2017年 朝鮮半島核問題の主な動き

11月の主な動き
−※は報道日、表記は報道のまま−

 1日 −韓国の文在寅大統領は、国会の施政方針演説で対北朝鮮政策に言及し、「いかなる場合であれ朝鮮半島で武力衝突があってはならない」と強調した。その上で「朝鮮半島で韓国の事前同意のない軍事的行動はあり得ない」と断言した。
 また文氏は「民族の運命は、われわれが決めねばならない。植民や分断のように、われわれの意思に関係なく運命が決められた不幸な歴史は繰り返さない」とも主張した。
 トランプ米大統領の訪韓を7日に控え、文氏は対北軍事行動を選択肢とする米国を牽制(けんせい)したとみられる。同時に、朝鮮半島問題は日米中露など周辺国に干渉されず、南北間で決めるとの考えを示したかたちだ。
 文氏は一方で、「北朝鮮の核保有国としての地位は容認できない。韓国も核を開発、保有はしない」と明言。「制裁や圧力は北朝鮮を正しい選択や対話の場に引き出す手段だ。韓国政府の原則に米国はもちろん国際社会の認識も同じだ」と述べた。
 さらに「北朝鮮の挑発に断固対応すべく圧倒的力の優位を確保し強固な韓米同盟を基に国際社会とも積極的に協力する」と訴えた。(産経新聞11. 2)

 2日 −米太平洋空軍は、米軍のBl戦略爆撃機2機が朝鮮半島周辺を飛行し、日本の航空自衛隊と韓国空軍とそれぞれ訓練を実施したと発表した。トランプ米大統領のアジア歴訪を前に、北朝鮮を改めてけん制する狙いがあるとみられる。
 太平洋空軍などによると、グアムを飛び立ったBlは、日本の西方で空自戦闘機と訓練をし、朝鮮半島上空で韓国空軍の戦闘機と合流、対地攻撃訓練を実施した。
 これに関連し、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は2日、Blの飛行ルートを詳しく報道した上で「我々の重要施設を攻撃することを想定した核爆弾投下訓練だ」と批判した。北朝鮮は、9月にBlが同国東方沖まで北上した際、レーダーで捕捉できなかったとみられており、飛行ルートに関する報道により、米軍の動きを把握していることを強調したものとみられる。 (読売新聞11. 4)

 4日 −北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日配信した論評で、「米国は、核武力完成の終着点に至ったわれわれが強引な要求に応じるという妄想を捨てなければならない」と主張、「特に、われわれとの非核化交渉は夢にも見てはならない」と述べた。
 論評は「対話には反対しない」としながらも、「最高利益と人民の安全に関連する問題では絶対に取引せず、そのような対話や交渉には少しも関心がない」と断言した。
 非核化を目的とした協議を拒否する立場を改めて明確にする一方、核戦力の「完成」を強調し、核保有を前提とした対話には応じる余地を残した形だ。(時事)

 −北朝鮮の核兵器開発に関し、米統合参謀本部は野党・民主党の下院議員から核関連施設の位置を特定して確実に破壊する手段を問われ、地上部隊の派遣が「唯一の手段」と答える書簡を送った。
 北朝鮮が弾道ミサイルに化学兵器を搭載するなどの方法で化学・生物兵器を使う可能性があるとも指摘した。
 米軍が北朝鮮に対する軍事攻撃に踏み切った場合の被害想定を明かすようマティス国防長官に求めたテッド・リュー下院議員(民主)らの質問に、統合参謀本部のデュモント海軍少将が書簡で答え、リュー氏らが4日発表した。書簡は、北朝鮮の核兵器は地下深くに保管されていることを挙げて、すべてを確保するためには「地上侵攻が唯一の方法」であると指摘した。
 また、北朝鮮が化学兵器禁止条約に加盟していないことから神経剤や窒息剤などを保有しているとみられ、改造された野砲や弾道ミサイルの弾頭に搭載して攻撃に使う可能性があるとした。
 北朝鮮の攻撃開始から数時間で韓国の死者は数万人に上るとの見方もあるが、書簡では被害想定は明らかにせず、事前の警報が早ければ早いほど「生存可能性が劇的に高まる」と強調するのにとどめた。
 書簡は、米軍として「必要があればあらゆる軍事力を使う」としつつも、北朝鮮の攻撃態勢には変化がみられないと指摘。軍として、ティラーソン国務長官が主導して経済・外交的圧力をかける路線を「全面的に支持する」とした。 (産経新聞11. 6)

