遺骨発掘事業破綻させたのは米国
−2016年7月6日−

 朝鮮中央通信によると、朝鮮外務省米国研究所の研究士キム・ナムヒョク氏が6日、次のような論評を発表した。

 最近、米国内でわが共和国領土でおこなわれて中断された米兵遺骨の発掘作業を再開すべきであるという声が上がっている。

 去る6月23日、米国のビル・リチャードソン元ニューメキシコ州知事と戦争捕虜・戦争行方不明者家族の全国連合会会長らは、米ジョージ・ワシントン大学で開かれた討論会で、米兵遺骨発掘事業が、米朝関係の改善に重要な役割を果たし得る、朝鮮戦争時期に北朝鮮で失踪した数千人の軍人の遺骨を捜せないのは癒えない傷である、政府レベルではなく民間組織が米兵遺骨発掘事業をおこなうのも良い方案になり得るとし、米政府が北朝鮮との政治的見解の違いを後回しにして米兵遺骨発掘再開に積極的な関心を払うよう求めたと言う。

 24日には、朝鮮戦争に参加した3人の米議会下院議員が、朝鮮戦争勃発66周年に際して連名で、米政府が朝鮮戦争で死亡したり行方不明になった米兵の身元を確認し、彼らの遺骨を捜して持ち帰るために北朝鮮との対話に早急に臨むことを求める決議案を下院に提出したという。

 米国内の現職議会議員と民間団体が、米兵遺骨発掘再開問題に関する責任を政府に問いただしているのは偶然ではない。

 もともと、わが共和国領土での米兵遺骨発掘は、先の朝鮮戦争で黄泉の客となった米軍の行方不明者問題を終局的に解決しようとする米政府と朝鮮戦争参戦者、遺族の再三にわたる切実な要請を受け入れた我々の人道的措置によって始まった事業であった。

 先の祖国解放戦争の時期、わが人民に計り知れない不幸と苦痛を与えた米帝侵略軍の遺骨を発掘して返すというのは当時としては全く想像できないことであったし、そのうえ、敵対国の軍人がわが共和国の領内に出入りしてうろつきまわるというのは、それ自体が許されないことであった。

 しかし、わが軍隊と人民は、朝鮮戦争で死亡した肉親の遺骨だけでも捜して故郷に埋葬することを望む遺族の切実な願いを考慮し、朝米関係が緊迫したなかでも人道的立場から雅量を施して1996年からおよそ10年間にわたって30余回も発掘作業が偏向することなくおこなわれるように協力した。

 当時、共同発掘作業に参加した米国側のメンバーは、我々の人道的措置と積極的な協力に重ねて謝意を表した。

 にもかかわらず、米国はその後、我々の誠意ある努力と参戦者遺族の心中を完全に無視し、いわゆる「安全にたいする脅威」を口実に遺骨の発掘事業を一方的に中断したし、鉄面皮にも、さまざまな機会に遺骨発掘のような人道問題を自分らの政治目的の実現に悪用し、遺骨の発掘作業が中断した責任を我々になすり付けようと画策した。

 2014年9月、当時米国防長官であったへーゲルは「戦争捕虜、戦闘中行方不明者デー」記念式場にあらわれて「行方不明の米兵を決して忘れず、最後まで探し出して家族の元に帰すことが政府の確固たる立場」であるとしながらも、「遺骨発掘作業の再開は、北朝鮮の国連安全保障理事会決議の履行次第である」というとんでもない強弁を並べたし、国防総省の報道官をはじめ、軍部当局者も「北朝鮮政権の挑発的行動が遺骨発掘中断の理由」であると強弁した。

 いま、この時刻までも、米政府は米兵遺骨発掘事業を破綻させた自分らの責任は棚に上げ、むしろ「北朝鮮が挑発を中止し、国連安保理決議を遵守する意志を示して米朝関係で改善があってこそ、遺骨の発掘事業を再開できる」という詭弁を並べている。

 我々にたいする体質的な拒否感と敵対感にとらわれて人道問題まで自分らの政治目的の実現に悪用し、常に他人に言いがかりをつける政府の行為を米国人が喜ぶはずがない。

 我々は、無縁仏になった遺骨を捜すべき当事者である米国が遺骨発掘の再開に関心があろうが、なかろうが意に介さない。

 米兵遺骨発掘事業を一方的に中断させた米国が、いまになって、この事業を自分勝手に再開できると考えるのは誤算である。

 米国はどんな権謀術数によっても、極悪な対朝鮮敵視政策を追求し、米兵遺骨発掘問題のような人道事業まで破綻させた自分らの責任を決して逃れられない。【朝鮮通信=東京】


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