2015年の朝鮮半島情勢は歴史上最悪
−2015年12月24日−

 朝鮮中央通信社は24日、2015年の朝鮮半島情勢と関連した詳報「新たな戦争挑発の元凶米国を告発する」を発表した。その全文は次のとおり。


 2015年の朝鮮半島情勢は、歴史上最悪を記録した。

 我々に対する米国の極悪非道な敵視政策、戦争政策によって20世紀の50年代のような、もう一つの朝鮮戦争が勃発しかねない危険極まりない事態が生じた。

 今年はまさに、平和と安定の問題で世紀をまたいで持続してきた朝米対決戦がピークに達した年であった。

 朝鮮中央通信社は、類例なく緊迫した朝鮮半島情勢を通じて、果たして、誰がこの地の平和と安定の破壊者であり、誰が真の守護者なのかを歴史に伝えるためにこの詳報を発表する。

 朝鮮半島で戦争の危険を除去して緊張を緩和し、平和な環境を整えるのは、わが共和国政府の一貫した立場であり、姿勢である。まして、経済強国の建設と人民生活の向上に総力をあげているわが共和国にとって、それは、これ以上先延ばしできない差し迫った問題として提起された。

 そこで、わが共和国は、年初に強盛国家の建設の雄大な設計図を示し、緊張激化を防いで、平和な環境を整えるための建設的な提案を主動的におこなったし、そのためのあらゆる努力を尽くした。

 朝鮮半島の緊張激化の主犯である米国に、対朝鮮敵視政策にしがみつかずに大胆に政策転換するよう求める一方、この地の平和と安定を守るべき当事者の一人である南朝鮮当局には、祖国解放70周年に当たる今年に全民族が力を合わせて自主統一の大道を開くために緊張緩和と平和な環境を整える道に方向を変えるよう呼びかけた。 

 去る1月9日には、米国の立場まで考慮して、米国が今年に南朝鮮とその周辺で合同軍事演習を一時的に中止する場合、我々も米国が憂慮する核実験を一時的に中止する用意があることについて明らかにし、米国といつでも対座する準備ができているとの立場も表明した。

 北南関係と朝鮮半島平和の新たな転機をもたらそうとする呼びかけは、全民族と世界の積極的な呼応を呼び起こした。

 しかし、それに対応した現米政府の対朝鮮政策とその施行過程は、歴史に空前絶後のものであり、歴代の米国の対朝鮮政策のなかでも最も敵対的で暴悪非道なものであった。

 「戦略的忍耐」の看板のもとに対朝鮮問題をあたかも長期性を帯びた問題、大きな関心を寄せない問題であると世論化したオバマ政府の対朝鮮政策は、その表向きとは正反対にまさに今年、手段と方法を総動員して、わが共和国を無条件に圧殺しようというものであった。

 1月22日、オバマ米大統領が直接わが共和国を悪意に満ちて中傷したばかりか、一日も早く「崩壊」させなければならないと公然と言い散らした。

 我々に対する「悪の枢軸」発言で、世界の糾弾の対象となった前執権者も顔負けのオバマの妄言は、2015年に朝鮮を無条件占領しようとする米国の政策を世界に向けて正式に宣布したも同然である。

 「北の体制転覆」を対朝鮮政策に策定したオバ政府は、今年を戦争の年、「ウルチフリーダムガーディアン」合同軍事演習が展開される8月を戦争開始の月に定め、そのために朝鮮半島はもちろん、世界的規模で政治、軍事、経済、文化、外交などすべての分野で高度の圧殺騒動を起こした。

 「大統領令」で朝鮮に対する「高強度の追加制裁」を宣布した1月2日に続き、13日には前例なくおよそ3時間も朝鮮半島問題に関する議会下院の外交委員会公聴会を開き、我々に対するさらに強度の「金融制裁」と「テロ支援国」再指定の問題を論議するなど、法的・制度的装置を完備することに手段と方法のすべてを動員した。

 わが共和国を内部から瓦解させ、転覆しようとする思想・文化的および心理・謀略戦を極限の状況でおこなった。

 年初にオバマが直接「北朝鮮をインターネットを通じた情報流入で必ず崩壊させる」と言い散らすことで、「カラー革命」方式が今年の対朝鮮圧殺の実現でも重大な手段の一つであることを公然と宣布した。

