演習で非核化プロセス破綻
−2010年3月16日−


 朝鮮中央通信社は16日、「米国と南朝鮮当局は、朝鮮半島の平和と非核化プロセスを破綻させた責任から逃れられない」と題する備忘録を発表した。その全文は次のとおり。


 米国と南朝鮮当局が、我々の再三の警告と国際社会の強力な抗議、糾弾を無視してついに我が共和国に反対する侵略的核実験戦争である「キー・リゾリブ」「フォールイーグル」合同軍事演習を始めた。

 これは、我が共和国の自主権と尊厳にたいする許しがたい侵害であり、平和と非核化を願う人類の念願にたいする極悪な挑戦である。

 朝鮮中央通信社は、米国と南朝鮮当局の無謀な核戦争騒動で朝鮮半島の平和と非核化プロセスが再び破綻に陥ったのと関連して、このような危機をもたらした米国の反共和国核戦争の脅威と敵視政策、それに追従する南朝鮮当局の無分別な策動を暴露、断罪する備忘録を発表する。




 米国と南朝鮮かいらいの「キー・リゾリブ」「フォールイーグル」合同軍事演習は、我々に反対する侵略的核実験戦争、核の脅威の頂点であって、朝鮮半島の非核化にたいする全面否定である。

 「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習が、「定例的」で攻撃的性格を帯びない「防御訓練」にすぎないので問題になるものがないという米国と南朝鮮当局の主張は、強盗行為も毎年働けば正当なものになるという方式の破廉恥な詭弁である。

 我々と米国は、停戦状態、事実上の戦争状態にある。

 食うか食われるかの命がけの戦場で、交戦の一方の敵対国が、それも自国の半分の領土を占領した侵略の群れが目前で繰り広げる火遊びを「定例的なもの」であるので傍観しなければならないというのは、どこにも通じない常識外れの幼稚な言葉遊びであり、人類を欺く凶悪な犯罪行為である。

 合同軍事演習が年々繰り返されるほど、新たな朝鮮戦争勃発の危険性はさらに増大し、朝鮮半島の平和と非核化問題をはじめ、諸問題が解決する展望もそれに伴って暗くなっている。

 「キー・リゾリブ」「フォールイーグル」合同軍事演習は、歴史に第2の朝鮮戦争挑発のための核実験戦争の烙印を押された「チームスピリット」合同軍事演習の最新版である。

 米国が我々の「核の脅威」を云々して史上最大規模で繰り広げた1993年の「チームスピリット」合同軍事演習によって、我が共和国に準戦時状態が宣布され、朝鮮半島情勢が一触即発の戦争の瀬戸際に至った歴史的事実は、この演習がどれほど危険極まりないものかを示しても余りある。

 米国は冷戦後、世界のほかの地域では軍事演習の規模を縮小する一方で、朝鮮半島では冷戦時代と変わりなく、毎年こうした軍事演習をおこなって戦争熱を絶えず鼓吹してきた。

 変わったものがあるとすれば、演習が1994年に「連合戦時増援演習」に名称を変えて2002年から野外機動訓練と特殊作戦を柱とする「フォールイーグル」合同軍事演習と統合したし、2008年からは「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習に改称されてその好戦性と侵略性がより露骨になったことである。

 米国の軍事ドクトリンは先制攻撃の戦争ドクトリンであり、米国と南朝鮮かいらいの北侵戦争シナリオは「拡大抑止力」の提供に基づいた核戦争シナリオである。

 米国は、ブッシュ政府時代に我々を核先制攻撃のリストに挙げたし、昨年には南朝鮮かいらいとともに有事に我々に対して核兵器を使用すると明記した「拡大抑止力」の提供に関する文書まで作り上げた。

 現実的に、「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習は、「防御的な対応攻撃」ではなく、我々を先制攻撃して占領するための戦争シナリオである「作戦計画5027」などに従っておこなわれている。

 演習では、南朝鮮駐屯米軍と海外から派遣される米軍増援武力、南朝鮮軍の統合と前方移動から共和国北半部の縦深への「進撃」と「占領地域統治」に至るまで、新たな朝鮮戦争で起こり得るあらゆる状況に応じた作戦計画と教範が実戦の雰囲気のなかで全面的に完成されている。

「あらゆる範疇の装備、能力、人力」が動員されたという「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習には、核戦争武力が含まれている。

 我が共和国に対する先制攻撃をねらった核実験戦争としての「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習の侵略的性格は、何によっても否定できない。

 南朝鮮占領米軍司令官のウォルター・シャープは去る11日、「北朝鮮の大量破壊兵器を除去」するために組織された米軍部隊が今回の演習に参加しており、部隊の使命は戦争が起きても変わらないとのきな臭い妄言を吐いた。

