民族教育抹殺ねらった政治テロを中止せよ
−2010年3月30日−


 朝鮮中央通信によると、30日付の「労働新聞」は、「甚だしい民族差別政策の発露」と題する署名入りの記事を掲載した。その全文は次のとおり。


 日本の反動層が今、朝鮮学校を高校支援(授業料無償化)対象から除外しようと躍起になっている。

 周知のように、昨年日本で政権の座についた民主党は、高校支援問題を政権公約(マニフェスト)の一つとしてかかげた。これによって、民主党は、高校支援問題を実現してことしの国会参議院選挙で多数議席の獲得にとって有利に利用しようとしている。そのためには、3月中に国会審議を経て関連「法案」を成立させ、4月からは全国の高等学校で実施しなければならない。ところが「拉致問題担当相」ら日本の反動層が、朝鮮学校を支援対象から除外することを主張したことによって問題が発生した。

 これに関連し、内外からは、外国人に同等の教育の権利を保障する内容を明記した国際人権規約に反する危険な前例になるという懸念の声が出ている。

 最近、国連人種差別撤廃委員会は、「北朝鮮と外交関係がない」ことを理由に朝鮮学校を支援対象から除外しようとする日本当局に憂慮の念をあらわした。

 日本の政界からも永住権を持つ子女や日本で長い間生活している外国人子女に対しては、基本的に日本の国民と同等の対応が取られるべきであるという声が上がった。

 しかし、対朝鮮敵対意識が骨髄に徹している右翼保守派集団である自民党一味は「合同会議」なるものを開き、朝鮮学校を支援対象から除外することを求める決議を採択した。その理由とは、朝鮮学校が「純粋な教育機関ではなく、北朝鮮の体制を支えるためのイデオロギー学校・対日工作機関である疑いがある」からであるとのことである。彼らは「北朝鮮とは国交がなく、(授業料相当額を)学校が代理受領して子供に使われたか検証するすべがない」という詭弁まで並べ立てた。

 “鯉が躍れば泥鰌も躍る”と言うように、今度は大阪府の橋下(徹)知事が、毒気をはらんで「政治信条」まで云々し、「不法国家」と付き合いのある団体には、学校であれ公金は出さない、政府が朝鮮学校を「法案」の対象にしても、制度の適用については切り離して判断するなどの妄言を吐いた。これは共和国にたいする露骨な政治的挑発、悪辣な反朝鮮総聯策動である。

 朝鮮総聯と我が共和国に反対する彼のヒステリーに関連して想起させる問題がある。

 2008年に大阪地方裁判所は、朝鮮総聯大阪府本部が入っている「大阪朝鮮会館」の土地・建物を不動産会社に売却することを決めたことがある。当時、それは建物強奪を実現して朝鮮総聯の合法的活動をその拠点から完全に封鎖し、さらには朝鮮総聯を抹殺することをねらった重大な政治テロ行為であると断罪された。

 問題は、日本の反動層が「経済問題」のベールをかぶせて朝鮮総聯の建物強奪策動の合理性を云々していた時とは異なり、こんにちに至っては「不法国家」「対日工作機関」などの謀略的な悪口をたたき、民族差別、対朝鮮敵視政策の強行に血道を上げていることである。これは、我々に対する体質的な拒否感を抱いている日本の反動層が、朝鮮学校への支援問題まで政治化して朝鮮総聯弾圧抹殺策動を強行しようとしていることを示している。

 何の問題もない朝鮮学校と生徒たちまで制裁と圧迫の対象とみなし、朝鮮総聯の民族教育事業を抑制、破壊し、ひいては朝鮮総聯を除去しようとする日本の反動層の策動は、かつて日帝による植民地占領統治によって民族教育の権利まで奪われなければならなかった我が人民の骨身に染みる傷跡を改めてえぐることになる。

 20世紀の前半期に日帝が我が国を武力で占領し、「同祖同根」「内鮮一体」の荒唐無稽な論理を流布して朝鮮語抹殺策動を悪辣におこなったことは周知の事実である。日帝は我が国にたいする植民地占領統治期間、朝鮮の言葉と文字、果ては朝鮮人の姓と名前まで奪おうと狂奔し、朝鮮語で話す生徒たちを野蛮に弾圧する蛮行もためらわなかった。

 当時、自民族の言葉を使ってしかられたり、気合を入れられたり、罰金や退学などの民族的侮辱と冷遇、制裁を受けたり、果ては殴打と法的制裁まで強要されたりしなければならなかった我々の生徒たちであった。1928年5月に日帝警察が朝鮮語の授業を要求して同盟休学を断行した咸興高等普通学校の100人余りの生徒を逮捕、拘禁し、15人を裁判に付した事実はその端的な実例である。日帝の朝鮮語抹殺策動は、実に強盗さと悪辣さにおいて類例のないあくどい犯罪行為であった。

 度量が狭く稚拙極まりない日本の反動層の今回の行為を通じて、確かに彼らの思考方式に問題があることがわかる。金さえあれば万事がとおると考えるのは日本特有の醜い思考方式である。日本の反動層がいくらかの金銭問題を持って卑劣にも我が共和国に「不法国家」のレッテルを張り、口にするのもはばかれる悪口をたたくのを見ると、正常な思考から逸脱するにもほどがある。

 彼らがそんな方法で我が共和国と朝鮮総聯をどうにかしようと考えるなら、それに勝る愚行はないであろう。日本の反動層の策動は、明らかに万人の人権と根本的な自由を尊重することをうたった国連憲章と世界人権宣言をはじめとする主要な国際法と規範に乱暴に違反する重大な非人道的・民族排外主義的行為、人権蹂躙犯罪である。

 朝鮮総聯は、我が共和国の合法的な海外公民団体であり、したがって、朝鮮総聯の民族教育の権利はだれも奪えない。我が人民は、日本の反動層が民族差別、対朝鮮敵視政策を引き続き強行していることに込み上げる怒りを禁じ得ないし、いつかはその代価を何倍にして払わせる意志に満ちている。

 日本の反動層は、民族教育、朝鮮総聯の抹殺をねらった無分別な政治テロ、対朝鮮敵視政策がもたらす結果について熟考し、稚拙な政治茶番劇を中止すべきである。

2010.3.30 「労働新聞」記事(全文)−朝鮮通信=東京

(注)“鯉が躍(おど)れば泥鰌(どじょう)も躍る”=日本のことわざ。劣った者が、いたずらにすぐれた者の真似をすることをあざけっていう語。

 同一義として、“雁(がん)がたてば鳩もたつ”(自分の立場も考えず、まわりに影響されてむやみやたらと他人の真似をする人のたとえ)がある。

 出典=前者は、「ことわざ大辞典」小学館。後者は、「朝鮮と日本のことわざ選 2」朝鮮青年社。


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