2017年 朝鮮半島核問題の主な動き

2月の主な動き
−※は報道日、表記は報道のまま−

 2日 −マティス米国防長官は、就任後初の外国訪問先となる韓国に到着し、ソウルで黄教安大統領代行兼首相らと会談した。一連の会談でマティス氏は米韓同盟関係の強化を確認し「トランプ政権は北朝鮮の核の威嚇を安全保障上の最優先課題として取り組む」と表明した。
 マティス氏は大統領府の金寛鎮国家安保室長とも会談した。3日午前に韓民求国防相との国防相会談に臨んだ後、午後に東京に移動。同日中に安倍晋三首相、4日に稲田朋美防衛相とそれぞれ会い、日米韓3カ国の連携を示す。
 韓国政府によると、一連の会談で、米韓は北朝鮮が米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射など追加挑発を強行すれば「強力に対応する」方針で一致。米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備計画を「滞りなく推進」する点も確認した。マティス氏は圧力・制裁路線を取る韓国の北朝鮮政策への支持を伝えた。
 マティス氏は、トランプ大統領が米韓同盟を重視していると強調し「同盟関係をより強化させていく」と述べた。米国の核兵器による「核の傘」を含む「拡大抑止」を韓国に引き続き提供する意思を強調。「米国は北朝鮮の脅威に肩を並べて対処する」とした。
 朝鮮半島の平和と安定を維持するために、米韓は核問題の解決だけでなく「究極的には朝鮮半島の平和統一を共に志向していくパートナー」との立場を申し合わせた。
 韓国側は北朝鮮の核・ミサイルが重大な脅威になりつつある状況下で、マティス氏が最初の訪問国に韓国を選んだのは「極めて時宜にかなっている」と歓迎した。(日本経済新聞2.3)

 3日 −就任後初の外遊先として韓国を訪れたマティス米国防長官は3日午前、韓民求国防相とソウルの国防省で会談した。マティス長官は、核・ミサイルの開発を加速させている北朝鮮から韓国を守る米国の意志に「まったく変わりはない」と強調、「米国や同盟国への攻撃を必ず撃退し、いかなる核兵器使用にも圧倒的な対応を取る」と述べた。
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が新年の辞の演説で、「ICBM試射準備が最終段階に入った」と主張、国営メディアは「最高首脳の決心次第で発射できる」と予告しており、マティス長官の発言は、北朝鮮の挑発を抑止する狙いがあるとみられる。韓国防相は「マティス長官が訪韓し、国防相会談を開催すること自体が北朝鮮への警告メッセージになる」と語った。
 両者は最新鋭地上配備型迎撃システム「THAAD」の在韓米軍への配備を計画通り進め、年内に配備する方針を確認した。
 マティス長官は尹炳世外相とも会談、北朝鮮への制裁・圧力を強化していくことで一致した。(時事)

 9日 −韓国紙、中央日報は、北朝鮮が核弾頭を最大60個製造できる能力を保有していると、米韓の情報当局が判断していると伝えた。韓国軍と情報当局の対外秘の資料は、北朝鮮が昨年時点で高濃縮ウランを758キロ、プルトニウムを54キロ保有していると推定。高濃縮ウラン保有量は、事実なら専門家による従来の推定値を大幅に上回る。
 北朝鮮が保有する高濃縮ウランについて情報当局の具体的な推定値が表面化するのは初めてだという。北西部の平安北道寧辺にあるウラン濃縮施設の他に、同道亀城に秘密の「第2の濃縮施設」を持っているとの見方も根拠とされる。
 最悪の場合、北朝鮮は2020年までに核兵器100個を製造できると米研究者が分析。韓国軍関係者は同紙に「韓米は、北朝鮮の核の脅威が予想より早く近づいていると判断している」と述べた。(共同)