 6日 ※ロシアが9〜10月に米朝協議の仲介に乗り出したが、北朝鮮が拒否していたことがわかった。韓日関係筋が明らかにした。北朝鮮は抑留している米国市民を解放するための対話も拒む。米本土に届く核を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)完成を優先させる姿勢を堅持している。
 同筋によれば、モスクワで9月末、ロシア外務省のモルグロフ次官らが北朝鮮外務省の崔善姫北米局長と会談。北朝鮮側が望めば、米朝協議を仲介する用意があるとの考えを伝えた。崔氏が応じた場合、10月半ばのモスクワでの国際会議などの場を使い、米国務省のジョセフ・ユン北朝鮮政策特別代表も招き、米朝協議の場を提供する考えだったという。
 だが、崔氏は、現時点で米朝協議を行った場合、北朝鮮の非核化を一方的に迫る不平等な交渉になると主張。ロシア側の誘いに応じなかったという。
 崔氏は10月の国際会議で一部記者団に対し、米政府関係者とは会わなかったと説明。 「米国が求める対話は我々が核を手放すように強要する対話だ。応じる必要性を感じない」と述べるとともに、「米国との力の均衡を合わせることが最終目標だ。核兵器の抑止力が必要。ほとんど最終段階に来た」とも語っていた。
 米朝関係筋によれば、北朝鮮は現在も拘束している米国市民3人の解放を巡る対話にも応じていないという。 (朝日新聞11. 6)

 −韓国政府は、北朝鮮の金融機関代表ら18人を独自制裁の対象に追加したと明らかにした。5月の文在寅政権発足後、韓国の対北朝鮮独自制裁は初めて。金融機関は既に国連安保理制裁の対象で、18人は米財務省が制裁対象としている。トランプ米大統領の訪韓を前に圧力を強める姿勢をアピールし、米国との足並みをそろえる狙いとみられる。
 独自制裁の対象に加えたのは中国やロシアなどの朝鮮大聖銀行や東方銀行、朝鮮貿易銀行などの代表ら18人。韓国外務省は「国際社会の安保理制裁決議履行の努力を強化するのに寄与することを期待する」としている。(時事)

 −安倍首相もトランプ米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で会談し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対し、あらゆる手段を通じて圧力を最大限まで高めることで一致した。首相は北朝鮮に対する日本政府の独自制裁として、資産凍結の対象に35団体・個人を追加する方針を伝えた。通商政策ではトランプ氏が対日貿易赤字の是正に強い意欲を示した。
 今年1月のトランプ政権発足後、首脳会談は5回目で、直前に開かれたワーキングランチと合わせて約1時間45分行われた。
 北朝鮮問題を巡り、首相は会談後の共同記者会見で、「北朝鮮の最新の情勢を分析し、今後取るべき方策について完全に見解の一致を見た」と述べた。会談では「あらゆる選択肢はテーブルの上にある」とのトランプ政権の姿勢を改めて評価し、7日に新たな独自制裁を閣議了解することを伝えた。
 トランプ氏は会談で、北朝鮮の「テロ支援国家」への再指定に関する米政府内の検討状況を説明。核を含むあらゆる種類の米軍事力による日米防衛を確約した。両首脳は北朝鮮包囲網を強化するため中国に働きかけ、日米韓の連携をさらに緊密にすることも確認した。(読売新聞1l. 7)

 7日 −政府は、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への独自制裁として、北朝鮮の金融機関とその代表者ら35団体・個人を新たに資産凍結の対象とする追加措置を閣議了解した。制裁対象を拡大することで資金源を断ち、核・ミサイル開発につながる研究開発や資材流入を防ぐ狙いがある。
 新たに制裁対象となるのは、北朝鮮の農業開発銀行、高麗商業銀行など九つの金融機関と、これらの関係者で北朝鮮国外の活動に従事する26個人。5機関は北京や瀋陽など中国に支店を持つ。26人の住所の内訳は、中国19人、ロシア3人、アラブ首長国連邦(UAE)とリビアが各2人。これにより、資産凍結の対象は84団体、108個人に拡大した。(時事)

 −アジアを歴訪中のトランプ米大統領は、韓国の文在寅大統領とソウルの大統領府(青瓦台)で会談し、北朝鮮が自ら核兵器を断念するまで最大限の圧力と制裁をかけ続けることで一致した。トランプ氏は共同記者会見で、空母3隻と原子力潜水艦を現在、西太平洋地域に配置していることも明らかに。米朝の軍事力の差は歴然だとし、北朝鮮が交渉の席に着くのが理にかなっていると述べた。
 文氏とトランプ氏の首脳会談は就任後3回目。米大統領が韓国に国賓として迎えられるのは1992年のブッシュ大統領(父)以来25年ぶりとなる。
 会談では北朝鮮の核問題が中心議題になった。韓国側によると、両首脳は、北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」が朝鮮半島の平和構築につながるとの認識で一致。朝鮮半島周辺への米爆撃機BIBなど戦略兵器のローテーション配備の強化や、韓国が開発する弾道ミサイルの弾頭重量制限の撤廃などを首脳レベルで合意した。
 会談後、文氏は「今は制裁と圧迫に集中しなければならないときだ」と述べ、持論である対話を通じた平和構築を「語るべき段階ではない」と封印。トランプ氏は「北朝鮮の独裁者は全世界の数百万の人命を脅威にさらし、全世界の脅威だ」と指摘し、中国やロシアに対し、北朝鮮への圧力を強めるよう求めた。
 またトランプ氏は、北朝鮮の脅威に対抗するため、原子力空母と駆逐艦などからなる三つの空母打撃群、原子力潜水艦を配置していることも明らかにし、「実際に使用することがないことを望む」と警告した。ロイター通信によると、数日内に空母3隻が西太平洋で合同訓練をするという。
 トランプ氏はこれまで「 (北朝鮮と)交渉するのは時間の無駄だ」とし、訪日中も対話の可能性には触れなかった。しかしこの日は、強大な軍事力を持つ米国と戦っても無駄との趣旨で、「北朝鮮が交渉の席につき、我々とディール(取引)するのは理にかなっている」とも語り、相手の出方を見守る考えを示した。(朝日新聞11. 8)