 これは、「大量破壊兵器除去」の美名を使った米好戦狂の核戦争挑発計画が実行直前に至ったことを示している。

 国際社会がいつにも増して朝鮮半島の平和を求め、非核化のための関係諸国の動きが再び活気を帯びようとしている時に、米国が南朝鮮かいらいとともに核戦争騒動を繰り広げることでそれに真っ向から挑戦したのは、朝鮮半島の平和を破壊して非核化を阻み、何らかの不純な目的を達成しようとする意図的な行為である。

 口先では対話を云々し、実際は我々を不意に討つため核の刀を抜いて目の前で狂奔する敵対勢力と対座して自衛的核抑止力の放棄を論議するというのはとんでもないことである。




 我が共和国に対する米国の横暴非道な核の威嚇、核実験戦争は、根深い対朝鮮圧殺政策の延長である。

 米国は、歴史的に我々との関係で自主権尊重に基づいた問題の解決ではなく、制度圧殺だけを追求してきた。

 1990年代、民主党政府は、我々の「核の脅威」を騒ぎ立てて我が共和国を地球上からなくすための戦争を企図したし、それが実現不可能であると判明するや、我々が苦難の試練のなかでおのずと「崩壊」するとの計算で、朝米基本合意文にサインした。

 非核化の裏で対朝鮮圧殺政策を実現しようとする愚かな策動は、ブッシュ政府時代にいっそう悪辣におこなわれた。

 「ブッシュ政権は、平壌政権のない世界について公言して事実上、その政権交代を終着点として6者会談に臨んだ」

 これは、当時、米国の国際政治問題研究所の機関誌「フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス」をはじめ、米国の外交政策のシンクタンクとそれらの機関誌のあいだで、公の秘密として取り扱われたものである。

 ブッシュ政府の非現実的な対朝鮮政策は破産を免れなかったし、この政府末期に非核化プロセスは、米国が我が国に対する適性国貿易法の適用を中止し、「テロ支援国」のリストから削除した分、前進を遂げた。

 米国の現民主党政府は、就任前から対朝鮮政策で「変化」を提唱した。

 しかし、それは虚構にすぎなかった。

 我々の宇宙開発計画は平和的なものである。それは、だれかを脅かすためのものではなく、強盛大国建設の歴史的偉業を実現するうえで我々が必ず達成すべき目標の一つである。

 ロケットに衛星を搭載すれば人工衛星になり、弾頭を搭載すればミサイルになるが、だからと言って人工衛星の打ち上げを問題視せよという法は世界にない。

 しかも、我々は既に、新世紀の初めにミサイル綱領の平和的な性格を内外に厳かに宣明した。

 米国の新政府が歴代政府と異なる姿を示すには当然、我々の言葉を信頼し、衛星の打ち上げを問題視してはならなかった。

 米国が、「光明星2号」の打ち上げをミサイルの発射であると大騒ぎして国際的な制裁の雰囲気を鼓吹するのを見て我々は、現政府も我々のする事がうまくいくことを願わず、対朝鮮敵視政策では前政府と違いがないことを知るようになった。

 対朝鮮問題の処理で最初のボタンからかけ違えた米国の当局者らは、それがいわゆる政策作成の未完成による失敗ではなく、自分らの本意であることを後に明白に実証した。

 米国の外交当局者は昨年2月、就任後初の海外訪問の地である日本で我が国を「暴政」だの何のと悪意に満ちて中傷したことにより、米国内でまで前政府のあくどい言行に倣ったという非難を買った。

 それから数カ月後の昨年7月、米国務副長官は、我々の周辺諸国と6者会談再開問題を論議するかのようにして、我々のありもしない「崩壊」を仮定した対策協議を求めて拒絶され、恥をかいた。

 これは、米国が主張する6者会談を通じた非核化は我々を会談のテーブルに引き留め、その裏で我々の制度抹殺の陰謀を実現するためのものにすぎず、したがって、我々が第2次核実験で戦争抑止力を強化したのがどれほど正当な自衛的措置であったのかをはっきりと示した。

 我々は、米国が我々の周辺諸国を押し立てて非核化のための会談再開を請託し続けるので、まず朝米会談をおこなってみて、米国が対朝鮮圧殺熱に浮かされた頭を冷やしたのか確かめた後、多者会談にも臨む意向を明らかにする最大の雅量を示した。

 新年に入っては、平和協定の締結で戦争状態に終止符を打ち、信頼を築いて非核化をはじめ、朝米間の諸問題の解決を前進させることに関する革新的で果敢な提案も打ち出した。

 我々の雅量と建設的な提案は、朝米が不信と敵対関係の最悪となる戦争状態では何も解決できないという6者会談の深刻な歴史的教訓から出発したものである。

 しかし、米国は「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習のような核実験戦争で我々に対する核の脅威を極大化したし、朝鮮大豊国際投資グループと国家開発銀行の活動に嫉妬して経済制裁のさらなる強化に進んでいる。