 11日 −トランプ米大統領と安倍晋三首相は11日夜(日本時間12日昼)、フロリダ州パームビーチのトランプ氏の別荘で、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受けて、共同記者発表を行った。首相は「断じて容認できない」と強調。トランプ氏も同盟国の日本を「百パーセント支持する」と表明した。
 トランプ氏が大統領に就任後、北朝鮮がミサイルを発射したのは初めて。両首脳はこの日のゴルフと夕食会を終えた後、記者団を集めて声明を読み上げた。質問は受けず、発表は約2分で終わった。
 首相は「トランプ大統領が百パーセント日本と共にあると明言された。その意思を示すため隣に立っている」と指摘。「日米同盟をさらに緊密化、強化する」と付け加えた。
 トランプ氏は「米国は日本を支持する。これは百パーセント、素晴らしい同盟だ」と連携して北朝鮮問題に対処する考えを示した。
 日米外交筋によると、記者発表に先立つ夕食会で、首相が記者団の前に立つ考えをトランプ氏に伝えたのに対し、隣に立つことをトランプ氏が自ら申し出たという。(東京新聞夕刊2.13)

 13日 −北朝鮮の朝鮮中央通信は、中長距離弾道ミサイル「北極星2」の試験発射を12日に実施し、成功したと伝えた。新型のミサイルとみられる。弾道ミサイルの発射はトランプ米政権の発足後、初めて。日米首脳会談に合わせることで、核・ミサイル能力を誇示し、トランプ政権の出方を探る狙いがある。
 北朝鮮は12日午前7時55分ごろ、北西部の平安北道・亀城付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射した。韓国軍合同参謀本部によると、ミサイルは高度約550キロまで上がって約500キロ飛行し、日本海に落下した。
 朝鮮中央通信は、核弾頭を装着できる弾頭を分離してから、大気圏に再突入する間の誘導や迎撃回避の性能を検証し、新たに開発した「自走発射台車」も試験したと伝えた。発射は成功したと強調している。また、燃料も従来の液体から固体に変更。周辺国の安全を考慮し、高度を高めて発射することで、飛距離を抑えたという。
 朝鮮中央通信によると、金正恩朝鮮労働党委員長が昨年8月に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」を発射した際の成果に基づき、射程を延ばした地対地弾道ミサイルを開発するよう指示していたという。今回は金委員長が試験発射の実施日を決め、現地で直接指導したとし、「水中と地上、任意の空間においても、最も正確かつ最も迅速に戦略的任務を遂行できるようになった」と述べたという。
 一方、韓国軍合同参謀本部は13日、北朝鮮側が主張している通り、北朝鮮は現在、SLBMを基盤にした地対地の弾道ミサイルを開発しているとの見方を明らかにした。北朝鮮が12日に発射したミサイルについて、固体燃料を利用した新型の中距離弾道ミサイルとの判断を示し、性能や飛距離などについてさらに詳しい分析を続けるという。
 発射台つきの車両に搭載されれば、移動して運用されるため、発射の位置やタイミングなどの兆候を把握するのは難しい。また、液体燃料は発射前に機体に注入する必要があるが、固体燃料の場合はこうした作業が省略できる。固体燃料が導入されれば、事前に兆候をつかむのはさらに困難になる。(朝日新聞夕刊2.13)

