朝鮮公民死亡問題でマレーシアの対応を非難
−2017年2月23日−

 23日の朝鮮中央通信によると、朝鮮法律家委員会は22日、全文次のようなスポークスマン談話を発表した。

 去る13日、マレーシアで外交旅券所持者であるわが共和国の公民が飛行機の搭乗を控え、突如ショック状態に陥って病院に搬送される途中に死亡したのは思いも寄らない不祥事にほかならない。

 当初、マレーシア外務省と病院側は、朝鮮の公民にたいする領事保護権を行使しているマレーシア駐在朝鮮大使館に心臓発作による死亡であることを確認し、遺体を大使館に引き渡して火葬することにしたことを通報してきた。

 これを受けて大使館は、死亡者の身元を確認して遺体を引き渡すよう求めた。

 しかし、同日夜、南朝鮮の保守メディアが、「政府消息筋」によるものとして誰それによる「毒殺」を主張するなり、マレーシアの秘密警察が介入して、これをむやみに既成事実化し、遺体の剖検問題を提起してから問題が複雑になり始めた。

 大使館は、心臓発作による死亡と結論付けられただけに剖検をおこなう必要がなく、まして死亡者が外交旅券所持者であって、ウィーン条約にもとづく治外法権の対象なので絶対に剖検をおこなえないことを明白にした。

 しかし、マレーシア側は、我々の正当な要求と国際法を無視し、我々との何の協議や立ち合いもなしに、遺体の剖検を強行しただけでなく、剖検の結果も発表せずに2度目の剖検までおこなうと騒ぎ立てた。

 これは、わが国の自主権にたいする露骨な侵害、人権にたいする乱暴な蹂躙であり、人倫、道徳にも反する反人倫的な行為である。

 さらに重大視せざるを得ないのは、マレーシア側の不当な行為が南朝鮮当局が起こした反共和国謀略騒動と時を同じくしておこなわれていることである。

 南朝鮮保守メディアは、遺体の剖検結果が発表される前に「北朝鮮偵察総局の女性要員2人による毒殺」であるだの「北朝鮮の仕業に違いない」だの何ののデマを悪質に流し始めた。

 我々の公民が死亡した翌日の14日、青瓦台がごたごた大騒ぎして16日に長官級会議が開かれるなど、南朝鮮当局の反応は目立ってあらわれたし、しまいには我々の公民の死亡と何の関連もないTHAADの配備問題まで公然と取り上げられた。

 これは、明白に南朝鮮当局が今回の事件を以前から予見し、そのシナリオまであらかじめ作成していたことを示している。

 このような陰謀策動の目的が、わが国のイメージを傷つけ、虫の息の朴槿恵逆徒を生き返らせ、国際社会の耳目を他にそらそうとするところにあるのは火を見るよりも明らかである。

 既に米国は、事件の捜査結果が発表される以前にわが国を「テロ支援国」に再指定すべきであるだの何のと南朝鮮当局に相づちを打っている。

 しかし、大部分の国は、南朝鮮政治家の陰謀論、朝鮮を転覆するための「大型爆弾」として利用しようとする試み、絶え間ない情報操作で南朝鮮政局の混乱をもみ消そうとする意図であるなどと非難し、南朝鮮当局の稚拙で見え透いた謀略騒動に唾を吐いている。

 そのうえ、南朝鮮内部でまで、これほど無謀で不必要なことをして利益を得る勢力は、もっぱら朴槿恵と「自由韓国党」「国家情報院」であると主張する声が高まっている。

 しかし、唯一、マレーシアだけがこのような事実に背を向けているのは実に遺憾なことにほかならない。

 我々の公民がマレーシアの地で死亡しただけに、それにたいする最大の責任はマレーシア政府にある。

 にもかかわらず、マレーシア政府が、むしろ、我々に言いがかりをつけていることこそ極めて不当であり、初歩的な人倫、道徳も知らない厚顔無恥な行為である。

 これまでマレーシア警察がおこなった捜査状況を犯罪捜査学の見地と法律的見地から見ると、すべてが欠陥と矛盾だらけである。

 まず、当初、心臓発作による死亡であると結論付けたものを何の手がかりもなく、むやみに「毒殺」であると固執したことである。

 心臓発作であると結論付けたのがマレーシア病院側であり、「毒殺」であるという世論を広めたのが南朝鮮メディアである点を考慮すると、なぜマレーシア警察が自国の病院側の結論を信じず、確認もできていない他人の言葉にむやみに従ったのかというのである。