 最悪の戦争危機、経済危機のなかでも「自由アジア放送」をはじめとする対朝鮮謀略機関と団体に引き続き資金を投じるなか、1月19日に「人権財団」の仮面をかぶった米国の謀略家が南朝鮮に入り込んで「脱北者」のクズとともに我々を中傷するビラの散布を堂々と行い、反共和国謀略映画「ザ・インタビュー」のDVD散布の悪巧みまで露骨にあらわした。

 これは、これまで「対北心理謀略戦」を裏で操縦してきた米国がすべての仮面を脱ぎ捨て、その前面に立ったことを示している。

 新たな朝鮮戦争挑発者としての米国の正体は、南朝鮮に対する類例のない政治、軍事、外交上の干渉と操縦で明確にあらわれた。

 朝鮮半島の緊張緩和と北南関係の改善のための我々の歴史的な呼びかけが南朝鮮はもちろん、地域と世界的範囲で嵐のような反響を呼び起こすことに慌てふためいたオバマ政府は、これを阻もうと新年の初頭から血眼になって狂奔した。

 国務省の政治担当次官、軍備管理・国際安全保障担当次官など、高官を南朝鮮に相次いで急派し、北南対話は「北の非核化」と必ず結び付かなければならないだの、「対北政策」で「米韓の水も漏らさぬ共助」だの何のと手先の同盟者にクギを刺した。

 米国のヘリテージ財団、外交協会などの烏合の衆は、南朝鮮当局に「北南関係が進展する状況が訪れれば米国は黙っていないであろう」と公に脅迫するまでに至った。

 しまいには、歴史のどぶに放り込まれていた李明博逆徒を押し立てて任期中の北南非公開接触を歪曲して発表させることで、北南間の不信と対決をあおる卑劣な策動もためらわなかった。

 3月2日から4月24日までおこなった「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習は、8月の事態をまねいた戦争開始の前奏曲であった。

 この戦争演習のために米国は1月7日、朝鮮半島に隣接する日本の沖縄の米空軍基地に12機のF16戦闘爆撃機を前進配備することを公表した後、それを実行した。

 朝鮮での新たな戦争の挑発を主導する特大型のテロ機関である米国・南朝鮮連合師団参謀部まで1月25日に設けて稼動させるなど、米軍の軍事作戦と計画、体系と機構を実際の戦争遂行に合わせて整備、補強した。

 戦争演習期間中の4月14日には、ワシントンで南朝鮮当局と統合防衛対話なるものを開き、我々の核抑止力を無力化する目的で従来の米国・南朝鮮「拡大抑止政策委員会」と「ミサイル対応能力委員会」を統合して「抑止戦略委員会」なる新たな機関を設けることに合意し、実行に移した。

 一方、朝鮮半島周辺の海底地形に合わせて新たに建造した沿海域戦闘艦フォートワースなど、先制攻撃手段を備えた艦船集団を大量投入して朝鮮半島と地域の情勢を極限に追い込んだ。

 米国の執権者が直接、今年の朝鮮戦争挑発を既成事実化し、その実行を取り運んだ以上、わが共和国はさらに強力な実践的措置で対応していった。

 わが共和国は去る1月7日と2月4日、米国が新たな戦争を挑発する場合、それは誤って選んだ時間に誤って選んだ場所で誤って選んだ相手と誤った戦争をおこなったと苦い告白をした先代米軍部好戦狂の轍を踏むことになるということ、米国の恥ずべき歴史の最後のページは朝鮮半島ではない米国の地で、我々の白頭山の銃によって記されるであろうと厳かに宣言した。

 朝鮮半島での局地戦を全面戦争に、世界大戦に拡大しようとする米国の制覇戦略に対して、わが共和国は朝鮮半島と地域、世界の平和守護のために正義の聖戦でこたえ、強力な自衛的戦争抑止力を動員してそのつど粉砕した。

 米国が、イージス駆逐艦マスティン、原子力潜水艦オリンピアなどを動員して朝鮮半島水域で連合海上訓練を相次いでおこなっていることに対処して、追撃機、爆撃機連隊の飛行戦闘訓練と機械化攻撃集団装甲歩兵区分隊の冬季渡河攻撃演習、空母打撃群に対する軍種攻撃訓練などを強度に展開した。

