李容浩外相が非同盟閣僚会議と国連総会に参加
−2016年9月12〜29日−

 朝鮮中央通信によると、李容浩外相と一行が、第17回非同盟諸国首脳会議に先立ちおこなわれた閣僚級会議と第71回国連総会に参加した。

 一行は12日に平壌を出発し、29日に帰国した。


 ◆李容浩外相は、第17回非同盟諸国首脳会議に先立ち15、16の両日にベネズエラでおこなわれた非同盟諸国閣僚級会議で演説した。

 李容浩外相は、現在、威力ある反戦・平和愛好勢力としての非同盟諸国会議の地位と役割を高め、侵略的な軍事同盟を維持、強化しようとする帝国主義者の策動を粉砕し、あらゆる形態の侵略と干渉、隷属と不平等に反対してたたかうことに関する非同盟諸国会議の立場を最終文書に明白に反映することが非常に重要な問題として提起されると述べ、次のように指摘した。

 冷戦が終結してから四半世紀が流れたが、地球上には依然として当時の軍事同盟が存在しており、アジア太平洋地域では、また異なる新たな軍事同盟が萌芽段階の形体をあらわにしている。

 国連憲章の原則にたいする乱暴な違反となる非同盟諸国会議参加国の自主権と領土保全、立に反対する侵略的な合同軍事演習と武力使用および威嚇行為が続いている。

 朝鮮に反対して毎年、数回、南朝鮮でおこなわれている大規模の米国・南朝鮮合同軍事演習は、一言で言って非同盟諸国会議参加国にたいする帝国主義列強の前代未聞の軍事的威嚇、核威嚇行為である。

 これらの軍事演習には、50万人以上の大兵力と戦略爆撃機、戦略原子力潜水艦など各種の戦略資産が投入され、わが共和国の首脳部にたいする「斬首」と「首都占領」の目標のもとに精密攻撃作戦、特攻隊浸透作戦、上陸作戦、核先制攻撃作戦などが演習の基本をなしている。朝鮮半島情勢が引き続き制御不能状態に陥っているのは、まさに米国の挑発的で侵略的な大規模な合同軍事演習に原因がある。

 李容浩外相は、国連安全保障理事会が、公正さと正義をはなれ、妥当な法的根拠もなしに非同盟諸国会議参加国に不当な制裁を加えるなど、米国の強権と専横の道具に転落していることについて明らかにし、次のように続けた。

 国連安保理は、国際の平和と安全にたいする重大な脅威となる挑発的で侵略的な米国の大規模な合同軍事演習にたいするわが共和国政府の再三の提訴に背を向ける反面、我々の核実験と弾道ミサイル発射を口実にそれを禁止することに関する「決議」の採択に続いて制裁を加えた。

 朝鮮は、米国の恒常的な核の脅威から国家の安全を守るためにできる限りを尽くした末にやむを得ず核武装の道を選択することになった。

 米国が数十年間にわたる対朝鮮敵視政策を撤回せず、さらに執拗に追求している状況で、我々に必要なのがまさに抑止力であり、相手が世界最大の核保有国である状況で、もっぱら核兵器だけが抑止効果を発揮できるのである。

 最近、成功裏におこなった核弾頭爆発実験は、わが国家の自衛的権利の行使に悪辣に言いがかりをつける米国をはじめとする敵対勢力の威嚇と制裁騒動にたいする実際的な対応措置の一環であり、敵が我々に手出しするなら我々も迎え撃つ準備ができているというわが党と人民の超強硬意志の誇示である。

 我々の核戦力は、非同盟諸国会議の反核の立場と核不拡散の立場に矛盾しない。

 我々が核戦力の強化を決定したのは、米国の恒常的な核の威嚇から自身を防衛する正当な自衛的措置である。核拡散防止条約(NPT)にも、国家の最高の利益が脅かされる場合には条約を脱退する締約国の権利が付与されており、わが共和国はそのような法的手続きを合法的に踏んだ。

 朝鮮政府は、核抑止力で米国の核威嚇策動を阻止し、世界の非核化を実現するために努力してきたし、今後も引き続き努力するであろう。

 国連憲章には、安保理は任意の問題や事態を扱うに当たり、まず国際の平和と安全にたいする脅威の存在有無から決定することになっていると明記されているが、核実験と弾道ミサイル発射が国際平和と安全にたいする脅威になると規定した条項はない。また、国際法典のどこにも国連加盟国の正当な自衛権を否定する条項はない。

 我々よりも前に、国連安保理のすべての常任理事国を含む多くの国が、計2000余回の核実験をおこなって多くの弾道ミサイルを発射したが、安保理がこのような活動を禁止したことはない。にもかかわらず、国連安保理は唯一、朝鮮に対してのみ核実験と弾道ミサイル発射を禁止して制裁を加える処分をくだした。