 −国連安全保障理事会は、北朝鮮の中距離弾道ミサイル発射を受けて緊急会合を開き、発射を「強く非難する」とする報道声明を全会一致で採択した。北朝鮮による12日のミサイル発射は過去の安保理決議に対する「重大な違反」だとして、核実験を含む挑発行為をやめるよう求めた。トランプ政権発足後に北朝鮮問題で安保理の会合が開かれるのは初めてで、声明文は米国が主導して作成した。
 声明は、北朝鮮の市民が困窮するなかでミサイル開発に資源を使っていることを「遺憾に思う」とし、北朝鮮が挑発行為を繰り返せば「さらなる重大な措置をとる」とクギをさした。また、国連の全加盟国に対して安保理による対北朝鮮制裁決議を「完全に履行する努力を倍増するよう求める」と訴えた。
 報道声明には安保理の全15カ国の賛同が必要。法的拘束力はないが、国際社会の結束した意思を示す。米国や日本などの要請に応え、中国やロシアも報道声明に賛成し、北朝鮮のミサイル発射を非難したという。
 米国のニッキー・へイリー大使は会合後、「ミサイル発射はとても受け入れられず、言葉ではなく我々の行動で北朝鮮に責任を負わせる時だ」との声明を発表。トランプ米大統領も13日、カナダのトルドー首相との会談後の記者会見で北朝鮮問題は「とても大きな問題だ」と断じ、「我々はとても強い姿勢で取り組んでいく」と強調した。
 安保理は2016年に2度の核実験を受け、北朝鮮に出入りする全貨物の検査や鉱物資源の禁輸といった幅広い制裁決議を採択したが、北朝鮮はなお挑発行為を繰り返している。16年には20発以上のミサイル発射や核実験を受けて安保理は11回もの非難声明を出した。
 日本の別所浩郎国連大使は会合後、記者団に対し「全会一致での非難声明を北朝鮮は真摯に受け止めるべきだ」と語った。国連のグテレス事務総長も発射を「強く非難する」とし、「国際社会が結束してこの問題に臨むことを求める」とする声明を報道官を通じて発表した。
 別所大使は「現在ある強力な制裁決議を履行しなければならない。これが出発点だ」と強調。安保理声明も徹底した制裁決議の履行こそが抑止力を高めるとして加盟国に制裁決議の順守を求めた。ただ、北朝鮮の最大の貿易国である中国がどこまで協力するかはなお不透明だ。(日本経済新聞夕刊2.14)

 −トランプ米大統領は、トルドー・カナダ首相との共同記者会見で、弾道ミサイルを発射した北朝鮮について「大きな問題であり、強硬に対応する」と述べた。トランプ氏と安倍晋三首相は11日、滞在先のフロリダ州で北朝鮮を非難する記者発表を行っている。
 米国防総省のデービス報道部長は13日の記者会見で、北朝鮮によるミサイル発射を「強く非難する」と明言。日韓両国の名を挙げて「同盟国の国土と国民を脅威から守るため、必要なあらゆる手段を講じる」と強調した。
 デービス部長は会見で、公開された映像の分析結果として、発射されたのは潜水艦発射型を地上発射型に改良した中距離弾道ミサイルで、発射装置は「初めて公開されたものと思われる」と指摘。ミサイルから明るい白の煙が出ていることから、北朝鮮の主張通り固体燃料を使用したとの見方を示した。
 発射が成功したかどうかに関しては、「われわれに分かっているのは、(ミサイルが)約500キロ飛行して日本海に落ちたということだけだ。それを北朝鮮が狙っていたのなら、成功ということになる」と述べるにとどめた。(時事)

 14日 −韓国の韓民求国防相は、北朝鮮が12日に発射した新型弾道ミサイル「北極星2」の射程について、「弾頭重量によって2500キロにもそれ以下にもなる」と語った。グアムの米軍基地には到達しないが、日本の全域を射程に収めることになる。
 情報機関、国家情報院も同日、射程が2千キロ以上に達するとの分析結果を国会に報告した。新型ミサイルについて、89度の角度で発射されて約500キロ飛行。速度はマッハ8・5だったとした。
 韓国の地対空誘導弾パトリオット2(PAC2)が迎撃できる目標の速度はマッハ8〜9まで。米韓が今年中の配備を急ぐ米軍のTHAADはマッハ14まで迎撃が可能という。
 新型ミサイルは固体燃料を使用。液体燃料に必要な約2時間の燃料注入時間を省略できる。
 韓氏によれば韓国政府は、北朝鮮が昨年8月に発射したSLBMの技術を陸上発射型に転用する可能性が高いと予測していたという。(朝日新聞2.15)