 マレーシア警察側が、記者会見で死因について確定できないとしながらも毒物検査の結果を待つと矛盾することを述べたのは、彼らが最初から死因を「毒殺」と決めていたことを彼ら自身が立証したことになる。

 マレーシア側の非友好的な態度は、遺体引き渡し問題でさらにはっきりとあらわれた。

 不法で非道徳的な方法にせよ遺体の剖検と法医学的鑑定をおこなったなら当然、我々に遺体を返すべきであるが、マレーシアの法にもとづいて死亡者の遺族側がDNAサンプルを提出する前には遺体を引き渡せないというとんでもない口実を設けていまだに遺体を引き渡していない。

 これは、マレーシア側が、国際法と人倫、道徳は眼中にもなく、遺体引き渡し問題を政治化して何らかの不純な目的を達成しようとしていることを示している。

 次に、事件当初、殺人の容疑者を逮捕したとやかましく騒ぎ立てたが、その後、それに全く言及さえしていないことである。さらにあきれるのは、殺人の容疑者が供述したとする「手のひらに付けた油のような液体を顔に塗った」ので死亡者が毒殺されたということであるが、手に付けた女性は生きてそれを塗られた人は死ぬ、そのような毒薬がどこにあるのかというのである。

 最も重大なのは、マレーシア警察が今回の事件を「朝鮮公民の背後操縦」説によるものであるとミスリードしていることである。

 17日、マレーシア警察は現地の朝鮮大使館に知らせもせず、マレーシアで働く我々の公民の自宅に突然押しかけて、むやみに彼を逮捕し、彼の家族まで殴打する行為を働いた。

 19日、マレーシア警察庁副長官が捜査結果なるものを発表し、事件当日の13日に北朝鮮人がマレーシアを離れて周辺国に向かったので全員が犯罪の容疑者であるとしたが、事件当日にマレーシアを出国した他国の人は疑われず、なぜ我々の公民だけが嫌疑の対象になるのかというのである。

 このような矛盾点は、マレーシア警察が客観性と公正さを欠き、誰かの操縦によって捜査の方向を定め、意図的に事件の容疑を我々になすり付けようとしていることを示している。

 わが共和国は、当然法的保護を受けるべき外交旅券所持者である我々の公民が死亡したことについて被害者の立場から意見が多いが、マレーシア警察の公正で客観的な捜査を信じて忍耐力を発揮してきた。

 しかし、マレーシア警察は、殺人の容疑者として逮捕された外国人女性にたいする扱いの状況を公表せず、むしろ被害者側である我々の公民を犯罪の容疑者であるとして、さらには逮捕までして、我々を標的にした捜査にばかり熱を上げている。

 このような見地から、今後マレーシア保健相が発表するという遺体剖検の結果を果たして信じられるのかということである。

 我々は既に、今回の事件の正確な解明のための共同捜査を提案し、我々の法律家代表団を派遣する準備ができていることを明らかにしている。

 法律家代表団を直接現地に派遣して殺人の容疑者と会い、彼らの供述も聞いて彼らが誰の指示を受けたのかを確認し、逮捕された我々の公民とも会い、事件現場と映像資料などを具体的に調査して事件の捜査を公正に締めくくろうというものである。

 我々は、尊厳ある自主の強国、核強国のイメージを傷つけようとするいかなる試みも絶対に許さないし、今回の事件の背後を最後まで明らかにするであろう。

 我々は、マレーシア側の今後の態度を見守るであろう。【朝鮮通信=東京】


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