 朝鮮政府がこの「決議」の公正さと適法性について解明するよう国連事務局に公式に提起したが、事務局は4カ月がたっても返答がない。

 第16回非同盟諸国首脳会議の最終文書には、国連安保理が「国際の平和と安全に脅威にならない問題を扱うため、憲章第7章の発動を控えるべきである」という非同盟諸国会議の原則的立場が表明されている。

 非同盟諸国会議参加国は当然、同会議の立場に背く国連安保理の対朝鮮「制裁決議」の不公正さと不当性、不道徳性に注意を払うべきである。

 今日、対朝鮮「制裁決議」が許されれば、明日は新たな決議が他の非同盟諸国会議参加国を絞殺するのに利用されるであろう。

 米国と西側諸国は、自分らの「民主主義」と「人権基準」を非同盟諸国会議参加国に強要するうえでも国連安保理を盗用している。

 我々はいまだに、10余年前、国連安保理がイラクに大量破壊兵器があるとする米国の嘘を聞く場として盗用された事実を記憶している。

 その他にも、アフガニスタン、リビア、シリア、イエメン、スーダンなど、内戦と暴力にあえぐ国々の状況を見れば、例外なく国連安保理の干渉と強権の影が差している。

 非同盟諸国会議は、絶対にこのように各個撃破されてはならない。

 国連安保理が公正に活動するためには、安保理内の非同盟諸国会議参加国が共同行動を強化することが重要である。安保理に属する非同盟諸国会議参加国だけで共同行動を実現すれば、非同盟諸国会議はすべての手続き上の問題で事実上の拒否権を保有できるようになるであろう。

 朝鮮はこのような見地から、国連安保理内で非同盟諸国会議の作業部会の活動を活性化し、その役割を決定的に高める措置を講じることが必要であると認める。

 最後に李容浩外相は、わが共和国政府は今後も非同盟諸国会議参加国との共通の利益のために力強くたたかっていくであろうし、積極的に協力していくであろうとの確信を表明した。


 ◆第17回非同盟諸国首脳会議に参加した李容浩外相は会期中、ベネズエラ、ジンバブエ、パレスチナ、エジプト、スーダンの各外相とおのおの会見した。

 また、ナイジェリア外相、セネガル高等教育相、パキスタン首相顧問(外交・安全保障担当)とおのおの会見した。

 これに先立ち、李容浩外相は、キューバ、イラン、トルコ、エリトリアの各外相とニカラグア外務次官とおのおの会見した。

 各席上では、各国との2国間関係の発展問題と国際舞台での相互支持・協力問題が討議された。


 ◆第71回国連総会で23日、朝鮮代表団団長の李容浩外相が演説した。

 李容浩外相は、「持続可能な開発目標(SDGs)──我々の世界を変革するためのすべての人々による働きかけ」をテーマとする本会議がすべての国の平和な発展と繁栄を促すうえで有意義な寄与をするよう希望すると述べ、次のように指摘した。

 平和と安全は、国連の永遠のテーマであり、持続可能な開発も何よりも平和と安全を大前提にしている。

 国連が持続可能な開発のための変革を志向する、いまこの時刻も、世界にはテロの狂風が吹き、戦乱による難民事態が席巻しており、世界的なホットスポットが減るのではなく、むしろ増えている。

 そのなかでも、朝鮮半島は核戦争勃発の危険まで抱えている世界最大のホットスポットと化した。

 人民経済全般を活性化し、国の経済を持続的に発展させられる土台を築くための国家経済発展5カ年戦略の遂行に入ったわが共和国にとって何よりも必要なのは平和な環境である。

 国際社会が毎年目撃しているように、朝鮮半島の情勢が、たびたび制御不能の状態に陥るのは、米国が対朝鮮敵視政策を捨てず、朝鮮半島とその周辺で侵略戦争演習を引き続きおこなっていることに根源がある。

 今年も米国が南朝鮮でおこなった大規模の合同軍事演習は、その規模において丸々一つの戦争をおこなえる50万人以上の大兵力と戦略爆撃機、戦略原子力潜水艦を含む戦略資産が投入された極めて挑発的な大規模の軍事行動である。これらの演習は、性格においてわが共和国の指導部にたいする「斬首」「平壌占領」を目標とする精密攻撃作戦、特攻隊浸透作戦、上陸作戦、核先制攻撃作戦などが基本をなしている徹頭徹尾、攻撃的で侵略的な核戦争演習である。

 このように規模が膨大で挑発的であり、攻撃対象の近くでおこなう危険極まりない侵略演習、露骨な軍事的威嚇はこれまでない。

 朝鮮半島は、1950年代に起きた戦争が完全に終わっていない停戦状態、すなわち、どちらか一方でも再び発砲を始めようとする場合、宣戦布告を必要としない交戦状態にある。