 米国が3月と4月の核戦争演習に続いて5月に入って我々の衛星管制総合指揮所を「長距離弾道ミサイル指揮施設」であると罵倒し、新たな国連「制裁」対象に含めるべきであると騒いだ際には、SLBMの試射をはじめ、我々の自衛的戦争抑止力の威力を誇示することで、敵の3大核戦争攻撃手段をすべて無用の長物にし、朝米対決戦を最終的に締めくくる我々の意志と国力が空言ではないことを示した。

 我々の主要拠点に対する核先制攻撃計画である「作戦計画5015」を南朝鮮当局と謀議した6月に続いて7月、平壌生物技術研究院を「民間企業を装った生物兵器工場」にすり替えて国際社会に対朝鮮敵対意識を鼓吹する米国の策動に、最先端水準で開発して完成した新型対艦ミサイルの発射など、我々が活用することになるより強力な戦争抑止力の威力を誇示した。

 朝鮮半島で新たな戦争を挑発しようとする米国の策動は、8月の事態をもたらした「ウルチフリーダムガーディアン」合同軍事演習を契機に歴史上ピークに達した。

 米国は「作戦計画5027」と「作戦計画5029」を一つに統合し、これに「テーラーメード型の抑止戦略」などを反映した新たな北侵戦争計画である「作戦計画5015」をこの期間に正式に稼働させた。

 先の延坪島砲撃戦での「教訓」に照らして2年前の3月、朝鮮半島での局地戦に自動介入できるよう「共同局地挑発対応計画」まで立てた米国は、愚かにも「ウルチフリーダムガーディアン」演習に核攻撃手段が参加しないという情報を意図的に流して我々と国際社会を欺瞞しようとした。

 8月の朝鮮戦争挑発のための諸般の条件と環境を整えた米国は、その導火線に火を付けるよう南朝鮮軍部を駆り出した。

 南朝鮮軍部が当初、雨で流された「地雷の爆発」であると認めていた軍事境界線南側地域の憲兵哨所での事故が米国の悪巧みによってその後、「北の仕業」にすり替わり、それを口実に反共和国心理戦放送がすべての前線で再開された。

 「ウルチフリーダムガーディアン」合同軍事演習が絶頂を成した8月20日には、またも南朝鮮軍部が「北の砲弾発射」事件を騒いでわが方に数十発の砲弾を撃ったことで、朝鮮半島での新たな同族争いが起こりかねない危機一髪の状況が生じた。

 これは、20世紀の50年代に李承晩一味を6.25戦争の突撃隊に駆り出した米国の侵略手法そのままであったし、こんにち、米国が北アフリカと中東地域で用いる常套の手法そのままであった。

 朝鮮半島に醸成された危険極まりない情勢に対処して朝鮮労働党中央軍事委員会は8月20日、非常拡大会議を緊急招集し、前線地帯に準戦時状態を宣布することに関する命令を下達した。

 朝鮮外務省は8月21日に声明を通じて、今回の砲撃自作劇の背後にうつる米国の黒い影を見落とさないし、単純な対応や報復ではなく全面戦も辞さないことを厳かに宣布した。

 戦争を防いで平和を守るためのわが党と朝鮮政府の呼びかけに全国のすべての軍隊と人民が力強く立ち上がった。

 戦時状態に一斉に移行した朝鮮人民軍前線大連合部隊は、すべての軍事作戦準備を完了して敵撃滅の攻撃命令がくだされることだけを待った。

 前線地帯の党および政権機関と勤労者団体、安全保衛、人民保安、司法検察の各機関、工場、企業所、協同農場をはじめ、すべての部署が準戦時体制に転じた。

 わが軍隊と人民の揺るぎない祖国死守と革命防衛の精神、無慈悲な報復、せん滅の意志に肝を潰した米国は、「ウルチフリーダムガーディアン」戦争演習騒動を一時中断する一方、8月21日に公開する予定であった米陸軍第2歩兵師団第2戦闘航空旅団の射撃訓練を非公開で静かにおこなわなければならなかった。

 それについて米国防総省次官補(東アジア担当)は、「ウルチフリーダムガーディアン」合同軍事演習が一時中断して再開され、うやむやになったことについて打ち明けたし、米国メディアまでが「北朝鮮に米国が尻込みする態度を示した」と揶揄、嘲笑した。