 15日 −北朝鮮外務省の報道官は、同国による新型中距離弾道ミサイル発射を強く非難した国連安全保障理事会の報道声明について「全面的に排撃する」と述べ、強く反発した。朝鮮中央通信が伝えた。
 報道官はミサイル発射について、核開発と経済建設を同時に進める「並進路線」の「正常な工程の一環だ」と主張。米国の脅威から国を守るための「自衛的措置」で「誰も言い掛かりを付けられない」と強調した。
 また北朝鮮による弾道ミサイル発射を禁じる安保理決議を巡っては、周辺国は相次いで弾道ミサイルを発射していると指摘し「二重基準」と非難。「決議を今後も絶対に認めない」とした。(共同)

 16日 −日本、米国、韓国の3カ国の外相は16日午後(日本時間17日未明)、20カ国・地域(G20)外相会合の開催にあわせドイツ・ボンで会談し、北朝鮮による12日の弾道ミサイル発射を非難する共同声明を発表した。今回の挑発行為を「最も強い表現で非難」と批判。米国は核を含む「拡大抑止」の提供により、日韓防衛義務を維持するとの方針も盛り込んだ。
 会合は35分間で、岸田文雄外相、ティラーソン米国務長官、韓国の尹炳世外相が参加した。日米韓外相会談は昨年9月にニューヨークで開いて以来で、先月のトランプ政権発足後は初めて。
 日本側の説明では、今回の会合は米国が主導した。日本側の同席者は「米国がアジア太平洋地域に関心を持っているのは間違いないと確認できた」と述べた。拡大抑止の提供はティラーソン氏が会合で言及した。
 共同声明では3カ国の事務レベル会合を「近日中に開催」することとした。外務次官や局長クラスを念頭に置く。北朝鮮による核・ミサイルの脅威には3カ国が連携して対処するとし「断固たる国際的な対応を主導する」と明記。北朝鮮に隣接する国が「挑発行動を自制するよう求めていることに留意する」とも書き込み、中国の対北朝鮮政策が話題になったことを示唆した。(日本経済新聞夕刊2.17)

 17日 −ティラーソン米国務長官は、G20外相会合の開催地ドイツ・ボンで、中国の王毅外相と会談した。ティラーソン氏は、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮による挑発行為の抑制に向け、中国が北朝鮮に影響力を行使するよう求めた。トランプ政権下で米中の外相会談は初めて。
 国務省のトナー報道官代行は会談後、「ティラーソン氏は北朝鮮の脅威が高まっていると強調し、挑発行為抑制のために中国が可能なすべての手段を使うように求めた」と語った。(時事)

 −ドイツを訪問中の中国の王毅外相は、ミュンヘン安全保障会議で演説し、北朝鮮の核・ミサイル問題について「対話再開をあきらめることはできない。米国と北朝鮮はできるだけ早く政治決断すべきだ」と述べ関係国が集まる6カ国協議の再開に向けて米国に積極的な対応を呼びかけた。
 王氏は北朝鮮の核実験と国際社会による制裁が繰り返される近年の状況について「負のスパイラルを止めるべきだ。行き着く先は全員の敗北だ」と危機感を表明。「関係国は緊張を高める行動を控えるべきだ」と述べた。
 6カ国協議は2008年を最後に開かれていない。中国は制裁に一定の協力をする一方で、米国が北朝鮮と直接協議すべきだと主張している。(日本経済新聞夕刊2.18)