 8日 −トランプ米大統領は8日の韓国国会での演説に先立ち、文在寅大統領とともに南北の軍事境界線上にある板門店の「サプライズ訪問」に向かったが、悪天候のため断念した。両国政府関係者が明らかにした。
 トランプ氏の視察は予定にはなく、7日の首脳会談で文氏が勧めて急きょ決まった。米韓首脳が軍事境界線の間近に並んで立ち強固な同盟関係をアピールする狙いがあった。トランプ氏は8日朝、板門店に向け出発したが、濃霧のためヘリコプターが現地に着陸できず引き返したという。(読売新聞夕刊11.8)

 −トランプ米大統領は、韓国国会で演説し、北朝鮮に「核兵器を決して持たせない」と明言、核・弾道ミサイル開発の完全放棄を強く迫った。さらに「米国や同盟国に対する攻撃や脅迫は容認しない」と強調した上で、「(北朝鮮は)われわれを見くびったり、試したりしてはならない」と警告した。
 トランプ氏はこの中で、朝鮮半島近海に米海軍の空母3隻を派遣したことを挙げて「われわれは力を通じた平和を望む」と強調。「史上最悪の残虐行為を繰り返させてはならない」と訴えた。
 国際社会に対しては、「責任あるすべての国は、北朝鮮の野蛮な体制を孤立化させる取り組みに加わらなければならない」と団結を要求。北朝鮮が経済面で依存する中国とロシアを名指しして、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議を厳格に履行するとともに、外交関係の縮小や貿易停止に踏み切るよう、各国に呼び掛けた。
 演説でトランプ氏は、韓国が朝鮮戦争後、経済発展を遂げ民主主義を享受する一方、北朝鮮国民は飢餓や劣悪な労働環境、政治的な抑圧に苦しんでいると非難。「韓国が成功すればするほど、金正恩(朝鮮労働党委員長)が抱く暗い幻想をくじくことになる」と強調した。
 その上で、金委員長へのメッセージとして「あなたが手にしつつある兵器は、あなたを安全にするのではなく体制を深刻な危機に追いやる」と指摘。その一方で「われわれはより良い未来への道を提供する」と述べ、抑圧や弾道ミサイル開発をやめ、完全で検証可能な非核化に着手するよう促した。
 ◇米大統領演説の骨子
 一、北朝鮮はわれわれを見くびるなと警告
 一、米国は朝鮮半島近海に空母3隻を展開
 一、米国の都市を脅威にさらすことを容認しない
 一、北朝鮮に核・ミサイル開発の完全放棄を要求
 一、中ロを含む国際社会に国連安保理決議による制裁の厳格な履行を求める
 一、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄すればより良い未来を提供(時事)

 9日 −中国訪問中のトランプ米大統領は、北京の人民大会堂で習近平国家主席と会談した。トランプ氏は会談後の共同記者会見で、北朝鮮の非核化に向けて「過去の過ちを繰り返さず、国連安保理の制裁決議を完全履行し、経済圧力を強める必要で一致した」と明言。習氏は「対話による解決」に努めるとした上で、「安保理決議の全面的かつ厳格な履行を継続する」と応じた。
 首脳会談では、トランプ氏が北朝鮮を経済的に支える中国側にどこまで圧力強化を求めるかが焦点となっていた。トランプ、習両氏は「圧力の戦術やタイミングをめぐり依然として相違点はある」 (ティラーソン国務長官)ものの、連携や協力の姿勢を内外にアピールすることで、共同歩調を演出した形だ。
 トランプ氏は「世界は今、われわれを見ている」と強調。「残忍な北朝鮮に対して武器の供給や金融・貿易関係をやめるため、責任ある国は連帯しなければならない」と述べ中国やロシアの対応を促した。(時事)

