛星写真に基づき「直ちに地下核実験が行われるという兆候は観測されていない」との分析を発表した。
 韓国の情報機関、国家情報院は28日、豊渓里の二つの坑道で「核実験の準備が完了した状態だ」と報告。日米韓は北朝鮮が9月9日の建国記念日に向け、さらなる挑発行動に出る恐れもあるとみている。
 38ノースは、過去の核実験時に頻繁な人や車両の動きがあった場所で動きが見られないと分析。一方で、既に準備が整っている可能性があるとしている。(共同)

 31日 −朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省報道官は、国連安全保障理事会が、日本上空を通過した北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する議長声明を採択したことを受け、「全面的に排撃する」と反発した。(読売新聞9. 1)

 −米軍は、米領グアムの空軍基地からBl戦略爆撃機2機を朝鮮半島に展開し、航空自衛隊と韓国空軍とそれぞれ共同訓練をした。空自と韓国空軍が発表した。これまでも日米韓は同様の訓練を実施しているが今回は訓練規模を拡大した。日本列島を通過する弾道ミサイルを発射した北朝鮮への圧力を一段強めた。
 空自との訓練は九州周辺の空域で実施した。空自からはF15戦闘機2機が参加。在日米軍基地に所属する最新鋭ステルス戦闘機F35も加わり編隊を組みながら飛行した。
 8月16日や7月30日にも日米は同様の訓練をしたがF35は参加していない。空自によると、Bl戦略爆撃機とF15戦闘機の訓練にF35が加わるのは初めて。
 空自との訓練後、Bl戦略爆撃機は朝鮮半島に向かったとみられる。韓国空軍の発表では、Bl戦略爆撃機などと韓国空軍のF15戦闘機が朝鮮半島上空で訓練をした。敵の主要施設を精密打撃し、壊滅させる内容だという。韓国空軍は「国際平和を脅かす北朝鮮の挑発への韓米同盟の断固たる決意をみせた」とする。
 朝鮮戦争の経験から、北朝鮮は米軍の戦略爆撃機の飛来に反発する。8月31日の日米防衛相の電話協議では「目に見える形」での圧力強化を確認していた。(日本経済新聞9. 1)

 −マティス米国防長官は、弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮への対応について「同盟国である日本の上空を通過するミサイルを撃った国と今は対話する適切な時期ではない」と述べ圧力強化が優先だとの考えを示した。国防総省で記者団に語った。
 トランプ大統領が30日にツイッターで「対話は解決策ではない」と表明した直後、マティス氏は「外交的な解決策が尽きることはない」と発言。トランプ氏との不一致が生じているのではないかとの見方が出たが、「意見の相違はない」と否定した。
 マティス氏は31日、「外交は経済制裁も含む。対話だけではない」と指摘。大統領のツイートは、現在は話し合いや交渉の段階ではないとの立場を示したものだとして「矛盾はない」と強調した。
 北朝鮮が新たな核実験を準備しているとの見方があることについて「そういうことをする可能性はある」と述べるにとどめた。(共同)

 −スペイン外務省は、北朝鮮が日本上空を通過する形で弾道ミサイルを発射したことを受けて、駐マドリードの北朝鮮大使を呼んで抗議し、外交官1人の退去処分を通告したと発表した。スペインのメディアが伝えた。
 スペイン外務省は北朝鮮大使に「国際的な核不拡散体制を揺るがし、地域と世界の安全保障を脅威にさらした」と強く抗議。その上で、マドリードに駐在する大使と2外交官の計3人のうち外交官1人を1カ月以内に退去させるよう要求した。後任は受け入れない。
 スペイン外務省報道官は「北朝鮮に対しては、挑発を繰り返せば2国間関係に影響が出ると警告していた」として、度重なる抗議を北朝鮮が無視したため、厳しい措置を取ったことを明らかにした。(共同)

 

inserted by FC2 system