 18日 −中国商務省は、北朝鮮産の石炭の輸入を19日から今年末まで停止すると発表した。すでに通関手続き中の石炭にも適用する。北朝鮮による核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議を執行するための措置としている。中国への石炭輸出が重要な外貨獲得手段となっている北朝鮮には大きな打撃となりそうだ。
 昨年11月の安保理決議では、核やミサイル開発の資金源を断つために北朝鮮の石炭輸出に上限を設けた。今年は「年間約4億ドル(約460億円)」か「年間750万トン」となっていた。商務省の発表は、この上限に達したかどうかについては触れていない。
 中国は昨年12月にも、年末までの3週間ほど輸入を停止する措置をとった。昨年分の上限に達する可能性があったためとみられているが、今回はそのときに比べても禁止期間が格段に長くなる。
 中国税関当局の統計によると、昨年の中国の北朝鮮からの石炭輸入量は約2247万9260トンで、金額では約11億8900万ドル。北朝鮮からの輸入総額のうち、石炭の割合は5割近くを占めていた。
 北朝鮮は今月12日にも中長距離弾道ミサイル「北極星2」を発射。国際社会からは、中国が安保理決議の制裁を完全に履行していないとの批判が上がっており、王毅外相は17日の岸田文雄外相との会談で、決議を履行する重要性について一致していた。(朝日新聞2.19)

 21日 −北朝鮮による昨年11月末から1カ月間の石炭輸出が、国連安全保障理事会の制裁決議で定められた上限を量で約2倍、金額では約3.5倍上回ったことが21日、分かった。安保理の制裁委員会がホームページで公表した。決議が厳密に守られなかったことになり、北朝鮮の最大の輸出相手である中国の対応が問われそうだ。
 この期間中、北朝鮮から唯一石炭を輸入した中国の高虎城商務相は21日の記者会見で、国内法との調整や企業への通知のため「(決議履行までに)時間差が生じた」と説明し、上限を上回る輸入があったことを認めた。
 決議は、採択日の昨年11月30日から同年末までの北朝鮮産石炭の輸出を、金額ベースで約5300万ドル、総量ベースで約100万トンに制限。額と総量のうち、より低い方が実際の上限となる。ところが安保理の集計によると、同期間の輸出額は約1億8400万ドルで、輸出量も約200万トンだった。(時事)

 23日 −朝鮮中央通信は、中国による北朝鮮産石炭の輸入停止を受け「『友好的な隣人』という周辺国が、国連の制裁決議を口実に、対外貿易を完全に遮断する非人道的な措置を講じた」と批判する記事を配信し、中国の対応を暗に非難した。名指しを避けたとはいえ、北朝鮮が中国の対応を非難するのは異例。
 中国政府は18日、北朝鮮からの石炭輸入を19日から年末まで停止すると発表した。記事では、中国を念頭に「大国を自任する国が米国の笛に踊らされ(停止措置を)核計画を防ぐためと弁明している」と指摘。「事実上、われわれの体制を崩壊させようとする敵の策動と同じだ」と非難し、今後も核・ミサイル開発を継続していくと強調した。(時事)

 −トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩委員長との直接会談について「決してノーとは言わないが遅すぎるかもしれない」と述べた。正恩氏に対して「彼の行いにとても怒っている」と明言。大統領選中は「ハンバーガーを食べて対話する」と語っていたが、ミサイル発射など挑発行為を強める北朝鮮に対し、強硬姿勢に傾いたようだ。
 ロイター通信とのインタビューで明らかにした。トランプ氏は選挙期間中は北朝鮮の核開発計画をやめさせるために「正恩氏と話してもいい」と明言していた。今回、トランプ氏は正恩氏との会談の可能性を完全には否定しなかったが「遅すぎる」とし、時期を逸したとの見方を示した。
 トランプ氏は北朝鮮の挑発行為に触れ「とても怒っている。率直に言えば、オバマ前政権が対処しておくべきだった」と言及。オバマ前政権が北朝鮮に対して非核化に向けた具体的な措置をとるまで交渉に応じない「戦略的忍耐」の姿勢を取ったことを事実上、批判した。
 北朝鮮は昨年10月を最後にミサイル発射を控えていたが、日米首脳会談直後の12日、中長距離弾道ミサイルを発射した。(日本経済新聞2.25)