 −米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、ユン北朝鮮担当特別代表が先月30日、オフレコの会合で、北朝鮮が核・ミサイル実験を60日間停止すれば、米国は直接対話に向けたシグナルと見なす考えを示したと報じた。発言が事実なら、トランプ政権が北朝鮮核問題の外交解決に向けた対話再開の条件を提示した形だ。
 国務省のナウアート報道官は9日の会見で、報道内容の確認を避けた上で、「今は交渉の時ではない。北朝鮮は(非核化に取り組む)真剣な兆候をまだ示していない」と述べるにとどめた。
 北朝鮮は9月15日以降、核・ミサイル実験を行っていないが、ポスト紙によると、米政府筋は、60日の停止期間を数える前に北朝鮮が停止の開始を米側に通告する必要があると指摘。まだ停止期間は始まっていないとの認識を示した。(時事)

 10日 −中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は、訪問先のベトナム・ダナンで会談し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応について協議した。中国国営新華社通信が伝えた。中露両国が連携して対話による解決を目指す方針を改めて確認したとみられる。
 中露は北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議を履行すると表明する一方で、北朝鮮に対して圧力を増す米国に対し自制を呼び掛け、対話による解決を促している。(毎日新聞夕刊11.11)

 11日 −米韓両海軍は、米原子力空母3隻が参加して日本海で実施する合同演習期間に入った。韓国軍によると「北朝鮮の核・ミサイルによる挑発の抑止」を目的に、14日まで実施。北朝鮮は朝鮮半島周辺を含む海域への空母展開に強く反発しており、情勢は再び緊迫しそうだ。
 韓国軍などによると、米原子力空母ロナルド・レーガンとセオドア・ルーズベルト、ニミッツが、韓国軍が作戦遂行を想定する「作戦区域」に順次展開。米海軍のイージス艦11隻、韓国海軍の艦船7隻も参加し、各種訓練を行う。
 北朝鮮は10月30日、空母3隻が朝鮮半島周辺を含む米海軍第7艦隊の管轄海域に同時展開したことを「情勢を最悪の爆発ラインに追い込んでいる」と非難し、対抗措置も警告した。
 聯合ニュースによると空母3隻は演習中、ある程度の距離を取って動くが、13日ごろには一時的に、3隻同時に作戦区域内に展開するという。(共同)

 −北朝鮮外務省は、トランプ米大統領の8日の韓国国での演説について「われわれの思想と制度を全面拒否する妄言を並べ立て、わが国を悪魔のように見せた」と非難する報道官談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。談話は「核武力建設の偉業完成に向け、より速く疾走する」と警告した。
 同演説への北朝鮮の反応は初めて。トランプ氏は演説で「誰も住むに値しない地獄」 「カルト国家」「監獄国家」などと口を極めて金正恩委員長体制や北朝鮮の人権状況などを批判していた。(日本経済新聞1l. 12)

 13日 −北朝鮮の慈成男国連大使は、国連のグテレス事務総長に宛て、米原子力空母3隻が参加して米韓両海軍が日本海で実施中の合同演習は北朝鮮に対する「脅迫」だと非難し、核戦争を引き起こしかねないと訴える書簡を公開した。
 書簡は、国連安全保障理事会が北朝鮮の自衛のための核開発を問題視する一方、米軍の演習に目をつぶっていると主張。グテレス氏に対し、安保理で全ての主権国家が平等に扱われていると考えるかどうか見解を明らかにするよう求めた。
 核開発を強行する北朝鮮に対し、安保理は徐々に制裁を強化。北朝鮮は安保理への批判を強めている。
 書簡は米韓の演習により、朝鮮半島周辺に「核戦争がいつ勃発するか予期できない最悪の状況」が広がっていると強く非難した。(共同)

 15日 −日本海で合同演習を実施した米原子空母3隻が朝鮮半島周辺の海域を離れたことが分かった。複数の米海軍当局者が15日、明らかにした。
 米海軍横須賀基地(神奈川県)を拠点とするロナルド・レーガンは、フィリピン海に移動した。ニミッツは母港とする米西部ワシントン州の海軍基地に戻る見通し。セオドア・ルーズベルトは別の海域で展開を続ける。
 空母3隻は11〜14日、北朝鮮の核・ミサイルによる挑発の抑止を目的に演習した。12日には海上自衛隊の護衛艦も参加して訓練した。(共同)

 −トランプ米大統領はホワイトハウスでアジア歴訪の総括声明を発表した。北朝鮮問題について「非核化という共通目標を果たすため、中国の習近平国家主席が大きな経済力を行使すると確約した」と言及。金正恩体制に圧力を強めるため、中国の協力を引き出したと成果を誇示した。
 トランプ氏は5日から日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンの5カ国を訪れ、14日に帰国した。
 トランプ氏はアジア歴訪の目標が「北朝鮮による脅迫に対して世界を結束させることだった」と意義づけた。習氏との会談で「我々は(北朝鮮の核開発を止めるための)時間がなくなってきており、すべての選択肢がテーブルの上にあることをはっきりさせた」と強調した。
 日本の安倍晋三首相とも「北朝鮮の非核化に向け今後も団結していくことを強く決意した」と力説した。「日本は米国との共同防衛にかかる負担をより多く引き受けることも約束した」と言明し、その手段として日本による米国の戦闘機やミサイル防衛システムの購入を例に挙げた。
 韓国では首脳会談で「文在寅大統領が在韓米軍の平等な費用負担に前向きな姿勢を示した」と述べ、米国との防衛協力で貢献を増やしていることを評価した。(日本経済新聞夕刊11. 16)