 米国が非核化の裏で時間を引き延ばして我々の制度、我々の偉業を抹殺しようとする不純な企図を取りやめない限り、非核化のプロセスは前進を遂げられなくなっている。




 朝鮮半島の非核化プロセスが危機に陥ったのは、米国の対朝鮮敵視政策の手代となって「先核放棄」を唱え、核問題の解決に混乱と障害を来してきた南朝鮮当局の分別のない親米事大、体制対決策動にもその責任がある。

 朝鮮半島で核問題が発生して我々の核抑止力が生まれたのは、米国が南朝鮮に核兵器を持ち込んで我々に対する核の脅威を絶えず強化してきたからである。

 核問題は、あくまでも我々と米国が対座して解決する問題であり、米国の核の傘の下で暮らす哀れなかいらいにすぎない南朝鮮当局が介入して無駄口をたたくことではない。

 南朝鮮当局が執権初期から核問題の「責任ある当事者」などと言って「対北政策」として掲げた「非核・開放・3000」は、親米手先である自分らの株を上げ、主人の対朝鮮圧殺策動に便乗して「自由民主主義体制下の制度統一」を実現しようとする醜い企図の発露であった。

 「非核・開放・3000」に続いて南朝鮮当局が持ち出した「相生、共栄」なるものもやはり、体制対決で同族間の相生ではなく対決を、「対北制裁強化」と米国との核戦争謀議で共栄ではなく共倒れを追求する無謀な反民族・反非核化宣言である。

 南朝鮮の逆賊一味が核問題と北南関係問題で口癖のように唱える「真心」を示すなら、米国の核兵器搬入を黙認、庇護して核戦争策動に同調してきたことを反省し、核問題の根源である米国の核の脅威をなくすために立ち上がるべきである。

 しかし、彼らは南朝鮮に米国の超大型原子力空母と原子力潜水艦をはじめ、最新核戦争装備を持ち込み、米国とともに核戦争施設を建設して北侵核戦争演習をおこなった。そればかりか、主人の米国を訪れて自身の先任者らもはばかっていた危険極まりない「拡大抑止力」の提供について文書化された保証を哀願する前代未聞の逆賊行為を働いた。

 昨年はまた、6者会談にかわる「5者会談開催案」だの、「先核放棄」に基づいた「一括妥結案」(グランドバーゲン)だのと核問題に身の程をわきまえず首を突っ込み混乱を招いて主人にまで軽蔑された。

 かいらいは、最近、我々が北南関係改善のために主動的で寛大な措置を全面的に講じた後も「先核放棄」を北南関係改善の条件に掲げることで、朝米間の核問題解決を阻害し、北南間の対決を激化させている。

 彼らは、表では我々との前提条件のない会談だの、接触だのと言いつつ、裏では「北の核問題解決なくしては、北南協力事業にも限界がある」との背信的な妄言を引き続き並べ立てている。

 玄仁澤「統一部」長官、柳明桓「外交通商部」長官をはじめ、かいらい当局者は、我々の「融和的な態度」が核問題に対する根本的な態勢変化なのか見守っていくべきだの、核を保有した北と協力するのは実に難しいことだのと我々の善意に逆らっている。

 「先核放棄」を前提とする南朝鮮当局の荒唐な「原則論」によって金剛山と開城地区の観光再開のような関係改善の初歩的な問題を討議する北南実務接触すら前進を遂げられないでいる。

 彼らの「原則論」とは、「自由民主主義体制下の制度統一論」以外の何物でもない。

 執権直後、「自由民主主義体制」を「統一の原則と方向」として公式化した逆賊一味は現在、この「原則論」に沿って米国とともに「先核放棄」の裏で、我々の制度「崩壊」「制度統一」を実現しようとしている。

 我が共和国での「急変事態」に備えた「非常統治計画一復興」なるものを完成させたと堂々と公開し、我々の神聖な領海、領空、領土にたいする軍事的挑発と前線と海岸、国境地域を通じた「対北内部攪乱」作戦に分別なくしがみついている。

 南朝鮮当局が、白昼夢のような「制度統一」の妄想にとらわれて非核化を妨害し、反民族的な核戦争騒動に狂奔する限り、北南関係は改善されないし、朝鮮半島核問題の解決のための環境も醸成されない。

 戦争か平和かという最も根本的な問題を抜きにして、朝鮮半島問題のいかなる解決も期待できない。

 我々の立場は論理的で現実的である。

 米国は、核問題、核の脅威の軍事的・政治的根源である朝米間の戦争状態、敵対関係を解消して信頼を築くための実質的な措置を講じなければならない。
2010.3.16 朝鮮中央通信社備忘録(全文)−朝鮮通信=東京


ホーム 閑話休題 くらしの知識 資料室 写真室 自己紹介 ホームページ案内 リンク集



inserted by FC2 system