 24日 −国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがまとめた報告書の全容が24日、判明した。北朝鮮国籍の船長らが乗り組み、エジプト政府が昨年8月に拿捕(だほ)した貨物船から北朝鮮製の携行式ロケット弾約3万発(約132トン)と大量の鉄鉱石が押収されたと指摘。制裁逃れの手法を駆使して大規模な武器取引を企てたとみている。
 北朝鮮製の同種武器の押収量としては過去最多。北朝鮮による武器輸出は過去の安保理制裁決議で全面禁止されているが、核・ミサイル開発の資金源の一つとして継続中とみられる。
 ロケット弾が隠してあったコンテナの最終目的地は特定されていないが、エジプトのほか、北朝鮮と軍事協力してきたシリアやアフリカ向けだった可能性もある。
 共同通信が入手した報告書によると、エジプト政府は昨年8月11日、自国領海で北朝鮮からスエズ運河に向かっていた貨物船を拿捕した。船内を調べた結果、大量の鉄鉱石の下から、分解された北朝鮮製の携行式ロケット弾約2万4千発と約5千発分のロケット弾の部品が見つかった。北朝鮮産の鉄鉱石の取引も昨年3月に安保理が採択した決議で禁止されていた。
 船はカンボジアの国旗を掲げ、船荷の品目は「中国・南京で積まれた水中ポンプの組み立て部品」と偽装されていた。
 北朝鮮の武器を巡っては2009年、タイ・バンコクの空港に着陸した貨物機から携行式地対空ミサイルや対戦車ロケット砲など計約35トンが押収された例がある。(共同)

 −米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、米国の元政府高官と北朝鮮の高官による非公式協議をニューヨークで3月に開く方向で計画したが、米政府が北朝鮮側にビザ(査証)を発給せず、協議が流れたと報じた。実現すればトランプ米政権発足後、初の米朝協議となり得たが、北朝鮮の関与が濃厚な金正男氏の殺害事件や今月12日の北朝鮮による弾道ミサイル発射などが影響した可能性があるという。
 同紙によると、協議は3月1〜2日にニューヨーク市内のホテルで行う方向で調整され、米側からはクリントン元政権時に米朝枠組み合意をまとめたロバート・ガルーチ元朝鮮半島核問題担当大使とブッシュ元政権時に国家安全保障会議(NSC)日本・朝鮮部長を務めたビクター・チャ氏が、北朝鮮側からは北朝鮮外務省米州局の崔善姫氏が出席する予定だったという。
 北朝鮮側はトランプ大統領が昨年11月の大統領選で勝利した後、複数回にわたって米側に接触し、協議開催を働きかけていたという。実現すれば、米側は北朝鮮が拘束している米国人2人の解放を求める予定だった。(読売新聞2.26)

 27日 −欧州連合(EU)は、北朝鮮からの石炭や鉄鉱石の輸入を制限するための法的措置を取ったと発表した。北朝鮮による核実験を受けた昨年11月の国連安保理の制裁強化決議を、EUとして履行するための手続き。
 この安保理決議は従来の制裁対象を拡大する内容で、銅、ニッケル、銀、亜鉛の北朝鮮からの輸入が新たに禁じられた。
 制裁ではこのほかヘリコプター、船舶の北朝鮮への輸出を禁止。また北朝鮮がEU内で利用できる銀行口座や不動産を制限する。(時事)

 −北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の日本と米国、韓国の首席代表は、米首都ワシントンで会合を開き、金正男氏殺害事件や北朝鮮による新型弾道ミサイル発射について意見交換した。韓国の聯合ニュースによると、トランプ米政権側は米独自の金融制裁などの対象とする「テロ支援国家」に、北朝鮮を再指定する検討を始めたと日韓に伝達した。韓国政府高官が明らかにした。(共同)

 

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