 16日 −シンガポール政府が核・ミサイル開発を続ける北朝鮮との貿易を8日から全面的に禁じたことが16日、分かった。シンガポール税関が貿易会社などに通達した。
 通達によると、シンガポールを経由地とする貿易も含め、北朝鮮との全ての貿易を禁止。初回違反者には、10万シンガポールドル(約830万円)以下もしくは貿易額の3倍の罰金、2年以下の禁固刑のどちらかまたは両方が科される。2回目以降は罰則が強化される。
 シンガポールは北朝鮮と国交があり、北朝鮮の大使館もある。ロイター通信によると、シンガポールは北朝鮮にとって7番目の貿易相手国。(共同)

 −米国務省は、スーダン政府が北朝鮮とのすべての貿易・軍事関係を断絶すると約束したと発表した。サリバン米国務副長官がハルツームを訪れた際、スーダン外務省が正式に表明した。(時事)

 17日 −北朝鮮在ジュネーブ国際機関代表部の韓大成大使は、ロイター通信とのインタビューで、「米国によるわが国への敵視政策や近隣での軍事演習が続く限り、交渉はない」と述べた。
 中国は、米韓合同軍事演習と北朝鮮の核・ミサイル開発を同時に凍結させる「二重凍結」を提案しているが、韓大使は「もし彼ら(米国)が受け入れれば、我々が何をするか考える」と述べ、先に演習が中止されるべきだと訴えた。(読売新聞夕刊11. 18)

 18日 −ハイテン米戦略軍司令官(空軍大将)は、大統領が核兵器の使用を命じた場合でも「違法な命令なら拒否する」と述べた。カナダのハリファクスで開かれたシンポジウムで発言した。米議会などでは、北朝鮮に対し挑発的な発言を続けるトランプ米大統領が、核兵器の最終使用権限を持つことに懸念が広がっている。
 ハイテン氏は、トランプ氏から違法な命令を受けた場合は違法性を指摘したうえで「状況に応じた代替案を提案する」と述べた。
 また、違法な命令が出た場合に備えた対応策の訓練も実施していることを明らかにした。
 戦略軍は米中西部ネブラスカ州オマハに本部を置く。北朝鮮の弾道ミサイル実験などを逐一把握し、有事の際にはICBMや潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など戦略核兵器の運用を担当している。
 米上院外交委員会は14日に元将軍や有識者を招いて41年ぶりに核のボタンをめぐる大統領権限について公聴会を開催。核兵器使用をめぐる大統領権限を制限する法案を提出しているエド・マーキー上院議員(民主)らから、大統領に最終権限が集中している現状を憂慮する声が相次いだ。
 核兵器使用命令が「違法」だとして覆されたのは、1969年4月にニクソン大統領の命令が遂行されなかった例がある。米メディアの報道によると、北朝鮮が米電子偵察機を撃墜し米兵31人が死亡したことを受け、大統領は軍制服組トップの統合参謀本部議長に北朝鮮への核爆弾投下を命じた。
 しかし、キッシンジャー大統領補佐官が、大統領が酒に酔っていることを統合参謀本部議長に連絡し「明日朝まで待て」と作戦実施を接すよう要請したという。(毎日新聞1l. 20)

 20日 −韓国の情報機関、国家情報院は北朝鮮が最近、弾道ミサイルのエンジン燃焼実験を行ったと国会情報委員会に報告した。同委所属議員が明らかにした。国情院は、北朝鮮が年内にミサイル発射に踏み切る可能性があるとして注視しているという。
 咸鏡北道豊渓里の核実験場では、9月の実験で崩落があったとされる2番坑道は放置されているが、まだ実験したことがない3番坑道は常に実験が可能な状態という。4番坑道の建設工事も再開された。直ちに実験が行われる具体的な兆候はないという。(朝日新聞11. 21)