 世界のどの地域よりも大規模の合同軍事演習のような挑発的な軍事行動が、他方を刺激して対応をまねきやすいし、偶発的な事故によっても衝突が起き、それが拡大して全面戦争に拡大しかねない地域である。したがって、朝鮮半島の周辺諸国はもちろん、地域内の多くの国と、さらには米国と南朝鮮でも大規模の合同軍事演習がまねく緊張激化にたいする懸念の声が高まっているのである。

 朝鮮は、米国と南朝鮮当局が挑発的で侵略的な合同軍事演習をおこなうたびに必要な自衛的対応措置を講じるとともに、衝突と拡大を防止するためにできる限りの努力をしてきた。

 朝鮮労働党委員長で国務委員会委員長である敬愛する金正恩同志は第7回党大会の報告で、米国が時代錯誤な対朝鮮敵視政策を撤回し、停戦協定を平和協定にかえ、南朝鮮から侵略軍隊と戦争装備を撤収することに言及した。

 また、朝鮮半島の平和と統一のためにまず、北南軍事当局間の対話と協議が必要であることについても宣明した。

 しかし、わが共和国を狙った大規模の合同軍事演習は中断することなく引き続きおこなわれ、その性格はよりいっそう挑発的で侵略的なものになっている。

 いま、国際舞台で米国を首魁とする帝国主義勢力の横暴な支配と干渉策動によって世界的に公認された国際関係の基本原則が公然と無視されており、帝国主義列強の利害関係によって正義も不正義として犯罪視されている。

 世界の平和と安全を守るためにもそうであり、持続可能な開発を遂げるためにも真の国際的正義は必ず実現されなければならない。

 国連憲章にも、平和の破壊をまねきかねない国際紛争や事態を平和な方法で、そして、正義と国際法の原則にもとづいて調停したり、解決することについて規定されている。

 しかし、いま、国連安全保障理事会は朝鮮半島問題を扱うに当たり、正義と国際法をはなれて米国の強権と専横を国連という風呂敷で包む役を演じている。

 朝鮮政府は、国連憲章にもとづいて朝鮮半島で米国の大規模の合同軍事演習によって世界の平和と安全が脅かされる事態を国連安保理に何度も提訴した。今年だけでも3月と8月の2回にわたって提訴したが、国連安保理は毎回これに背を向けてみずからの自主権と尊厳、国家の安全を守るために講じている朝鮮の正当な自衛的措置を問題視している。

 朝鮮は、1950年代に始まって世紀をまたいで続いてきた米国の恒常的な核の威嚇から国の安全を守るためにできる限りのことをすべておこなった末にやむを得ず核武装の道を選んだ。

 我々が核戦力を強化することを決定したのは、米国の恒常的な核の威嚇から自身を防衛するための正当な自衛的措置である。にもかかわらず、国連安保理は最近でっち上げた対朝鮮「制裁決議」第2270号で、再びわが共和国の核および弾道ミサイル実験が世界の平和と安全にたいする明白な「脅威」になると言いがかりをつけた。

 核および弾道ミサイル実験が世界の平和と安全に脅威になるという法的根拠は、国連憲章やどの国際法典にも規定されたものがない。現実的に、我々よりもはるか前にこのような実験をおこなった他の国が国連安保理でたった一度も問題視されていない。ところが、何の根拠と権限で安保理は、わが共和国の核および弾道ミサイル実験を禁止させる「決議」を採択した。そのような根拠と権限があるなら、なぜこのような実験をおこなう他の国は問題視しないのかというのである。

 これについて、我々が国連事務局に公式に提起したが、4カ月がたっても答弁をできていない。

 それは明白に、国連安保理が正義ではなく、拒否権を持っているのか持っていないのかによって罪の有無が決定される場所であるからである。

 このような決議でない「決議」で米国には国連加盟国にその履行を強要する道徳的資格がないし、国連加盟国はこのような不公正な不正義の「決議」を履行すべき道徳的義務がない。

 先日おこなわれた第17回非同盟諸国首脳会議で採択された最終文書には、「近年、国連安保理は、一部の場合に限っては度を超して早々に威嚇的な立場を取ったり、強制的措置を講じたりしながらも、他の場合に限っては沈黙を守ったり、低調に対応したりしている」とし、「国連憲章にもとづいて、制裁は必ず世界の平和と安全に対する脅威や侵略行為が存在するときにだけ講じられなければならない」と指摘されている。

 会議ではまた、非同盟諸国会議参加国に対して国連憲章と国際法、特に、これらの国の自決権と独立、内政不干渉の原則に反して制定、適用されている一方的な強圧的措置を糾弾するマルガリータ宣言が採択された。

