平和協定締結に反対する米国の犯罪的策動
朝鮮法律家委員会白書 
−2016年1月14日−

 14日の朝鮮中央通信によると、朝鮮法律家委員会は同日、白書を発表し、次のように指摘した。

 現在、米国は、停戦協定を平和協定にかえて朝鮮半島で戦争の危険を除去し、平和な環境を整えることに関する我々の公明正大な要求にあくまで背を向け、時代錯誤な対朝鮮敵視政策に執拗にしがみついている。

 我々は、強固な平和保障体系の樹立を志向した朝鮮停戦協定と戦後、朝鮮半島に生じた重大な政治・軍事情勢の要求から終始一貫、平和協定の締結を主張してきた。

 法律的に合法で正当な我々の平和協定締結の提案は、軍事的対決と戦争ばかり極端に追求する米国の挑戦と反対に直面していまだに実現していない。

 こんにち、米国が非核化が先行されてこそ協議を行えるという順序のご託を並べて平和協定の締結に背を向ける根本の目的も、我々を軍事的に圧迫して全朝鮮を占領し、ひいては東北アジアと世界に対する一極支配戦略を実現するところにある。

 朝鮮法律家委員会は、朝鮮半島と世界の平和と安全を守るための国際法的保証となる朝米平和協定の締結にあくまで反対する米国の犯罪的策動と、その根底に潜んでいる下心を国際社会と進歩的人類に明らかにするためにこの白書を発表する。

 平和協定は、敵対的軍事行動の一時的な中止を目的とする停戦協定とは異なり、戦争状態を法律的に完全に終結し、恒久的で強固な平和関係を樹立するために締結される国際条約である。平和協定に対する態度と立場は、平和愛好勢力と好戦勢力を分かつ試金石になる。

 朝鮮停戦協定は戦後、平和関係樹立の法律的基礎を築こうとする我々の主動的で頑強なたたかいによって一時的な交戦の中止ではなく、朝鮮問題を外部勢力の干渉なしに自主的に、平和的に解決し、朝鮮半島に強固な平和保障体系を確立することを見越した国際法的文書として採択された。

 停戦協定で中核条項は第60項である。それは、この条項によって朝鮮からすべての外国の軍隊を撤退させ、朝鮮問題をわが民族同士が、平和的に、根源的に解決する問題が規定されたし、それが今後の平和協定締結のための明白な法律的根拠になったからである。

 我々は、停戦協定を通じて朝鮮問題の平和的解決の問題が法制化された条件に即して停戦を強固な平和へと転換して朝鮮半島で恒久的な平和保障体系を樹立するために誠意あるすべての努力を傾けた。

 しかし、米国は、初めから停戦協定を系統的に破壊して朝鮮問題の平和的な解決を悪質に阻んだ。

 停戦直後、早くも朝鮮半島での平和保障体系の樹立を確約した停戦協定の中核条項を破壊した米国は、1957年になって朝鮮域外からすべての武力装備の搬入を一切禁止することにした朝鮮停戦協定第13項D目の破棄を一方的に宣布し、核兵器をはじめとする各種の戦争手段と殺人兵器を朝鮮半島に投入した。軍事人員の増強を禁止した停戦協定第13項C目を系統的に蹂躙して侵略武力を拡大したし、1991年には停戦協定締結の当事者でもなく、何の名分もない南朝鮮軍の将官を軍事停戦委員会「国連軍」側の首席委員に任命することで停戦機構の体系を完全に麻痺させた。

 朝鮮停戦協定の中核条項を系統的に破壊した米国は、何の法律的制約や制度的拘束も受けることなく軍事的挑発と戦争策動をさらに大々的に行った。日増しに悪辣になる米国の停戦協定違反行為と対朝鮮敵視政策に対処して朝鮮人民軍最高司令部は2013年3月5日、スポークスマン声明で自衛的対応措置として米国によって停戦協定が完全に白紙に戻されたことを最終的に宣言した。これは、米国によって既に有名無実となった停戦協定に我々がもはや拘束される必要がなくなったことからやむを得ずとった対応策であった。

 朝米平和協定の締結はこんにち、朝鮮半島と世界の平和と安全を守るうえでもはや先延ばしできない最優先課題であり、緊急の問題である。

 米国の執拗な停戦協定違反策動とそれに対処した我々の不可避な自衛的措置によって停戦協定が白紙に戻されたことで、我々と米国の関係は単なる技術的な戦争状態から事実上の交戦関係に転換した。