 −中国共産党の習近平総書記(国家主席)の特使として北朝鮮・平壌を訪れた党中央対外連絡部(中連部)の宋濤部長が帰国した。北朝鮮の朝鮮中央通信が伝えた。金正恩朝鮮労働党委員長と会談したかどうかに国際社会の注目が集まる中、そうした発表や報道は中朝双方から依然伝えられていない。
 中国国営新華社通信は20日夕、宋氏が同日まで訪朝し、「朝鮮労働党中央指導者と会談した」と伝えた。宋氏は17日に金委員長の側近の崔龍海党副委員長と、18日に外交統括役の李洙墉党副委員長とそれぞれ会談しているが、「党中央指導者」が2人を指すのか、金委員長のことなのか明らかになっていない。
 朝鮮中央通信は20日、宋氏が幹部養成校の万景台革命学院などを参観したことを伝えたが、金委員長との会談には言及していない。
 宋氏は訪朝中、冷え込んだ中朝関係の改善に向けた糸口を模索したとみられる。新華社電は「朝鮮半島問題について意見交換した」と伝えており、北朝鮮の核・ミサイル開発停止を求める中国側の立場や、先の米中首脳会談の内容を説明した可能性がある。一方、金委員長が拒否するなどして会談が実現していなかったとすれば、中朝関係の悪化は決定的となる。(時事)

 −トランプ米大統領は、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定すると発表した。ブッシュ(子)政権末期の2008年10月に解除して以来、約9年ぶりの指定となる。21日には北朝鮮への追加制裁も発表する予定。中国特使と北朝鮮の協議が低調に終わったとみられるなか、「最大限の圧力」を継続する姿勢を改めて鮮明にした。北朝鮮の反発は必至とみられ、挑発行為に踏み切る可能性もある。
 トランプ氏は閣議の冒頭で「北朝鮮の残忍な政権を孤立させる最大限の圧力をかける取り組みを促すものだ」と力説。「もっと何年も前に再指定されるべきだった」とも語った。
 追加制裁に関しては米財務省が21日に発表するとし、「北朝鮮への制裁は最高レベルに達する」と述べた。
 テロ支援国家は米国務省が資金や武器の提供などで国際テロ活動を支援しているとみなした国家を指定する。このリストに入ると、人道目的以外の経済支援が制限されたり、金融制裁が科されたりする。ただ、トランプ政権は北朝鮮に対して既に多くの制裁措置を実施しており、ティラーソン国務長官は20日の記者会見で「実質的な効果は限られているかもしれない」と認めた。今回の指定は「象徴的」(同氏)な意味合いが大きい。
 ティラーソン氏は再指定の理由について、北朝鮮の金正恩委員長の異母兄、金正男氏が2月にマレーシアの空港で猛毒VXを使って殺害された事件に言及した。この手口を巡っては、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が「明白なテロ行為」と批判していた。
 トランプ氏は20日に「北朝鮮は核開発で世界を脅しているだけでなく、繰り返し国際テロ行為を支援している」と強調。北朝鮮に拘束され、6月に昏睡(こんすい)状態で解放された米国人学生、オットー・ワームビア氏が帰国後に死亡した事件に触れた。
 中国が北朝鮮に派遣した特使は4日間の訪問を終えて20日に帰国。期待された金委員長との会談は見送られたもようで、両国の溝は埋まらなかった。米国は中朝協議の結果から北朝鮮の姿勢が変わらないと判断し、再指定に踏み切った可能性がある。
 北朝鮮はテロ支援国家指定を米政権の「敵視政策」の象徴ととらえてきた。ブッシュ(子)政権が指定を解除したのは、当時の北朝鮮がまとめた核開発の検証計画の「見返り」としてだった。北朝鮮は9月半ばを最後に挑発行為を控えているが、今回、米国が再指定に踏み切ったことによって、弾道ミサイル発射などを再開する可能性が高まりそうだ。(日本経済新聞夕刊11. 21)

 2l日 −米財務省は、北朝鮮と取引をした中国企業4社を含む13社と中国人実業家1人を新たに制裁対象としたと発表した。トランプ政権が20日に北朝鮮を「テロ支援国家」に面指定したことを受けた措置。核・ミサイル開発の資金や部品を断つことを目指す。
 北朝鮮の対外貿易の約9割を占める中国が影響力を行使するよう圧力をかける狙いがある。トランプ大統領は今後2週間かけて、さらに中国企業などを追加指定し、「最高レベルの制裁」を科す方針を示している。
 財務省によると、制裁対象となったのは、北朝鮮と国境を接する中国遼寧省丹東市を拠点とする貿易会社「丹東東源実業有限公司」と、同社を所有する孫嗣東氏。数年間で自動車や電気機械、通信機器など2800万ドル(約31億4千万円)以上に相当する物資を北朝鮮に輸出していた。この中には原子炉関連の部品も含まれていた。大量破壊兵器に関わる北朝鮮系企業とも取引があったという。
 他の中国企業3社は2013年1月〜今年8月にかけて、約6億5千万ドル(約730億円)相当の物資を北朝鮮に輸出し、約1億ドル(約112億円)相当の鉄鉱石などを輸入していた。
 このほか北朝鮮企業9社と北朝鮮船籍の船舶20隻も対象となった。
 これらの企業・個人は、米国内の資産が凍結されるほか、米国企業との取引が禁止される。ムニューシン財務長官は声明で「北朝鮮が国際社会の平和と安全を脅かす中、最大限の経済的圧力をかけて孤立させる」と強調した。(朝日新聞夕刊11. 22)