 結局、熱するだけ熱した米国の新たな戦争挑発策動は、わが軍隊と人民の未曽有の超強硬対応の前に完全に破綻した。

 我々は、朝鮮半島情勢を安定させて戦争を抑止するために全力を尽くした。

 我々の主動的な対話提案と真摯な努力によって8月22日から24日まで、板門店では北南高位級緊急接触がおこなわれて共同報道文が発表されたことで、事態は戦争の危機から平和と安定のための対話へと急転換し、平定されることになった。

 今回の対決戦は、侵略と略奪の元凶である帝国主義の圧制と暴力から民族を救い、人類の未来を守る正義のたたかいであり、それは、わが祖国の数千年の未来を約束する歴史的な出来事であった。

 米帝の新たな戦争挑発の企図がことごとく破綻したのは全的に、党のまわりにかたく結集したわが軍隊と人民の一心団結の威力と強力な戦争抑止力、かたい平和守護の意志がもたらした必然の所産である。

 我々の高度の自制力と努力によって緩和へと移った朝鮮半島情勢は、米国の悪辣な敵視策動によって再び悪化の一途をたどることになった。

 米国は、10月におこなわれた北南間の離散家族および親戚の再会行事の時期もロナルド・レーガン空母打撃群を投入して北侵戦争騒動を起こすことで、再会の雰囲気に冷や水を浴びせる一方、自分らの戦争挑発企図を再びさらけ出した。

 11月2日、南朝鮮との定例安保協議で、我々の核、ミサイルを先制攻撃するために謀議してきた「4D(探知、防御、かく乱、破壊)作戦計画」を正式に公表し、それを新たな「作戦計画5015」に反映することにしたし、25日には南朝鮮当局と「原子力協定」改訂版を正式に発効させたことで、朝鮮半島と地域での核軍備競争と核戦争勃発の危険性を極度に増大させた。

 ありもしない「人権問題」を大々的に世論化して国際的圧力攻勢をかけた末に11月19日には、第70回国連総会第3委員会で反朝鮮「人権決議案」を強圧採択する捏造劇まで演じた。

 一年が暮れるこの時刻にも、我々の武力・軍需・貿易機関と活動家、さらには外交官まで「制裁」リストにあげて圧殺の度合いを緩めていない。

 人民生活の向上と直結した我々の経済全般を窒息させようとする米国のこの「制裁」騒動は、国際法上、明白に主権国家に対するもう一つの侵略行為、戦争行為である。

 実に、史上最悪を記録した2015年の朝鮮半島情勢は、米国こそわが共和国を狙った侵略と戦争騒動で月日を送る侵略の首魁、挑発と脅威の主犯であり、平和破壊の元凶であることを改めて示した。

 オオカミの本性そのままに侵略と戦争を唯一の生存方式としている米国、我々の生存そのものを拒む米帝国主義とは、もっぱら先軍の銃より強力な自衛的戦争抑止力で対抗しなければならないというのが我々が得た結論である。

 これにより、わが党の先軍思想と経済・国防並進路線がどんなに正々堂々たるものであるのかが改めて現実を通じて立証された。

 特に、米国にすべての実権をゆだねた南朝鮮の親米保守勢力とのいかなる合意もこの地の平和と安定につながり得ないし、技術的に戦争状態にある朝鮮半島で強固な平和を遂げる道は停戦協定締結の当事者である米国と平和協定を締結するか、もしくは、それを主動的に早めるための正義の最後の聖戦を展開する道以外にないという真理をさらに確信させた。

 わが共和国が、第70回国連総会で米国に現在の停戦協定を平和協定にかえることを改めて提案したのはまさに、米国の選択に対する我々の最後通告にほかならない。

 我々が既に宣明して今年に実際の行動で示したように、米国がどんな選択をしようとすべて対応できるよう我々は万全を期した状態にある。

 もし、米国が内外で排撃を受けている対朝鮮敵視政策を撤回せず、あくまで「北朝鮮崩壊」という妄想の道を選ぶなら、それに対する我々の答えは米国の想像を超えるものになるであろう。

 米国は、朝鮮半島情勢を破局に追い込んだ戦争挑発の責任を絶対に逃れられない。【朝鮮通信=東京】


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