 原因不明のさ細な事件によって情勢が一瞬で交戦直前にまで達した2015年8月の事態は、効力が喪失して名ばかりの停戦協定では朝鮮半島で平和をもはや維持することができないことを最終的に実証した。

 我々は最近、劇的に変化した朝鮮半島情勢の要求に即して第70回国連総会をはじめ、多くの機会に朝鮮半島の恒久的な平和保障のための平和協定の締結を再び提案した。

 こんにちの朝鮮半島情勢は、停戦協定に還元、復旧するのではなく、平和協定にかえることを切実に求めている。

 平和協定の締結は、朝鮮半島だけでなく、地域と世界の平和と安全を保障するための差し迫った要求である。

 東北アジア地域は、多くの社会的・歴史的および政治的・軍事的問題点を抱えている極めてデリケートな地域であるにもかかわらず、いまだに、同地域には平和保障体系が構築されていない。

 米国が、朝鮮半島を重視し、緊張を激化させているのも結局は、朝鮮半島周辺の諸大国を牽制、圧迫して自分らの支配下に置き、世界支配戦略をより容易に実現しようとするところに陰険な目的がある。

 朝米平和協定の締結は、一触即発の危険が恒常的に漂う朝鮮半島の現在の情勢からも、平和安保体系が欠如している地域諸国の利害関係からも、もはや、先延ばしできない焦眉の問題、最優先課題となる。

 こんにち、国際社会は、朝米平和協定締結の提案を世界最大のホットスポットである朝鮮半島で緊張状態を緩和し、強固な平和保障体系を樹立できる重大な提案であり、合理的で公明正大な方案であると評価している。しかし、唯一、米国だけは、我々の平和協定締結の主張が順序が間違ったものであり、停戦協定を平和協定に転換する前に先に非核化で重要な前進が遂げられなければならないとし、朝米平和協定の締結に背を向けている。

 先核放棄を平和協定締結の前提にかかげる米国の主張は、平和関係樹立の一般的前提からも、朝米平和協定締結問題の発生の根源からも不当極まりない詭弁である。

 朝米平和協定締結問題は初めて新たに提起されたものではないし、発生の根源も核抑止力にあるのではない。我々は、核抑止力を保有するはるか以前から平和協定締結問題を提起してきた。

 米国が平和協定締結の前提にかかげる核放棄の要求は、自衛権の行使に関連する国際法規範に完全に反する不法非道な強盗の主張である。

 我々の核保有は、米国の増大する核の威嚇と戦争の危険に対処して国の最高の利益を守るためにとった自衛的措置であって、国際法上の要求の見地から見ると、徹底的に合法である。

 我々の核抑止力は、朝鮮半島で核戦争を防止する物理的手段であり、米国の核の威嚇がなくなる前には絶対に放棄できない。

 朝米平和協定の締結にあくまで背を向ける米国の策動は、朝鮮半島の不安定状態を維持して我々を力で脅かし、いつか不意の軍事的攻撃で共和国北半部を占領することに目的を置いている。まさに、このような目的を実現するために米国は、歴史的に我々の公明正大な平和協定締結の提案を誠実に受け入れず、停戦協定を系統的に蹂躙し、膨大な侵略武力と核戦争手段を南朝鮮に投入して我々に対する核の威嚇を増大させてきた。

 これらの事実は、朝米平和協定の締結にあくまで反対し、我々を軍事的に圧殺しようと狂奔する米国の策動こそ、他国の自主権を力で脅かしてはならないし、侵略と戦争を禁止することを規定した国際法の強行法規と自分らが確約した2国間条約上の義務に反する危険極まりない国際犯罪であり、平和関係樹立の国際慣例にも反する国際不法行為であることを如実に証明している。

 朝米平和協定の締結に反対する米国の策動は、体制転覆、体制崩壊を狙った対朝鮮敵視政策に根源がある。米国がいくら朝鮮半島の「平和」を唱えても、歴史的に行ってきた対朝鮮敵視政策の侵略的本質は絶対に覆い隠せない。

 米国の極悪非道な対朝鮮敵視政策が根絶されない限り、天が落ちても我々は絶対に核を放棄したり、核開発を中断しないであろうし、水爆を含むすべての種類の核兵器を質的・量的にさらに強化していくであろう。

 米国は、朝米平和協定締結の提案に反対する策動の犯罪性を認めて我々と国際社会に当然の国際法的責任を負うべきであり、朝鮮半島の平和保障体系の樹立に遅滞なく応じなければならない。【朝鮮通信=東京】


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