 22日 −北朝鮮外務省報道官は米国による「テロ支援国家」再指定を「我々に対する激しい挑発であり、乱暴な侵害」と批判する談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。談話は核・ミサイル開発を更に進めることを強調し、新たな軍事挑発の可能性についても示唆しており、米朝関係の更なる緊張は避けられない見通しが強まった。
 報道官は、談話で「我々はテロと、テロへのいかなる支援にも反対する立場を堅持してきた」と主張。「責任ある核保有国として国際社会で核不拡散の義務を誠実に履行すると公言してきた」とも指摘した。
 そのうえで「我々の核は自主権、生存権、発展権を守る抑止力であり、米国が敵視政策を続ける限り、抑止力は更に強化される」と主張。「米国は、我々に手を出した者の行為がもたらす災いに対し、全面的に責任を負う」と警告した。(朝日新聞11. 23)

 24日 −北朝鮮の李容浩外相が9月にニューヨークの国連本部でグテレス事務総長と会談した際、国連事務局との対話ルートの開設を要求していたことが24日、分かった。北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議の不当性を訴える狙いとみられる。トランプ米政権が反対の立場を国連に伝達したため国連は応じていない。複数の国連外交筋が明らかにした。
 核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対し、日米を中心とする国際社会は制裁決議によって包囲網を構築しており、北朝鮮が孤立の打開を図ろうとした可能性が高い。
 トランプ政権は北朝鮮が核・ミサイル開発を続ける限り経済・外交両面で圧力を強化する方針で、北朝鮮が核・ミサイル開発の正当化のため国連を利用するのは好ましくないとして、国連にくぎを刺した形だ。
 北朝鮮外交筋や国連関係者によると国連総会一般討論演説に合わせニューヨーク入りした李外相は9月23日、国連本部でグテレス氏と会談した際「国連事務局との対話を始めたい」と打診。グテレス氏は即答を避け、朝鮮半島を巡る緊張に懸念を示し核・ミサイル開発などを禁じた決議の順守を求めたという。
 北朝鮮側の要求を受け、国連事務次長のフェルトマン政治局長(米国)は10月に米政府高官に対話の是非について相談したが、反対されたため棚上げされている。一方、中国とロシアは国連の対話路線に前向きとみられ、北朝鮮への対応を巡り安保理常任理事国間の駆け引きが繰り広げられる可能性もある。(共同)

 27日 −北朝鮮で27日、弾道ミサイルを発射する際に観測されるテレメトリー信号が発信されていた。ソウルの軍事関係筋が明らかにした。具体的にミサイルを発射する兆候は確認できていないが、日米韓は警戒を強めている。
 テレメトリー信号は、ミサイルが飛行している際のデータを送信する電子信号。北朝鮮は過去、弾道ミサイルを試射した際、テレメトリー信号を送受信しているほか、発射前に試験的な送受信も行ってきた。
 ただ、情報衛星などは28日朝の段階で、弾道ミサイルが発射態勢に入っている様子などを確認していないという。(朝日新聞夕刊11・ 28)

 29日 −北朝鮮は29日午前3時18分ごろ、平壌近郊の平安南道平城付近から弾道ミサイル1発を発射した。約53分間、約1千キロ飛行した後、青森県西方約25Oキロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。ICBMの可能性が高い。
 北朝鮮の朝鮮中央テレビは29日午後、金正恩朝鮮労働党委員長の立ち会いの下、新型のICBM「火星15」の発射実験に成功したとする政府声明を発表し、「国家核戦力完成」を宣言した。到達高度は過去最高の4475キロに遷して950キロ飛行したとし、「米本土全域を攻撃できる」「超大型の重量級核弾頭を搭載可能」と主張した。
 通常より高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」とみられ、通常軌道で発射された場合、米東海岸を含む米全土が射程に入るとの見方が出ている。
 北朝鮮による弾道ミサイル発射は北海道上空を通過して太平洋上に落下した9月15日以来。政府は北京の日本大使館を通じて北朝鮮に厳重に抗議した。小野寺五典防衛相はミサイルは「多段式の可能性がある」と述べた。
 安倍晋三首相は29日朝、官邸で記者団に「断じて容認できない」と述べ、強く非難した。その上で「いかなる挑発行為にも屈することなく、圧力を最大限まで高めていく」と強調した。
 首相はトランプ米大統領と電話で会談し、北朝鮮への圧力強化を重ねて確認し、中国のさらなる役割が重要との認識を共有した。首相はトランプ氏が北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定したことを評価した。首相は韓国の文在寅大統領とも電話会談し、日米韓3カ国で連携して対北圧力を一層強める方針を確認した。
 トランプ氏は記者団に「対処していく」と述べ、引き続き圧力をかける立場を強調した。ティラーソン米国務長官は国際社会に対し、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の履行に加え、北朝鮮を行き来する物資の海上輸送の阻止を含む海洋安全保障の強化に向けた新たな措置を講じるべきだと訴えた。(産経新聞11. 30)

