「米大学生拉致説」は米国の謀略劇
−2016年9月10日−

 朝鮮中央通信社は10日、「好戦狂の新たな謀略劇」と題する全文次のような論評を発表した。

 最近、米国が我々にたいする新たな謀略劇の演出に取りかかった。

 「米国人大学生拉致説」をはじめ、わが共和国を狙ったとんでもないデマを引き続き広めているのがまさにそれである。

 自分らの「北朝鮮自由連合」と南朝鮮の「拉北者家族会」のような謀略団体の有象無象を押し立て、12年前に中国で失踪した米国人大学生が「北朝鮮に拉致されているようである」だの何のと騒ぎ立てた。

 それと関連した「決議案」の議会通過を求めるインターネット「署名運動」の開始を騒ぐなか、西側メディアを押し立てて米中央情報局(CIA)のデータベースから入手した「機密文書」を云々し、「米国人の行方不明者数百人が北朝鮮の監獄に閉じ込められている」という冗舌も弄した。

 デマの始発点にCIAとその手先である対朝鮮謀略団体が大挙して出演したという事実だけでも、我々は今回の謀略劇の目的と全貌を既に把握して余りある。

 その形式と手法を見ても、ナチス・ヒトラー一味をしのぐ悪辣な心理・謀略戦であって、国際舞台で高まるわが共和国の尊厳を傷つけるためのもう一つの政治的挑発である。

 「嘘も百回言えば真実になる」と言っていたファシズム狂信者の教理と、「核の恐喝でも遂げられなかった『勝利』を放送、出版物がもたらした」という自分らの反ソ謀略の経験を再び盗用しようとしたが、今回の詐欺劇は始めから捏造であることをそのままさらけ出した。

 「事件」を報道した米国メディアでさえ「驚くべきこと」であると疑問を呈し、中国当局が既に事件当時に問題の対象者が川でおぼれて死亡したと結論付けた事実をそのまま伝えた。

 ある「脱北者」が米国人大学生を平壌で見たという謀略家の宣伝とは異なり、「失踪者」の母はメディアの報道を盲目的に信じないと前置きしたし、米国務省は最初に証拠がない、中国当局と協議中であるという立場にとどまった。

 そうしたなか、米国の謀略団体が「米国務省と情報当局が、日本、南朝鮮などと関連調査を調整している」と騒いでいるのを見れば、「調査」の方向がどこへ流れるかは火を見るよりも明らかである。

 このように、今回の謀略劇は、米国の政策シナリオによる対朝鮮圧殺騒動の連続であり、新たな戦争挑発の前奏曲である。

 物理的戦争手段の全面稼働に先立って心理・謀略手段の稼働が絶頂に達するのは現代戦争の一般的な常例であって、今日の謀略戦は明日の物理的実戦を告げる先制攻撃行為も同然である。

 世界最大の核攻撃手段が集結、対峙して撃動状態(射撃準備完了状態)を維持しており、戦争防止の何の法的・制度的装置もない朝鮮半島はいま、戦争状態に置かれているのも同然である。

 朝鮮半島情勢が刻一刻と戦争へと突っ走っているいまのような時期に米国がとんでもない心理・謀略戦にしがみつくのはまさに、侵略戦争の火を付けるのに必要な口実を作り出そうとすることにある。

 しかし、米国は判断を誤っている。

 我々には、敵のいかなる挑発も断固、そして一撃でぶち壊すことのできる我々式の対応方式がある。

 今回我々がおこなった核弾頭爆発実験も、堂々たる核保有国であるわが共和国の戦略的地位をあくまで否定し、我々の自衛的権利の行使に悪辣に言いがかりをつける米国をはじめとする敵対勢力の脅威と制裁騒動にたいする実際の対応措置の一環である。

 敵が手出しするなら、我々も迎え撃つ準備がいつもできている。

 わが軍隊と人民の超強硬意志は、確固不動である。【朝鮮通信=東京】


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