 これは、すべての国連加盟国のおよそ3分の2を占める非同盟諸国の共通の立場、すなわち国際社会の真の声である。

 国際的正義は、おのずからならないし、反帝・自主的な国々の力が強いときにだけ実現される。

 核戦力を強化するのは、わが共和国の一貫した路線である。

 我々と敵対関係にある核保有国が存在する限り、わが国の安全と朝鮮半島の平和は、もっぱら核抑止力によってのみ守れる。

 冷戦が終わってから四半世紀が過ぎ、安保感覚が鋭さを欠く欧州諸国や自国の敷居や上空の端に敵対的な列強の核兵器が出没する状況を直接体験していない国は、我々がなぜそれほど心血を注いで核抑止力を強化するのかについて理解し難いであろう。

 最近、我々が成功裏におこなった核弾頭爆発実験は、朝鮮の自衛的権利の行使に悪辣に言いがかりをつける米国をはじめとする敵対勢力の威嚇と制裁騒動にたいする実際の対応措置の一環であって、散が我々に手出しするなら我々も迎え撃つ準備ができているというわが党と人民の超強硬意志の誇示である。

 米国は数日前、戦略爆撃機BIBを2機、朝鮮半島の軍事境界線上空を飛行させたのに続き、1機を南朝鮮に着陸、展開させて我々を脅かしている。我々はこれについて絶対に黙っていないであろうし、米国はその代価を想像もできないほどたっぷり払うことになるであろう。

 李容浩外相は、米国の増大する核戦争の脅威から我々の尊厳と生存権を守り、真の平和を守るための核戦力の質的・量的強化措置は続くであろうと強調し、次のように続けた。

 真の国際的正義を実現して世界の平和と安全を守り、国連が設定したSDGsを達成するためには、「正義」の看板のもとで不正義が横行する古い国際秩序を壊して公正で義に徹した新しい国際秩序を立てなければならない。米国が数十年間、不当に実施してきた対キューバ封鎖は、国際的正義が失われた代表的実例の一つである。

 我々はこの機会に、米国の強権と専横、一方的な封鎖の試みに立ち向かって民族の尊厳と自主権を守り、国際的正義を実現するためにたたかうキューバ政府と人民に全的な支持と連帯を送る。

 主権国家にたいする米国の乱暴な内政干渉によって戦乱と暴力の事態に瀕したシリアとイラク、リビアのような国と地域、パレスチナ問題などで国際的正義が一日も早く実現されなければならない。

 国際刑事裁判所(ICC)を盗用して自主的なアフリカ諸国の主権を侵害する米国と西側諸国の不純な政治的企図は阻止されるべきであり、人権問題を政治化して反帝・自主的な国々を意図的に「悪魔化」し、「カラー革命」の道具として利用している米国とその追従勢力の2重基準行為が断固排撃されなければならない。

 国連が正義を捨てるなら、誰も国連に期待をかけなくなるであろう。

 米国が敵視する国、米国が体制転覆を目標とする国は、例外なく自動的に「人権問題を抱えている国」に分類されるのがこんにちの国連の舞台である。

 朝鮮もそのうちの一国であるが、それは、むしろ、わが共和国が、それほど米国とその追従勢力の気に障る自主的な国であることを証明するだけである。

 米国は、核問題でどうすることもできなくなると「人権問題」を持ち出すように、この問題でもどうすることもできなくなれば、他の問題を持ち出して、わが共和国をあくまで抹殺しようと試みるであろう。しかし、米国は、絶対にわが人民から自身が選択した社会主義、人民のために滅私服務する制度を奪えない。

 李容浩外相は最後に、わが共和国政府は、米国によって強いられている核戦争の危険を強力な核抑止力に依拠して根本的に終息させ、朝鮮半島とアジア、世界の平和と安全を守り、世界の非核化を実現するたたかいを力強くおこなっていくであろうと確言した。


 ◆米国のニューヨークでおこなわれている第71回国連総会に参加した朝鮮の李容浩外相が、シンガポール、ブータン、タイ、ガイアナ、モンゴル、アンゴラの各外相、カンボジア国務相兼外相、シリア副首相兼外相、アルジェリア国務相兼外務・国際協力相、ウガンダ外務国務相とそれぞれ会見した。

 各席上では、2国間関係を拡大し、発展させることと国際舞台での支持、協力など相互の関心事となる問題が討議された。

 一方、李容浩外相は、国連総会議長、国連人道問題担当事務次長、国連開発計画(UNDP)総裁、国連人口基金(UNFPA)事務局長、赤十字国際委員会(ICRC)委員長とそれぞれ会見し、朝鮮と当該機関の協力問題について討議した。【朝鮮通信=東京】


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