 −国連安全保障理事会は29日午後(日本時間30日午前) 、北朝鮮によるICBM発射を受け緊急会合を開いた。会合は公開で、へイリー米国連大使は全加盟国に北朝鮮との外交・貿易関係を断つよう要求。また、トランプ米大統領が29日に中国の習近平国家主席に霞話した際、「北朝鮮への原油供給を止めなければならないところに来ている」と求めたことを明らかにした。
 へイリー大使は「北朝鮮の独裁者は昨日、戦争に近づく道を選んだ」として、ICBM発射を非難。その上で「我々は北朝鮮との戦争を考えていないし、今もそう望んでいない。もし戦争が起きるとしたら、昨日のような挑発行為が続くためだ」と強調して、北朝鮮に方針転換を求めた。
 へイリー氏はまた、加盟国に対して、北朝鮮から派遣されている労働者を帰国させることも要求。さらに、中国が北朝鮮への原油供給を停止しなければ「我々の手で石油制裁をする」と述べた。具体的な方法は明らかにしなかった。
 会合ではすべての国が北朝鮮を非難したが、中国とロシアは対話を通じた平和的解決を求め、米国との温度差も改めて浮き彫りになった。中国の代表は「深刻な現状を考慮し、すべての関係国が安保理決議を厳格に実施し、早期の交渉開始に向け最大限の努力をすべきだ」と述べた。ロシアのネベンジャ国連大使は「一触即発の状態に火をつける」とし、12月に予定されている米韓軍事演習を停止するよう求めた。
 安保理は9月、北朝鮮への原油輸出に初めて上限を設定する9回目の制裁決議を採択。当面は新たな制裁決議採択よりも、現在の決議履行を求めていく可能性が高いとみられる。 (毎日新聞夕刊11.30)

 30日 −北朝鮮メディアは、平壌郊外で29日に発射された新型のICBM「火星15」の発射当時の様子を撮影した映像や写真を公開した。
 朝鮮中央テレビの映像では、ミサイルの1段目と2段目が分離する様子などが撮影されている。移動式発射台でミサイルを直立させ、地上に設置し発射された。朝鮮労働党機関紙、労働新聞には「火星15」の発射に関する記事や写真計48枚が掲載された。
 2015年10月の党創建70周年の軍事パレードで公開されたミサイル「KN14」に似ているが先端と胴体に違いがある。1段目には2つの噴射口が取り付けられており、エンジン2つを束ねることで推進力を増強したとみられる。発射台は当時より片側が1輪増え9輪になっている。
 韓国軍合同参謀本部は30日、国防省の定例会見で「新型と評価している」と説明。最高高度や、弾頭の形、連結部分、大きさなどで7月に発射されたICBM「火星14」とは明らかな差があるという。
 小野寺正典防衛相は30日の参院予算委員会で、ミサイルは2段式で、液体燃料の特徴である直線上の炎が確認できたと説明した。その上で小野寺氏は「かなりの能力を持った弾道ミサイルだ」との認識を示し、引き続き防衛態勢を強化していく考えを強調した。
 一方、米ミサイル専門家のマイケル・エレマン氏は29日、米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」への寄稿で、「火星15」が米全土に到達可能なまでに射程が伸びたのは弾頭重量が推定約150キロと極めて軽かったためとみられると分析した。
 重量のうち核兵器が100キロ、再突入体が50キロと想定した場合、核兵器をそこまで小型化する技術を確保したかは疑わしく、大気圏突入時の空力加熱に耐える再突入体の製造技術も確立できていないと指摘した。
 また、弾頭重量が標準的な500キロであれば、射程は8500キロとなり、西海岸の一部を射程に収められるものの、ICBMの実用技術確立には今後約1年はかかるとした。(産経新聞12. 1)

 −ロシアのラブロフ外相は、訪問先のミンスクで、北朝鮮による弾道ミサイル発射は米国の「挑発」が原因だと主張し、北朝鮮の立場を擁護する姿勢を鮮明にした。インタファクス通信が伝えた。
 ラブロフ氏は、米韓が12月に実施を表明している軍事演習などを念頭に、「北朝鮮政府が新たに過激な行為に出るよう、米国は意識的に行動している」との見方を披露。米国の言動は、「金正恩(朝鮮労働党委員長)が自制を失い、冒険的な行為に踏み切るよう特別に仕向けられている印象がある」とも述べた。
 ラブロフ氏は、米側が国連安全保障理事会で全ての国に北朝鮮との断交を呼びかけたことについても拒否する考えを示した。同問題をめぐっては他の露政府高官も「北朝鮮との対話の可能性を閉ざす」として否定的な考えを示している。 (産経新聞12. 1)

 

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